12月の埼玉県議会で提出される予定の条例ですが、事実上、有料化は断念したみたいです。
「有償化」見送り決定 自民条例案
朝日新聞 2010年12月11日
引用
県防災ヘリコプターの運航に関する条例案について、自民党県議団は10日、山岳遭難者に知事が救助費用を請求できると定める条文を外し、12月定例県議会に提出することを決めた。焦点だった救助の有償化は、付則に「県は、山岳遭難等の発生の抑止の観点から、早急に対応する」と記すにとどまり、大きく後退した。
引用おわり
条例の本文からは削除して、付則に「県は、山岳遭難等の発生の抑止の観点から、早急に対応する」と書き入れるようです。これが大人の解決方法ってヤツですか。
引用
どのような状況の遭難で費用負担を求めるかの線引きも困難なため、会派内や県執行部から慎重論が続出。
引用おわり
たくさんの問題がありますけど、まずはコレでしょうね。
有料化の是非はともかく、やるのならそんな線引きをせずにすべての事例で請求すべきです。現場でグダグダと「有料かな?それもと無料かな?」と長考しているうちに、天候が急変してヘリコプターが飛べなくなりますよ。
この件についてはバカみたいに書いていますのでヒマな方は参照していただくとして、このことから感じるのは、山の遭難に対する偏見ですね。山で遭難しているのはハイヒールで登山するようなアホな登山者、と、思いこんでいるのでしょう。で、そういう登山者に税金を使うのはムカつく、ということで費用請求を思いついたのでしょうけど、素直な気持ちを書いてしまったらアレなんで、
「登山者に対する警鐘」
ということにしたんでしょうな。
だから装備不足とか計画の不備で遭難した人のみ限定で費用請求、ということにしたんでしょうけど、再三述べていますように、装備不足で遭難するケースって、報道では目立つけど実際の件数は多くないはずです。道迷いを「本人の過失が大」として扱うならば費用請求できるケースは多くなりますが、これを「ま、しゃーない」とした場合、遭難事故の大半は「お咎め無し」になるでしょう。
ですから、苦労して防災ヘリ有料化を実現したところで、登山者に対して警鐘を鳴らす目的は、あんまり果たせないのではないでしょうか。
で、次にいきましょう。
引用
長沼威県議団長は有償化を事実上断念したことについて、「国は救急車の利用に(有償化論議が)波及するのを懸念しているようだ。付則としたのは現実的な着地点。半歩前進だ」と述べた。
引用おわり
そういえば、ちょっと前には救急車のユニークな利用方法がよく話題になっていましたね。そして、これの対策として救急車を有料にするなんて話も聞いたことがあります。で、国は防災ヘリの有料化議論が転じて救急車の有料化になると困るようで、まあわかる気がします。ていうか、防災ヘリの有料化より大変そうです。
これにやや関連しますけど、山岳救助で有料なのに、同じ防災ヘリを使う他の活動では無料だったりすると、公平性の観点からはちょっと疑問ですよね。わかりやすいのは水難救助ですか。
防災ヘリは実に様々な状況で飛ぶわけで、例えば山間地のワインディングロードを粋なスポーツカーでぶっ飛ばしていてガードレールに激突し、怪我人が出た場合にも、飛んじゃったりします。救急対応できる病院が遠い場合には、防災ヘリが患者の輸送にあたるわけで、東京だと奥多摩周遊道路でヤンチャした人がよくヘリで運ばれているようですね。
これなんかは誰が見ても本人の責任が重大だと思うのですが、こういうのはなかなか有料化しよう!という話になりません。
さてもうひとつ。
引用
「知事がヘリの活動停止を命じられるように定めるなど、指揮命令系統が明確になる」と条例案の意義も強調した。
引用おわり
なんでしょ、コレ。
条例案は本日(13日)に提出されるようなので機会があったら詳細に読んでみたいのですけど、なんか変なコトを決めているような印象です。
そりゃまあ、指揮系統がしっかりしていることは大事です。が、「知事がヘリの活動停止を命じられるように定める」ってわざわざ書いているのが腑に落ちません。
これは現場が行けると判断しても知事がストップをかけられるということなんでしょうけど、それに何の意味があるのでしょうか。現場を信頼していないとしか、思えないですなあ。
「有償化」見送り決定 自民条例案
朝日新聞 2010年12月11日
引用
県防災ヘリコプターの運航に関する条例案について、自民党県議団は10日、山岳遭難者に知事が救助費用を請求できると定める条文を外し、12月定例県議会に提出することを決めた。焦点だった救助の有償化は、付則に「県は、山岳遭難等の発生の抑止の観点から、早急に対応する」と記すにとどまり、大きく後退した。
引用おわり
条例の本文からは削除して、付則に「県は、山岳遭難等の発生の抑止の観点から、早急に対応する」と書き入れるようです。これが大人の解決方法ってヤツですか。
引用
どのような状況の遭難で費用負担を求めるかの線引きも困難なため、会派内や県執行部から慎重論が続出。
引用おわり
たくさんの問題がありますけど、まずはコレでしょうね。
有料化の是非はともかく、やるのならそんな線引きをせずにすべての事例で請求すべきです。現場でグダグダと「有料かな?それもと無料かな?」と長考しているうちに、天候が急変してヘリコプターが飛べなくなりますよ。
この件についてはバカみたいに書いていますのでヒマな方は参照していただくとして、このことから感じるのは、山の遭難に対する偏見ですね。山で遭難しているのはハイヒールで登山するようなアホな登山者、と、思いこんでいるのでしょう。で、そういう登山者に税金を使うのはムカつく、ということで費用請求を思いついたのでしょうけど、素直な気持ちを書いてしまったらアレなんで、
「登山者に対する警鐘」
ということにしたんでしょうな。
だから装備不足とか計画の不備で遭難した人のみ限定で費用請求、ということにしたんでしょうけど、再三述べていますように、装備不足で遭難するケースって、報道では目立つけど実際の件数は多くないはずです。道迷いを「本人の過失が大」として扱うならば費用請求できるケースは多くなりますが、これを「ま、しゃーない」とした場合、遭難事故の大半は「お咎め無し」になるでしょう。
ですから、苦労して防災ヘリ有料化を実現したところで、登山者に対して警鐘を鳴らす目的は、あんまり果たせないのではないでしょうか。
で、次にいきましょう。
引用
長沼威県議団長は有償化を事実上断念したことについて、「国は救急車の利用に(有償化論議が)波及するのを懸念しているようだ。付則としたのは現実的な着地点。半歩前進だ」と述べた。
引用おわり
そういえば、ちょっと前には救急車のユニークな利用方法がよく話題になっていましたね。そして、これの対策として救急車を有料にするなんて話も聞いたことがあります。で、国は防災ヘリの有料化議論が転じて救急車の有料化になると困るようで、まあわかる気がします。ていうか、防災ヘリの有料化より大変そうです。
これにやや関連しますけど、山岳救助で有料なのに、同じ防災ヘリを使う他の活動では無料だったりすると、公平性の観点からはちょっと疑問ですよね。わかりやすいのは水難救助ですか。
防災ヘリは実に様々な状況で飛ぶわけで、例えば山間地のワインディングロードを粋なスポーツカーでぶっ飛ばしていてガードレールに激突し、怪我人が出た場合にも、飛んじゃったりします。救急対応できる病院が遠い場合には、防災ヘリが患者の輸送にあたるわけで、東京だと奥多摩周遊道路でヤンチャした人がよくヘリで運ばれているようですね。
これなんかは誰が見ても本人の責任が重大だと思うのですが、こういうのはなかなか有料化しよう!という話になりません。
さてもうひとつ。
引用
「知事がヘリの活動停止を命じられるように定めるなど、指揮命令系統が明確になる」と条例案の意義も強調した。
引用おわり
なんでしょ、コレ。
条例案は本日(13日)に提出されるようなので機会があったら詳細に読んでみたいのですけど、なんか変なコトを決めているような印象です。
そりゃまあ、指揮系統がしっかりしていることは大事です。が、「知事がヘリの活動停止を命じられるように定める」ってわざわざ書いているのが腑に落ちません。
これは現場が行けると判断しても知事がストップをかけられるということなんでしょうけど、それに何の意味があるのでしょうか。現場を信頼していないとしか、思えないですなあ。
この条例案を言い出した人々の思考回路は、己に関係ないマイノリティーを切り捨てて政治家として格好を付けようという発想の為ごかしとしか思えないので
有料化の現場で矢面に立たされる立場の人から文句がでるのは当然だろうと思います。
山岳救助隊(班)が組織されている山域だと 防災ヘリが単体で救助活動を完結させる事は少ないと思います。
防災ヘリどうのこうのではなく、山岳救助隊が出動すれは一律有料としてしまうのはどうでしょう。
で やっぱり最低でも都道府県レベルで 基金なり共済を作る。
どうでしょう
この条例の言い出しっぺである県議は、先月の半ばに飯能や秩父へ行って、現地の人から話を聞いてるようです。
http://takumi-tamura.jp/blog/?p=1312
一部の関係者からは「今までどおり」と要望されたようで、おそらく、この条例は立ち消えになりそうな気がします。条例自体は成立しても、その先については誰も本気で取り組まないままになるかもですね。
ONS様
>ポンコツ登山客を止めるには有料化しか無いんじゃないか
有料化した場合、登山者の質が平均的にレベルアップする前に、山岳保険が普及しちゃうような気がしますよ、前にも書いていますけど。
遭難しないようにする技術や知識を身につけるのは簡単ではありませんけど、保険に年間数千円を支払うのは難しくありません。
登山者は金にも票にもならないってことですか。
結局、山の遭難って目立つんですよね。交通事故のようにたくさん発生するわけではありませんから、ちょっとした事故でも大きく報道されてしまうことがあります。これに加えてヘリコプターのコストという話が絡むと、なかなか大変です。