ヴァールブルク著「蛇儀礼―北米プエブロインディアン地域で見た様々なイメージ」という本を読んでみました。
著者は1923年に同タイトルで講演を行っており、それが書籍となったものです。
プエブロインディアンとして描かれているのは、ホピ族です。
著者は、ホピ族における「蛇」について考察しています。
ホピの研究書として、とても古いものでもあり、重要だと思いました。
リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。
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(引用ここから)
「プエブロインディアン」という名前の由来は、スペイン語で「村」を意味する語(プエブロ)で呼ばれる複数の集落に、彼らが定住していることにあります。
そのように呼ぶのはまた、現在プエブロインディアンが定住しているニューメキシコやアリゾナの同じ地域で何十年か前までは狩猟と戦いにあけくれていた流浪の狩猟民族と区別するためでもあります。
私が興味を引かれたのは、アメリカのいわば真ん中に、未開の時代の異教的な文化の飛び地が残っているという事態、そして彼らが農業と狩猟を目的とした魔術を、今なお断固として守っている点であります。
この地域では、いわゆる迷信と生活の活動とが相互に手を携えて生きているのであります。
この迷信とは自然現象に対する、そして動物や植物に対する呪術的崇拝です。
インディアン達はそれらが生きた魂を持っていると思い、しかも何にも増して、仮面をかぶって行う自分たちの踊りでこうした様々な魂に力を及ぼすことができると信じているのです。
このように狂信的な魔術と冷めた合目的的な行動が同居している様は、我々から見ると分裂の印にしか思えません。
ところがインディアン達にとっては、分裂でもなんでもなく、それどころか人間と環境世界との間に限りない結合の可能性があるという、解放の体験なのです。
この地域には固有の宗教形成のファクターがあります。
それは水不足です。
水不足と、水への渇望の故に、魔術的儀礼がなされたからです。
土器の装飾を見ただけで、宗教的象徴の基本的な問題が見えてきます。
見た目にはただの飾りに見える模様が、実は宗教的に解釈する必要があり、宇宙論的に解き明かし得るのです。
それを示しているのが、私があるインディアンからもらった一つの絵です。
この絵では、宇宙論的表象の基本的要素である「家」・・それは「宇宙」が「家」の形をしているという、宇宙論的な想念・・の近くに、非合理的な大きさで動物が描かれています。
謎めいた、そして恐ろしいデーモンとしてここに現れているのは、蛇なのです。
また、自然に魂を見るアニミズム的儀礼の最も激しい形態は「仮面舞踏」です。
これは純粋の動物舞踏であったり、あるいは木を崇める舞踏であったりします。
最後に重要なものとして、生きた蛇との舞踏です。
(引用ここまで)
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蛇を中心とした、ホピ族の魔術についての研究です。
著者は、ホピ族のことは、「彼らが農業と狩猟を目的とした魔術を、今なお断固として守っている」人々としてとらえています。
文中の絵は、「インディアンの学童が描いた蛇型の稲妻の絵」というタイトルがついています。
家の左右の上方から下りているものが、蛇なのだと思います。
この絵が、ホピ族の世界観を表わしていると、著者は考えています。
ホピ族は家と世界とを、相似形でとらえていると考えています。
そして、世界は、ただ一つ、蛇とつながりをもっていると述べられています。
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