始まりに向かって

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「小型人類」について・・・“別の人類”が生存していた

2010-05-18 | その他先史文明
4月11日の読売新聞に興味深い記事がありました。

「謎の小型人類、復元・・ホモ・フロレシエンシス」という記事です。

新聞記事には、次のように書いてありました。


*****

(引用ここから)

(前略)

小型人類の発見は、人類進化の研究者たちに大きな衝撃を与えた。

人類は、脳と体が時代とともに大きくなってきた。

ところが、フローレス原人は体だけでなく脳も小型化しており、チンパンジーなみの400CCしかない。

進化の常識に反するため激しい論争があったが、その後、骨の分析が進み、小型の新種人類であることは、ほぼ確実になった。


フローレス原人が教えてくれるのは、「人類の進化は一本道ではない」と言う事実だ。

40000年前のシベリアにも、現生人類やネアンデルタール人と共存していた
別の人類がいたとの研究成果が、先月発表された。

想像以上に多様だった人類。

なぜフローレス原人たちは絶滅し、ホモサピエンスだけが世界中に広がったのだろうか。

(引用ここまで)


*****


“謎の小型人類”とは?、、と思って、調べてみたら、紹介記事がありました。


*****

(以下引用)

「人類進化の定説を覆す 小さな原人の発見」


K. ウォン(SCIENTIFIC AMERICAN 編集部)
 
 2004年,インドネシア・フローレス島の洞窟を発掘していたオーストラリアとインドネシアの研究者チームが身長1m足らずの小さなヒトの骨を発見したことをNature誌で発表した。

このヒトの仲間は今からほんの1万3000年前まで生きていたという。


この発表は古人類学界に衝撃を走らせた。

ホモ・サピエンスは,ヨーロッパのネアンデルタールとアジアのホモ・エレクトスが絶滅して以降,ほかにはヒトの仲間がいないまま,過去2万5000年のあいだ地球を独り占めにしていたものと思われていた。

しかもこれほど小型のホミニド(人類)は,ホモ・サピエンスが出現するはるか以前の300万年近く前に生きていたアウストラロピテクス類(ルーシーやその仲間)の化石でしか存在が知られていなかった。

 化石を分析したオーストラリア・ニューイングランド大学のブラウンらは,この人骨を新たなホモ属の一員と結論づけ,「ホモ・フロレシエンシス」と命名した。

脳の大きさはグレープフルーツほどだが,化石が見つかった洞窟からは高度な石器も発見されており,現生人類に匹敵する認知能力をもっていた可能性もうかがえる。
 

日経サイエンス2005・4
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0504/kobito.html


*****


この「小型人類」についての研究書の書評もありました。
科学者の中村桂子さんの文章です。

*****

(引用ここから)


今週の本棚:中村桂子・評 
『ホモ・フロレシエンシス…』=マイク・モーウッド他、著

 ◇『ホモ・フロレシエンシス 上・下--1万2000年前に消えた人類』
 (NHKブックス・各1019円)


 ◇アジアの島に住んだ「小さな人」

 インドネシア・フローレス島。
地図を見ていただくと、インドネシアの数多い島の中でもオーストラリアに近いものの一つである。

ジャワ島との間には、ウォレス線がある。

これは、ダーウィンと共に、進化における自然選択の重要性を指摘したウォレスの名に因(ちな)んだもので、この線をはさんでアジアとオーストラリアでは生物分布が異なる。

 このフローレス島で、2003年に、18000年前に生存したと思われる女性のほぼ完全な骨が発見されたのである。

二十世紀末から二十一世紀にかけて、人類の化石が主としてアフリカで次々と発見され、ヒトの進化については、かなりその道筋がわかってきたとされている。

ところが、このアジアの島で発見された骨は、とんでもない謎を投げかけた。

 骨からまずわかったのは、身長は1メートルほど、しかし子どもではなく成人であることであった。

骨の特徴を調べると、狭い鼻、小さい歯を持ち、頭蓋(ずがい)の形と頭蓋骨の厚さから現生人類の仲間、つまりホモ属であることは確かだった。

ところで問題は脳である。

「頭蓋の寸法から頭蓋内腔の容量を、発見物が『ホモ属の人類』とみなされる暫定的な指標の6000CC前後と予測していた。

しかし、脳頭蓋は思ったよりかなり厚みがあったので、測定値は驚くほど小さい380CCであった。

彼らは何度も頭蓋内腔の容量を測った。まちがいはなかった」。

私たちの脳は平均1350CC。

380CCは、人類と呼ばれるもので最小のアウストラロピテクス属のルーシーと同じ、チンパンジーと変らないのだ。

 ところが、ホモ・フロレシエンシスと名づけられたこの小さな人の骨の近くからは、石器が出ているし、火を使い、狩りをしていたと考えられる。

しかも脳は前頭葉と側頭葉が大きくホモ属の構造をしている。

そこで、小頭症のホモ・サピエンスと主張する研究者もいるが、この調査のリーダーを務めた著者をはじめ、多くの研究者はこれを新種と見ている。
 

改めて、ホモ・フロレシエンシスの謎を見てみよう。

まず、アジア大陸とは一度も陸続きになっていないフローレス島へ、いつどのようにして渡ったかである。

これは、人類がどこで生れ、進化し、拡散していったかということ、と
くにアジアでの人類の歴史を知るための重要な問いである。

また小型なのは、「島の法則」によるものかという問いがある。

これは、島に定住した動物のうち、ウサギより大きい哺乳(ほにゅう)類は小型化し、小さな哺乳類、爬虫(はちゅう)類、鳥類は大きくなることが多いという法則である。

ホビットにもそれが起きたのだろうか。

これまでは、人類はこの法則からはずれるとされていたので新しい謎である。

 実は、ジャワ島には25000年前まで、ホモ・エレクトスが生存していたと思われる。

ホモ・サピエンスは4万年ほど前にアジアに到達したとされるので、ホモ・フロレシエンシスと合わせると三種のヒトが共存していた時があったことになる。

人類の歴史は、日々作られているところだ。


毎日新聞 2008年6月15日 http://mainichi.jp/enta/book/hondana/archive/news/2008/06/20080615ddm015070029000c.html

(引用ここまで)



*****


進化の法則に当てはまらない、とみなされるこの“小型人類”は、どのようにして生まれてきたのでしょうか。

また、この“小型人類”の末裔の人々がいることも知られている、ということで、大変気になります。
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