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「ジビエの味、広がる?・・害獣対策で生産増、生食はNG」
朝日新聞2015・04・06
イノシシやシカなどの野生動物の肉「ジビエ」を調理して食べる動きが広がりつつある。
農作物の食害対策をかね、国や自治体が流通を後押ししているからだ。
飲食店の他、店頭やネット販売で手に入るが、生で食べず充分加熱するなどの注意も必要だ。
東京・JR神田駅そばに2年前に開店した「焼ジビエ罠(わな) 神田」。
エゾシカ、ニホンシカ、イノシシ、カモなどの肉を網に載せて焼く。
真夏には最高の味になるというシカ肉の赤みをいただくと、ジビエ特有の臭さがまったくなかった。
店長の中尾健児さんによると、秘密は仕入れにあるという。
狩猟後に内臓の処理と血抜きをすばやく終わらせることで、臭味を抑えられる。
原則1時間以内に処理できる狩猟家と契約して仕入れている。
「味付けはシンプル。
気軽に焼いて、肉本来の味を楽しめます」
おいしく、かつ安全に食べるため、客にはまず、店員が焼いてみせる。
ステーキの「レア」のように、中が赤いのはNGだ。
肉の中心部までしっかりと火を通す。
野生動物による農作物の被害は各地で問題になっている。
5月には、捕獲事業の認定制度導入などで対策を促す改正鳥獣保護法が施行される。
その肉を地域振興にいかす取り組みも進む。
三重県は、解体から加工、販売まで、ジビエを扱う業者の登録制度を独自に作り、肉は「三重ジビエ」と名付けて商標登録した
県が自ら市場調査や営業活動を実施し、販路拡大を目指す。
イノシシとシカ肉の生産量は3年で3倍に増え、年間計6~8トンに上るという。
農林水産省は、処理加工施設の整備や商品開発、流通経路の確立を支援。
食肉利用のマニュアルを作成し、研修も実施している。
同省の調査では、野生動物の処理加工施設は2008年は42か所だったが、昨年6月現在は少なくとも146か所ある。
とはいえ、売る先がなく苦戦する自治体も多い。
農水省によると、30市町村が対象の限られた調査だが、食用に利用されるのは約1割。
中尾さんは「ジビエが日本の食文化に育てばいい。販路が拡大して消費量が増えれば、地域の農作物の保護につながるし、猟師の生活も守れる」と話す。
ジビエは家庭でも入手できるが、食中毒への注意も必要だ。
家畜に比べて健康状態がつかみにくく、病原菌や寄生虫、ウイルスなどを持っている可能性がある。
代表例がE型肝炎で、感染すると発熱や黄疸などの症状が出て、場合によっては劇症化して死亡することもある。
2003年には、鳥取県で野生イノシシの肝臓を生で食べた2人が感染、うち1人が死亡した。
厚生労働省は昨年11月、衛生管理の指針を全国の都道府県に通知した。
狩猟、加工、運搬、調理、販売での注意点を定め、食べる際には「75度で1分以上」加熱するなどの注意点をあげている。
同省監視安全課は「法改正で捕獲量が増えると予想され、ウェブページも含め、一般にもわかりやすく周知したい」という。
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「昆虫食展、意外な人気・・伊丹で17000人来館」
朝日新聞2015・04・21
コオロギの素揚げ、蜂の子のつくだ煮、、昆虫食をテーマに、兵庫県の「伊丹市昆虫館」が開いた企画展が好評だ。
2か月で予想を上回る約17000人が来館。
会期は3週間延長されて、今月27日までに。
タイトルは「昆虫食・・とる・つくる・たべる」。
国内を含む世界各地で食べられている約40種類の昆虫料理を、タイ・カンボジアの露店などで買い付けた。
実物やそのレシピ、写真などで紹介する。
企画したのは副館長の坂本さん。
タガメの飼育を担当していた16年前、タイでタガメの素揚げを食べ、柑橘系のさわやかな味に感動。
東南アジアを中心に、昆虫を食べ歩いた。
国連食糧農業機関によると、世界の約20億人が約1900種の昆虫を食べている。
昆虫は高タンパクで、カルシウムも鉄分も豊富。
企画展でこれまでに開いた試食会では、カイコのさなぎの素揚げなどをふるまい、盛況だった。
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