ヴァールブルク著「蛇儀礼」のご紹介を続けます。
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(引用ここから)
鳥は、インディアンの神話的象徴の中で大きな役割を果たしています。
祖鳥は祖霊のすべての動物と同じに、想像上の祖先を表わす動物=トーテム動物として尊敬されていますが、それとは別に、鳥はまた埋葬儀礼において特別な尊崇を集めています。
先史時代のホピ族の地域の村(ホピの言葉では「黄色い家」という名)の発掘層では、神話的幻想の基礎的表象に、猛禽類の「魂の鳥」というのがあったようです。
また鳥に対する偶像崇拝的な崇敬は、鳥の羽の故でもあります。
インディアン達は、羽を結んだ「ハポ」と呼ばれる小さな棒を祭壇の前に置いたり墓に立てたりして、祈りの道具に使います。
飛ぶ存在である鳥の羽「ハポ」は、彼らの望みや願いを自然の中の精霊に与えてくれるのです。
フュークス氏の発掘によって、古い時代から土器の技術があったこと、しかもそこには紋章のような鳥が描かれ、その横には「蛇」の絵もあったことが明らかになっています。
そしてこの「蛇」というのは、ホピ族にあっては最も生き生きした象徴であり、宗教的崇敬の対象となるのです。
この「蛇」は羽をつけた頭で、現在作られている容器の表面でも、とぐろを巻いています。
容器の縁には、4か所に方形の上飾りがついていますが、それぞれに動物の絵が描かれています。
カエルやクモといったこうした動物たちは四方を表わしており、またこれらの容器が地下礼拝所(キバ)の祭壇の前に置かれていたことがわかります。
地下礼拝所では、「蛇」は「稲妻」の象徴として、崇拝の中心的存在となるのです。
当地の祭司であり、竈(かまど)部屋の鍵の保管者であるクレオ・フリオ氏とその子息に頼んで、「蛇」の絵を描いてもらいました。
古い絵に描かれているのは、天候を司る神格としての蛇でした。
この絵では「世界=家」の屋根は、破風が階段状になっています。そして壁の上に、虹が広がっているのです。
モクモクと出ている雲の塊からは、下に何本もの短い縦線が出ていますが、これは雨が滝のように降ってくることを示しています。
そして中央にこの「雷雨=世界=家」の本当の支配者として、祭壇が建っています。
これは「ヤヤ」もしくは「イエリック」と呼ばれるもので、「蛇」の形はしていません。
このような絵を使って、信心のあるインディアン達は魔術的なまじないで夕立の恵みを得ようとするのです。
(引用ここまで)
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