豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

埼玉県の防災ヘリ墜落事故の最終報告書が出てるそうです

2012年02月27日 | 山を飛ぶヘリコプター
そういえば、埼玉の防災ヘリが墜落した時はたしか北アルプスに入山中だったもんで後の有料化問題には触れたものの、墜落事故そのものについては書いてないですね。


埼玉ヘリ墜落:後方見張り不十分…運輸安全委が最終報告書
毎日新聞  2012年2月24日 11時33分(最終更新 2月24日 12時14分)


墜落の原因はテイルローターが樹木と接触したことと断定されたようです。


で、気になるのはこの部分・・・

引用
また、安全委は救助隊を降下させるためのワイヤの長さが90メートルあったものの、そのうち52・8メートル分しか使っていなかった点も指摘。「ワイヤの長さを活用せず、ヘリの高度を下げたことが事故につながったと考えられる」としている。
引用おわり


50メートルと聞いて、「かなり延ばしてるなあ」と、思いました。これだけ延ばすと、隊員をうまくピンポイントで着地させるのが大変な気がします。

運輸安全委員会から見ると90メートルも延ばせるのに何でそれしか使わなかったの?となるのでしょうけど、これは2階から目薬のようなもんで、延ばせば延ばすほど正確に着地させるのが難しいでしょう。おまけに現場は広大な草原ではなく樹林帯の中のポケットみたいなところです。ワイヤーの先にぶら下がった隊員を木にひっかけるわけにもいかないですからねえ。

パイロットの心理としては、あまり延ばしたいと思わないはずです。

北アルプスなんかですと森林限界を超えた場所でのピックアップばかりなので、たぶん30メートル以下でやってると思います。昔メインで飛んでいた長野県警の「しんしゅう」はワイヤーが30メートルしかなかったので、ピックアップするときにはほとんど頭上でホバリングしてました。




北アルプスの稜線だと風やガスが脅威で樹木はあまり邪魔にならないと思いますが、奥秩父だと樹林が邪魔で邪魔で大変でしょうね。事故の際には当初60メートルで下ろしていたものを途中から50メートルにしたなんて報道が出ていますけど、ワイヤーを延ばせば延ばすほど隊員を正確に降下させるのが難しくなることを物語っているような気がします。




2 コメント

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なるほど…。 (ニシノ)
2012-02-27 09:48:41
ワイヤーの長さ、たしかに知らない人間から見れば「全部伸ばしたら機体に樹木がひっかかることもなかったんじゃないの」と思うのですが、二階から目薬理論で納得です。

でも、、そういうことも分からないような方々が運輸安全委員会なるところで事故の検討をしているのですね。うーん。
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Unknown (bongo-pete)
2012-03-01 09:34:51
ニシノ様

ここだと詳しく出ています。

埼玉防災ヘリ墜落の技術的検討、、、
http://blogs.yahoo.co.jp/bell214b1989/66167584.html

ポイントは、航空法の規制でリアルな場所での訓練をやりにくいことですね。防災や県警のヘリが緊急時において自由自在に活動できるように許されていても、それに見合った訓練ができないのです。
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