まだ判決文とか読んでないので、あくまでも報道されているネタからの論評なのですが・・・
どうも雪庇を踏み抜いたことを地裁は過失と認定したようで、これはいくら何でもアレだろー、と思います。
積丹岳遭難死「救助隊に過失」…道に1200万賠償命令
読売新聞北海道版 2012年11月20日
引用
判決では、藤原さんの事前の天候確認などが不十分だったとしながら、救助隊が常に位置を確認することなく、雪庇を踏み抜いたことも過失にあたると認定し、「細心の注意を払ったとは到底言えない」とした。
引用おわり
雪庇を踏み抜いたのは事実ですが、それが直接の引き金となって遭難者が凍死したわけではありません。最終的に遭難者の死を決定してしまったのはストレッチャーを固定していたハイマツが折れたことであり、そっちのほうが問題視されるのかと思っていました。裁判って、そんなもんなのですかね。
雪庇を踏み抜くこと自体はベテラン登山者でもあり得るというか、むしろベテランでないとやらないことのように思えます。特にそれが悪天候下であるならば冬山のリスクの代表であり、避けて当たり前ってものではないでしょう。
引用
警察の遭難救助についても、判決は「警察官が遭難者を発見した場合は、適切に救助しなければならない職務上の義務を負う」などと認定した。
引用おわり
適切な救助を行う義務があるのはもちろんですけど、瀕死の低体温症患者を悪天候下の雪山で、しかも少人数で搬送しないといけないという状況下で、あそこまでやれば大したもんだと思うのですけどね。
以前の報道で読んだとき、遺族は盛んに「救助のプロとして」みたいなことを主張していたように思えます。が、厳密に言うと日本において山岳救助のプロと言えるのはごく少数でしょう。警察にしても消防にしても山岳救助を専門に、というか、それ専門で他の業務をほとんどしていないという人はごく一部であり、通常は他の業務と兼任しつつ山岳救助隊の業務に取り組んでいるのです。
山岳救助隊と名がつく多くの組織のうち、大半は年に数回程度の訓練を行う程度であり、北アルプスや奥多摩、丹沢などの人気エリア、つまり事故多発地帯を抱える地域以外では、必ずしも洗練された技術を持っているとは限らないのです。
さらに、山岳遭難は広範囲で発生するけれど、頻度は非常に少ないという特徴があります。だから事故が集中する山域を管轄している山岳救助隊は経験を積めますが、それはあくまでも例外であり、他の山域のだと山岳救助は年に1回あるかないかという場合もあってそう簡単に経験が積めないのです。ましてや冬山遭難ともなれば、佐賀県みたいに戦後初めてみたいなケースも存在するわけです。
そもそも山岳救助は、公務員でも何でも無い山小屋のオヤジが単独で特攻するような荒っぽさが当たり前に残っている世界であり、それに対して高度な行政サービスを要求されても辛いものがあります。
救助に必要とされる要素は、プロフェッショナルな技術とは限りません。もっと大切なのは、迅速性です。積丹岳の場合、少人数でもいいから突っ込まないと遭難者ではなく遺体の発見となっていたでしょう。
この遭難については、やっぱり遭難者がアレ過ぎて問題だと思います。きついこと言いますけどね。日帰りのつもりで入山しても、冬山であれば予想外の要因でその日のうちに帰れないのは当たり前。だから当たり前のつもりで装備とか揃えて欲しいし、ビバークについてもまともにできるようにしておくべきです。遭難者はかなり厳しい条件の場所でビバークしていたようですが、もっと高度を下げて樹林帯に逃げ込むとか、できなかったのでしょうか?
で、2~3日以内に天候が回復したら普通に自力下山するものであり、救助要請なんかしてるようではダメもいいところです。BCの世界はよーわからんですけど、みんなそんなに軽装だったり、山を知らない人ばかりなのですかね。
どうも雪庇を踏み抜いたことを地裁は過失と認定したようで、これはいくら何でもアレだろー、と思います。
積丹岳遭難死「救助隊に過失」…道に1200万賠償命令
読売新聞北海道版 2012年11月20日
引用
判決では、藤原さんの事前の天候確認などが不十分だったとしながら、救助隊が常に位置を確認することなく、雪庇を踏み抜いたことも過失にあたると認定し、「細心の注意を払ったとは到底言えない」とした。
引用おわり
雪庇を踏み抜いたのは事実ですが、それが直接の引き金となって遭難者が凍死したわけではありません。最終的に遭難者の死を決定してしまったのはストレッチャーを固定していたハイマツが折れたことであり、そっちのほうが問題視されるのかと思っていました。裁判って、そんなもんなのですかね。
雪庇を踏み抜くこと自体はベテラン登山者でもあり得るというか、むしろベテランでないとやらないことのように思えます。特にそれが悪天候下であるならば冬山のリスクの代表であり、避けて当たり前ってものではないでしょう。
引用
警察の遭難救助についても、判決は「警察官が遭難者を発見した場合は、適切に救助しなければならない職務上の義務を負う」などと認定した。
引用おわり
適切な救助を行う義務があるのはもちろんですけど、瀕死の低体温症患者を悪天候下の雪山で、しかも少人数で搬送しないといけないという状況下で、あそこまでやれば大したもんだと思うのですけどね。
以前の報道で読んだとき、遺族は盛んに「救助のプロとして」みたいなことを主張していたように思えます。が、厳密に言うと日本において山岳救助のプロと言えるのはごく少数でしょう。警察にしても消防にしても山岳救助を専門に、というか、それ専門で他の業務をほとんどしていないという人はごく一部であり、通常は他の業務と兼任しつつ山岳救助隊の業務に取り組んでいるのです。
山岳救助隊と名がつく多くの組織のうち、大半は年に数回程度の訓練を行う程度であり、北アルプスや奥多摩、丹沢などの人気エリア、つまり事故多発地帯を抱える地域以外では、必ずしも洗練された技術を持っているとは限らないのです。
さらに、山岳遭難は広範囲で発生するけれど、頻度は非常に少ないという特徴があります。だから事故が集中する山域を管轄している山岳救助隊は経験を積めますが、それはあくまでも例外であり、他の山域のだと山岳救助は年に1回あるかないかという場合もあってそう簡単に経験が積めないのです。ましてや冬山遭難ともなれば、佐賀県みたいに戦後初めてみたいなケースも存在するわけです。
そもそも山岳救助は、公務員でも何でも無い山小屋のオヤジが単独で特攻するような荒っぽさが当たり前に残っている世界であり、それに対して高度な行政サービスを要求されても辛いものがあります。
救助に必要とされる要素は、プロフェッショナルな技術とは限りません。もっと大切なのは、迅速性です。積丹岳の場合、少人数でもいいから突っ込まないと遭難者ではなく遺体の発見となっていたでしょう。
この遭難については、やっぱり遭難者がアレ過ぎて問題だと思います。きついこと言いますけどね。日帰りのつもりで入山しても、冬山であれば予想外の要因でその日のうちに帰れないのは当たり前。だから当たり前のつもりで装備とか揃えて欲しいし、ビバークについてもまともにできるようにしておくべきです。遭難者はかなり厳しい条件の場所でビバークしていたようですが、もっと高度を下げて樹林帯に逃げ込むとか、できなかったのでしょうか?
で、2~3日以内に天候が回復したら普通に自力下山するものであり、救助要請なんかしてるようではダメもいいところです。BCの世界はよーわからんですけど、みんなそんなに軽装だったり、山を知らない人ばかりなのですかね。
担架から全員が離れた事も厳しく指摘されたようです。
雪庇の件も、予測不能だったのか、隊員が雪庇の知識が全く無かったのかで変わってくるかと
ピッケルが個人装備では無かったとか 遺族側主張みてると ちょっと隊員の練度に疑問があります。
遺族が言うように山岳救助隊の向上を目的とするのなら、裁判ではなくて第三者による検証と、関係者の免責が必要です。裁判で追及される事態になったら、誰だって真実を話そうとはしません。
この人のために、とがんばった当の本人に責められるのは本当につらいのですが、残念ながら、今後、世の中はどんどんその方向に進んでいくのでしょう。
http://www.geocities.jp/shimin_me/index.htm
そのサイトは以前からたまに見ていました。最新の内容を読んでみましたけど、救助隊の装備や練度不足についても触れていますね。
まあ原告被告がお互いを責めるのが裁判なんで、そういう印象を持たれるかもしれません。
賠償金せしめて払ないのならとんでもない話しです。
去年だったか愛媛で遭難者を救助中の隊員が滑落死したことがあった。
救助隊員も命掛けです。
これを裁判にするなら遭難者の身内が民間のヘリや救助隊を実費で要請すればいいことです。
いずれにしても自分の都合で自然を相手にする人がいると事故は又起きる。
法律にのっとった自己主張が出来るか
どうかにかかっているんですね。
今後は多額の税金のかかる公的機関による
危険を伴う遭難者の救助は、控える傾向に
なるでしょうかね。
救助を断念したらしたで、また訴えられるでしょうか。
私もそう思います。
そもそも、遭難するという状況、熟練者なら簡単に助けにいける状況なのか?
そんなことはないでしょう。どんな訓練をつんでも いろんなケースがあり、準備しきれない部分はあると思います。それでも助けに行くのです。自分の命かけて。
助けられなくても責められる筋のものではないと思います。
判例は非常に残念です。
救助が万全でない、ということで 救助に行くことに躊躇するようなことがあっても しょうがないと思います。
「遭難者の救助活動における過失 長尾英彦
中京法学 巻3・4号 (2014年)
判例研究 札幌地裁 平成24年11月19日判決(判例時報2172号77頁)
http://www.chukyo-u.ac.jp/educate/law/academic/hougaku/data/48/34_p099.pdf
2度目の滑落は, (略)縛り方が不十分だったため発生したもの, と判決は認定している (新聞記事中では, 結びつけた枝が 「折れた」 と記されているが, 実際にはロープが枝から抜けてしまったもので, 「折れた」 というのは誤りと思われる)。
しかし, 判決は, Aの死亡の直接の原因は, 最初の滑落によって健康状態を著しく悪化させたことだと見ているため, 2度目の滑落については詳しい検討を加えていない。」
ちょっとどう言っていいのかわかりませんが、残念ながら山の世界でも報道がすべてではないようです。
こんな基本的なことさえ知らされずに、ネットや報道では「登山者の自己責任」のみ喧伝されるのでは本職の救助隊員の方も事故事例を研究することができないでしょう。
救助事故が頻発するのも当たり前なのではないのでしょう。
そしてネットや報道で徹底して「社会の敵」扱いされる遭難者の遺族の方が裁判に訴えるのも、当然なのかもしれません。