大阪・堺の刑務所で、食事担当の受刑者数人が
衛生のため食堂などに置いてあった消毒用の
エチル・アルコールをジュースやお茶などで割り
“プリズン・カクテル”を作って呑んでいたという
飲酒を知った別の受刑者が職員に連絡し、発覚した
職員は「まさか飲むとは思わなかった」と驚きを隠さない
ご承知の通り、アルコールには工業用のメチルと
消毒などに使う薬品用のエチルがある
この二つ、映画好きな人なら
「フフ…」と思い当たるエピソードがある
例えば、勝新太郎が主演の映画「兵隊やくざ」では
酒が呑みたい兵隊のため、衛生兵から
エチル・アルコールを盗み、水で割って呑むシーンがある
キツイ度数のアルコールに、目を白黒させる勝が
「大丈夫か、そんなの呑んで」と問う兵士に
「エチルは呑めるのさ。ただしメチルはダメだ
アレを呑むと目が潰れる。つまりメがチル(散る)」
実際にメチル・アルコールを呑むと
失明し、最悪は死にいたるのだ
黒澤明監督の映画「酔いどれ天使」でも
アル中の医師(志村喬)がエチルを水で割り呑む場面がある
それを看護師に見咎められて、バツの悪そうな顔をするのだった
この映画を観た人間なら、悪賢い人間が
消毒用アルコールを呑むくらいは想像がつくが
難関試験を突破し、刑務官になった彼らには
全く想像も出来ないことだったのだろう
教養のためにも、古今東西の映画は観ておくものだ