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マヤ族の神話「ポポル・ヴフ・三」(3)・・暁の輝かしい星「イコキフ」を待つ

2011-02-01 | マヤ・アステカ・オルメカ
マヤ・キチェー族の神話「ポポル・ヴフ」第三部を読んでみました。
続きです。

              *****


                 (引用ここから)


●第6章

彼らのやってきた、あの「トゥラン」では、彼らは暁の到来を待ち、太陽の出を待って断食を守っていたから、なにも食べないでいることには慣れていた。

太陽の昇る前にまず現れる、かの偉大な星「イコキフ」がやってきた。

あの「トゥラン」に彼らがいた頃は、いつも東の方に輝いていた、かの輝かしい星を見守って、彼らは代わる代わる見張りに立った。

彼らがその権力と主座を得たのはこの地ではなく、かの「トゥラン」であった。

かの地で彼らは、大部族、小部族を屈服させて征服し、すべての者をトヒールの前に供犠とし、その血、その中身、胸、腋肉などを捧げたのであった。

彼らは「トゥラン」でたちまち権力を得た。
その智慧は、暗闇のうち、夜のうちに、絶大な力を持っていた。


やがて彼らは「トゥラン」を去り、東方を後にした。


彼らの神は言った。

「ここは我らのいる場所ではない。

我らの落ち着く先を探しに行こう。

お前たちも感謝を示す行いをせよ。

おまえたちの耳から血を出す用意をせよ。

おまえたちのひじをさして、おまえたちの供犠を行え。

これこそ、お前たちが神に感謝をささげる印だ。」


人間たちは、

「かしこまりました。 」

と言って、耳から血を出した。

そして歌いながら泣きだした。

「トゥラン」を去るので、彼らは心から悲しかったのである。


「あぁ、憐れな我らよ。

太陽が昇り、地の表が光り輝くあの夜明けをこの地で見ることもなく、我らは立ち去って行くのだ。」

と言いながら、彼らは「トゥラン」を去っていった。


しかし彼らは、通った道に人を残して日の出を見張らせたのであった。



どの部族の者も、太陽に先んじて出る星を見ようとして起き続けた。

彼らは東方からやってきた時以来、暁の明星を心に憧れていたのである。

彼らは今でも歌に歌われているように、こうした憧れを抱いて、あんなに遠いところからやってきたのであった。


       (引用ここまで・続く)



              *****


訳注によると、

「イコキフ」の語義は「太陽を担ぐ者」の意で、金星をさす、とあります。

また、ラス・カーサス氏による記録として
「土人たちは太陽を第一にあがめ、その次には暁の星をどの星よりも崇拝していた。
というのは、ケツァルコアトルが死んで、この星になったと考えていたからである。
彼らは毎日この星が出るのを待っていて、礼拝し、香をたき、自らの血を流して崇めていた。」と
記されている、とあります。


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