計器を信じるか否か

かぐらスキー場の遭難事故にあっては独特なヘアースタイルをした遭難者による記者会見で一部の注目を集めていますが、それよりももっと見るべき点があります。


救助の３人 登山届け出さずコース外エリアに
ＮＨＫ　　1月4日 18時07分

午後６時の時点で「怪しい」と思いましたが、携帯電話の電波は通じず、位置情報の機能も間違っているかもしれないと考えこれまでの経験から「沢を見つけよう」と移動を続けます。
結局１日目に寒さを防ぐための雪洞を掘り終えたのは午後１１時半ごろだったということです。

位置情報ってことは、ＧＰＳを持っていたのでしょう。でも、それを信じずに自分の経験を頼って違う方向に移動を続けたことで、ドツボにハマったのかもしれません。

理論上はＧＰＳがあればいつでもどこでも自分の位置がわかるはずですけど、マジでリアルな緊急事態に陥った時「本当にＧＰＳを信じていいのか」と不安になることは充分に考えられます。ＧＰＳを使ってルートを見つけ出した経験が無ければ、いざという時にＧＰＳに頼ろうとしても、不安が先行するでしょう。これはＧＰＳに限らず、地図とコンパスによる読図でも同じなんですけどね。

もちろん、ＧＰＳが間違っている可能性はあります。が、他に確認する手段がなければ、ＧＰＳを信じて行動する以外にありません。




ちょっと話題がずれますが、航空機のパイロットが陥る空間識失調、バーティゴとも呼ばれる現象があります。これはパイロットが飛行中、平衡感覚を失ってしまう状態なのですが、これがひどくなると背面飛行している状態であっても本人は上昇していると思い込んだりすることがあるそうです。このとき、パイロットは自分の感覚と航空機に設置された計器のどちらを信じるべきかについて葛藤するわけですが、この時には計器を信じるようにすべきと学校で習うそうな。




これが登山者であればＧＰＳだったりコンパスだったりするわけですけど、やはり普段から使ってないと有事の際に信頼できないのだろうなあ、と再確認した次第です。