goo blog サービス終了のお知らせ 

たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

森林経営管理法(その6) <Q&A資料から経営管理権実施権配分計画を読み解いてみる?>

2018-12-08 | 農林業のあり方

181208 森林経営管理法(その6) <QA資料から経営管理権実施権配分計画を読み解いてみる?>

 

農地制度について平成21年の法改正は平成の大改革とか言われていたと思います。森林についても似たような印象を持っています。たしかに一定の制度改革効果はあったと思いますが、耕作放棄地や森林の荒廃が減ったかと言われるとさほど顕著な変化を感じません。

 

しかし今回は違う、というような制度の概観を感じますが、どうでしょう。矢継ぎ早にいろんなところで「大改正」なり「新制度」が生まれていて、どうもトリガーのキーワードは適切な管理が行われていないというところで、あらゆる分野というか、少なくとも農林漁業の第一次産業分野では特徴付けられるように思えます。

 

漁業法改正も毎日社説<70年ぶりの漁業法改正 地元への目配りを十分に>などで、<漁場を「適切かつ有効に活用している」>かどうかが問われ、否となれば漁協の優先権を認めず、企業参入に門戸を開く方向が示されています。

 

農地についても<農地制度>で詳細が紹介されていますが、農地法や農業委員会法など関連法が平成27年改正で、さらに農地所有適格法人など第三者による利用促進にアクセルペダルが強力に押されてているようです。

 

私自身、以前からこのブログで時折指摘してきたとおり、所有に責任(まあ責務が無難でしょうけど)が伴うという立場ですので、所有者であるかどうかに関心がないとか、自分の土地建物を適切に管理・利用していない場合社会的な責任が伴うべきではないかと考えています。漁業権についても先祖伝来の受け継いだ権利だからと行って、乱獲するのも問題ですが、放置するのも問題だと思っています。

 

とはいえ、その「適切かつ有効な活用」とか、「適切な経営管理」とかいった抽象的な基準をどのようにしてステークホルダーの意見を反映させながら、透明な手続で、公正さを保持することができるかが、むしろ重要ではないかと考えます。と同時に、このような試みは、過去例がないのですから、モニタリングをしっかり行い、政省令などで基準・手続を明確にしても、実際に問題があれば手直しすることにとりわけ配慮してもらいたいと思うのです。むろんこれまでの法改正でもそのような配慮が行われてきたからこそ、頻繁に改正もされてきたと思いますが、どうも上滑りしているような部分もあるのではと思う部分もあります。

 

また饒舌な前書きになってしまいました。いつものことなので容赦ください。

 

さて今日の本論ですが、<Q&A>を参考に、<経営管理権集積計画の作成事務>を受けた<経営管理実施権配分計画の作成事務>(同17頁)を取り扱います。この間に重要な<民間事業者の募集>がありますが、今回は飛ばします。

 

<経営管理実施権配分計画>の内容については、<森林経営管理制度(新たな森林管理システム)について11頁で、<経営管理権集積計画(経営管理実施権配分計画)の作成>と同一に扱い、その違いを明確にしていません。ただ、12頁の<森林所有者に支払う金額の算定方法の例>では、<林業経営者は、木材の販売収益から伐採等に要する経費を差し引いた額を森林所有者等に支払うこととする。>とあることから、主伐か間伐か、施行期間、経営採算性などはこの計画の核心になると思われます。

 

では法文はどうなっているかを確認しましょう。

 

「第四章 民間事業者への経営管理実施権の配分(第三十五条―第四十一条)」が相当します。他方で、「第二章 市町村への経営管理権の集積」で4条ないし32条で詳細に記載されています。

 

352項で、「経営管理実施権配分計画」に掲げる法定事項として次のものをあげています。

一 経営管理実施権の設定を受ける民間事業者の氏名又は名称及び住所

二 民間事業者が経営管理実施権の設定を受ける森林の所在、地番、地目及び面積

三 前号に規定する森林の森林所有者の氏名又は名称及び住所

四 民間事業者が設定を受ける経営管理実施権の始期及び存続期間

五 民間事業者が設定を受ける経営管理実施権に基づいて行われる経営管理の内容

六 第二号に規定する森林に係る経営管理権集積計画において定められた第四条第二項第五号に規定する金銭の額の算定方法並びに当該金銭の支払の時期、相手方及び方法

七 市町村に支払われるべき金銭がある場合(次号に規定する清算の場合を除く。)における当該金銭の額の算定方法及び当該金銭の支払の時期

八 第四号に規定する存続期間の満了時及び第四十一条第二項の規定により同項に規定する委託が解除されたものとみなされた時における清算の方法

九 その他農林水産省令で定める事項

 

この6号が上記に指摘した<森林所有者に支払う金額の算定方法の例>に当たるものかと思いますが、同号でも引用されています425号の記載とほぼ同じですので、その違いは条文の規定からはわかりにくいですね。

 

実際、これもやり方によるとは思いますが、条文の記載のように簡単に収益から経費を控除して配分といった簡易な例は希だと思われます。C級材だとあまり問題ないでしょうけど、実際は森林の中はいろんな意味で複雑でしょう。具体的な計算は所有者、伐採林、売価など個別に識別すると、相当複雑ですので、どのような工夫をするかは林業経営体の力量と森林所有者との協議によるのかもしれません。

 

ところで、6号が引用する425号を読むと、利益配分は「販売収益から伐採等に要する経費を控除してなお利益がある場合」としていますので、さすがに林野庁もこの計画で必ず利益があるとまでは考えていないようです。そうありたいと思っているでしょうけど、経営管理というのは、市場動向や経費などの物価動向に大きく左右されるわけですから、利益がない、収支トントンとか、場合によっては赤字(それはないようにするでしょうけど)とかもありうるという、現状を踏まえた制度になっているようです

 

いずれにしても「経営管理権集積計画」も「経営管理実施権配分計画」も、市町村が作成主体です。ただ、計画について同意を必要とする相手が、前者は森林所有者(45項)、後者は選抜された民間事業者(353項、実質は林業経営者でしょうか)となっています。後者について森林所有者の同意を必要としないとしつつ、Q&Aでは<森林所有者に事前に情報提供することをお勧めします。>としています。当然ではないかと思うのですが、法文に明記されていないのはどうしてでしょう。また、森林所有者の中で配分利益が思ったより少ないとか言ったらどうするのでしょう。それは一部不同意の取扱になるのでしょうか。

 

なお、前者の計画は、厳密には所有権以外でも「地上権、質権、使用貸借による権利、賃借権又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者の全部の同意」を必要としています。

 

条文を読みながら書いていますので、一時間でもなかなか進みません。今日も中途ですがこの辺でおしまい。また明日。


181208 歩く道(その2) <万葉の面影>と<中世領主・隅田党の面影>そして紀ノ川段丘を歩いてみる

2018-12-08 | 心のやすらぎ・豊かさ

181208 歩く道(その2) <万葉の面影>と<中世領主・隅田党の面影>そして紀ノ川段丘を歩いてみる

 

先週日曜日、久しぶりに歩いて少々疲れましたが、それはいい感じでした。主治医の一言は金言です。これは続けてみようかと内心(ここで暴露すると責務?になる?)思っていて、今朝も少々冷えるなと思いながら、あるギリシア・ローマ法がらみの難しい(私にとって)法律論の書を読むよりいいかと、思い立ったのです。

 

紀ノ川に降りて見ようと、いくつかのコースを考えてみたのですが、まだ訪れたことのない万葉集に歌われた大和と紀州の国堺にある真土峠の「飛び越え石」をまず、訪れることにしました。

 

あさもよし 紀伊へ行く君が

真土山 越ゆらむ今日ぞ 雨な降りそね  巻9-1680

 

あさもよし 紀伊人羨ともしも 真土山 行き来と見らむ 紀伊人羨しも

巻1-55

 

いで我が駒 早く行きこそ 真土山 待つらむ妹を 行きてはや見む  巻12-3154

 

など、万葉人が大和を離れて他国に入ったことで、故郷を懐かしく思う心持ちなんでしょうか。いまだとこの間、車だと一時間もかかりませんので、そんな情緒はとても生まれそうにないですね。いやいや、昔、飛行機で30数時間かけてブラジル・アマゾン川中流域にある都市マナウスに降り立ったときでも、郷愁なんて気持ちは起こりませんでしたので、距離や移動手段ではなく、心の豊かさの違いかもしれません。まあ私自身が心の豊かさを持ち合わせていないことは自白しておきましょう。

 

いや驚きました。「飛び越え石」が結構大きかったのです。しかも狭い渓谷の様相で、大きな岩が蛾両岸にずっとつながっています。流れる川の名前は落合川といって、東京の落合川と同じ名前です。後者は一度訪れたことがありますが、昔年の面影はないのですが、結構生態系が豊かです。他方で、当地の落合川は小高い山が削られて、できたような渓谷で、当然ながら川岸の岩場の上は急な坂になっています。これでは飛鳥天平人の女性や子どもはここを通過するのが大変だったと思います。乗馬して上がり降りなんては無理な話ですね。

 

大雨の場合は増水して下に降りてはいけない注意書きがありますので、古代もまたとても増水時はもちろん、水量が少ない(たとえば今日のような冬期も)ときも、結構危ないでしょう。わたしはこういう岩場を歩くのは慣れているので、いい年をしてという気持ちは半分ありますが、すたすた岩伝いに渡っていきますが、それでも雨に濡れていると、沢登り専用のシューズでないと危ないかもしれません。

 

ところで、この渓谷美に感心して、少し岩場伝いに下流に降りていこうとしばらく進んだのですが、2m近い段差があり、やっかいな大岩があったので、もし滑ったりすると大怪我するなと、年寄りの冷や水がごとき振る舞いはやめにして退却することにしました。

 

その後、ちょうどいい水道(これはミズミチ、あ、そういえば水道法の改正が今国会で問題となっていましたが、これもいつか検討したいですねなんて思いながら)があったので、そのそばの幅1尺程度の道を歩いて行くことにしました。コンクリート造りの水路があり、水利組合が管理用の道としてそのそばに作っている道です。私もしばらくこの道を毎日のように草刈り、雑木刈り、ときにスズメバチ狩りなどして過ごしたことがあるので、とても愛着があります。むろんここの水路は初めてですが、水路ということでなにか親しみが湧くのです。しかも水路幅は日本では一般的な30㎝くらいでしょうか。

 

ただ、ここの水路脇の道は、崖状のところに作られているため、かなり危うい状況かなと思いました。実際、一カ所上から根倒しになった中高木が2本倒れていました。私が世話しているところだったら、すぐに枝払いして小さく切るのですが、水利組合も冬場はほとんど訪れることがないため、また定期的な監視活動の際、対応するのでしょう。

 

しばらく行くと、先般、橋桁が傾いた恋野橋が見えてきました。大きく傾いていることがよくわかります。倒れないように橋脚の下には規格外の土嚢袋が何段か積み重ねられ、ようやくこれ以上傾くのを止めている印象です。そのそばでは新しい道路橋づくりに、重機が何台も動いています。私が竹藪のわずかな隙間を降りていったところ、その現場が間近でした。というか、竹木をいま倒したばかりの束をユンボが掴んで、私の立っているすぐそばにボーンと下ろすのです。豪快ですね。まあ邪魔にならないよう、今回もさっさと立ち退くことにしました。

 

しばらく別の道を行くと、こんどは紀ノ川の両岸を結ぶ歩道橋に出くわしました。歩道橋からみる紀ノ川の岸辺景観は初めてでしたが、なかなか情緒があってよかったです。

 

その後、今度は幹線水路に沿って歩きました。幹線水路は紀ノ川の段丘の直上にあり、幅1.5mくらいありそうでした。そのそばに軽自動車が走れるほどの管理道路が幅1.5m弱で走っていましたので、そのそばを通って隅田の段丘畑、あるいは水田を見ながら散策したのです。

 

写真をパチリパチリと撮ったのはいいのですが、アップの仕方がよく分からないので、当分文字情報だけですね。fbでは結構、写真をアップしていたのですが、このブログではなんどか成功したものの、結局よくわからず、また、もうこのブログの3月までですので、このままでいこうかとおもっています。

 

このあと少し仕事をして、夕方またブログに戻ります。

 

 

 

 


森林経営管理法(その5) <Q&A資料から経営管理権集積計画を読み解いてみる?その2>

2018-12-07 | 農林業のあり方

181207 森林経営管理法(その5) <QA資料から経営管理権集積計画を読み解いてみる?その2>

 

昨日に引き続き、経営管理権集積計画なるものを考えてみようかと思います。<Q&A>でこの森林経営管理制度が少しずつ見えてくる感じですので、今日もこれを見ながら検討します。

 

Q&Aでは、最初に「林業経営が成り立つ森林」が取り上げられ、次に<経営管理が適切に行われていない森林>に対象が限定されるかと行った質問になっています。これは一体どういうことでしょう。

 

森林経営管理法>の条文(そろそろ条文解釈のさわりを少しずつ取り入れようかと思います)には、この<経営管理が適切に行われていない森林>という用語が一切ありません。ただ、2条3項で、「この法律において「経営管理」とは、森林(森林法第五条第一項の規定によりたてられた地域森林計画の対象とするものに限る。第五章を除き、以下同じ。)について自然的経済的社会的諸条件に応じた適切な経営又は管理を持続的に行うことをいう。」とありますから、本法では「経営管理」(しかもその定義自体に適切性を必須要件にしていますね。)をキーワードにしていることはよくわかります。

 

とはいえ、法文条では当該計画の対象を<経営管理が適切に行われていない森林>に限定する規定は明記されているとはいえません。

 

「経営管理権集積計画の作成」を定めた4条以下でも、そのような明確な定めはありません。4条1項で、「当該市町村に集積することが必要かつ適当であると認める場合」ということで権利主体である市町村への集積が必要かつ適当ということを定めているものの、<経営管理が適切に行われていない森林>という条件付けは法文からは明らかとはいえないと思います。

 

一体、国会ではどのような審議をしたのでしょうかね。議員に提供されるベーパーは要約されたものでしょうし、条文個々に当たる議員は多数の議案検討をかかえているので、よほどでない限り、レアではないかと思います。

 

新制度成立の背景は、経営管理が適切に行われていない森林が全国に多数あり放置できない状況ということではないかと思います。とはいえ「経営管理」という用語自体、それほど成熟した概念でなく、法文の規定もトートロジーのように見えますね。

 

今後政省令、あるいは通知でどの程度明確になるのか、期待したいです。そうでないと出発点がはっきりしないことになりますから。

 

またこの回答では、<本法律は、経営管理が行われていないことで公益的機能の維持等に支障が出る森林の経営管理を市町村に集積することを目指している>となっていますが、1条の目的規定ではそれほどこの点が明確とはいえません。

「この法律は、・・・林業経営の効率化及び森林の管理の適正化の一体的な促進を図り、もって林業の持続的発展及び森林の有する多面的機能の発揮に資することを目的とする。」とあるだけであって、はたしてそこまでいえるのかなと思うのです。いやいや、林野行政においては当然のことというのかもしれませんが、条文の文言だけからはそこまでいえるか少し疑問です。

 

公益的機能の維持等ということと、経営管理が適切におこなわれることとは同じではないですね。実際、その対立・調整の場面が当然あるわけですから。Q2-1では「林業に適した森林」否かの判断について、現時点では抽象的な基準だけで、結局、<民間事業者が再委託を受けない森林は経営的に適さない森林であると判断することもできると考えています。>ということですから、民間ベースで採算がとれなければ、計画対象とならないことを前提にしているようです。すると、この場合の経営管理の適切さというのはあいまいな印象です。

 

このあたりは政省令段階でより明確になるのでしょうか。どの部分が政省令に委ねられるのかいまのところよく分かりませんが、<制度概要22頁では10月ないし12月時点では政省令に加えて通知ができあがっているスケジュールです。いまのところ報道には上がっていないようですし、むろん林野庁のウェブサイトも変わりありません。

 

別に首を長くして待っている分けではありませんが、でもできあがるのを期待したいところです。

 

ところで、計画対象の森林になるか否かという点で、<人工林のみではなく天然林や放置竹林、原野等も意向調査の対象となるのか。>という質問への回答は基本、人工林をメインにおいているようです。

 

<市町村の判断により、放置竹林や天然林で意向調査することは可能>としつつ、市町村の判断に委ねています。興味深いのは天然林を取り上げ、<現状のままでも適切な経営管理が行われるような手入れを必要としない>ものは除外してもよいとしている点です。この文脈からは、天然林も対象としつつ、<適切な経営管理が行われるような手入れを必要としない>ものは除いてよいともとれます。天然林だから修飾語のようなことは当然にはいえないわけですから、やはり市町村は対象とする必要があるのではと思うのです。そうあって欲しいという思いもありますが。

 

他方で、放置竹林は完全に市町村の判断に委ねる趣旨ですね。しかし放置森林こそ大変な問題を抱えていますし、公益的機能にも支障を来したりしていると考えますので、これを市町村の判断に委ねることでよいかは考えものです。法文はなにも限定していませんので、林野庁がこういった解釈をしてよいのか気になるところです。

 

ただ、放置森林まで当然に計画対象とすると、それこそ意向調査やその後全体の計画推進がより複雑になるかもしれません。現時点では、このような理解にも一応の合理性が認められるかもしれませんが、もう少し利害得失を含め議論して説明責任を果たしておいた方が望ましいと思うのです。

 

他方で、原野や草原などは、除外してもとくに問題は少ないでしょう。

 

そろそろ一時間になりそうです。読みながら書いていますので、中身を理解するのに時間がかかり、進みません。今日もこの程度で終わりとします。また明日。


柿と人と農 <甘熟富有柿 「夢」と「希」最高級柿選果 九度山>などを読みながら

2018-12-07 | 農林業のあり方

181207 柿と人と農 <甘熟富有柿 「夢」と「希」最高級柿選果 九度山>などを読みながら

 

冬は柿ですね。当地に来て、毎日のように一個食べることが自然な感じになりました。他のフルーツはあまり関心がないのですけど。夏のメロンもスイカも。ナシやミカン、イチゴなどなどその他多彩なフルーツ天国日本ですが、あまり興味をそそらないのです。出されると残してはいけないので食べる程度です。当地にやってきてそんな感覚になったように思います。なぜでしょう?私自身がわかりません。

 

さてそんなくだらない話は別にして、当地は柿王国です。ですので農家も先駆けを狙って、いろいろ工夫するようです。商品差別化、高級品質化は当然でしょうね。

 

今朝の毎日紙面では「最高級柿を初選果」との見出しで取り上げていました。ウェブ記事では<甘熟富有柿「夢」と「希」最高級柿選果 九度山・JA紀北かわかみ /和歌山>と少し要約版としてアップしています。

 

先日のブログで紹介した九度山が舞台です。<九度山町特産の富有柿の最高級ブランド「甘熟(あまじゅく)富有柿」の今年の初選果が5日、町内の「JA紀北かわかみ マルい選果場」であった。>

 

さて初選果された高級ド品は、<初日に集荷された約1・5トンの中から厳選した最高品質の「夢」約20箱分、これに次ぐ「希(のぞみ)」約60箱分を詰めた。>とのこと。

 

では差別化のためにどのような工夫をしているかの一端は、<「夢」は木に実ったまま一つずつ袋を掛け、通常の柿より1週間~10日間長くおいて完熟させる。糖度18度以上で、大きい実は5Lサイズ(410~440グラム)ある。>大きさも極めてビッグです。

 

さらに選別はセンサー+プロが品質管理を行っているのです。<選別では、センサーを使って糖度や色付き具合を調べ、JA職員や甘熟富有柿部会の生産者らがさらに一つずつ見栄えの良しあしなどでより分けた。>

 

その結果、とても高額な品物として販売されるのです。<夢は大阪市内の市場、希は関東方面に出荷され、店頭では1箱(6~9個)7000~8000円で販売される。【松野和生】>

 

で、私がこの記事を取り上げたのは、<甘熟富有柿部会>の部会長であるNさんを知っているからで(紙面記事で掲載)、Nさんは地元に有名人が来たりすると説明したり柿畑を案内したりするそうです。

 

そのNさんの風貌がすごいです。私より若いのですが、まあ真っ黒焦げといっちゃ失礼ですが、これぞ百姓魂というか、炎熱の下でどれだけ苦労して丁寧に柿を育ててきたかが、その姿・顔・表情からすぐにうかがえるのです。Nさんのような柿農家がいる限り、九度山も当地の柿生産も期待できると思うのです。

 

そういえば1024日付け毎日記事<農と食・地域に根ざして/4 JA紀北かわかみ 宮崎卓郎組合長(62) 生柿の米豪輸出、本格化 /和歌山>では、今年から生柿の本格的な輸出を始めたそうです。

 

宮崎組合長が率先して、新たな市場を開拓して、当地の柿の魅力を海外の顧客層を掴もうとしているのでしょう。私は海外生活した狭い経験から、十分見込みがあると思うのです。北米はもちろん豪州の人たちもフルーツが好きですし、柿の本当の味を知るときっと飛びつくと期待しています。

 

宮崎組合長の話でしょうか、<私たちが手がける事業で皆さんにいま一番関心を持っていただいているのが、管内の主力産品である生柿の輸出でしょう。昨年は米国、今年は豪州と、どちらも国産柿として初の試みです。米国へは解禁に合わせて収穫期が遅めの富有柿0・8トンを輸出しましたが、現地到着が年明けになってクリスマス商戦には間に合いませんでした。今年は収穫の早い刀根早生柿を送り始めており、計10トン余りを見込んでいます。黄色っぽいカボチャで作るランタンのイメージを柿に重ね、10月末の「ハロウィーン」向けにアピールします。>

 

少しの間、宮崎組合長とある会でご一緒しましたが、業務多忙で別の方が参加するようになり、組合長はこういった新機軸を打ち出しているわけですから、多忙この上ないでしょうね。

 

当地の農業の将来については、AI化や新規担い手支援などいろんな方策に取り組んでいるようです。

<農業一般にいえることですが、課題となるのが農家の高齢化と生産用地の減少です。柿についても消毒や収穫作業の大きな負担を減らすため、機械による省力化や作業人員の確保策など検討を進めています。また生産用地を維持するため、休耕地を貸したい人と新たに栽培を希望する人をマッチングさせるなどの事業に取り組んでおり、昨年度は計95件(計18ヘクタール)の成約につなげました。これからもさまざまな困難を感じている生産者をJAがサポートしていきたいと考えています。【聞き手・松野和生】>

 

当地の農業についてもいつか、書いてみたいと思うのですが、いつになることやら。夕方、時間を見つけて、連載の森林経営管理法を続けます。


森林経営管理法(その4) <Q&A資料から経営管理権集積計画を読み解いてみる?>

2018-12-06 | 農林業のあり方

181206 森林経営管理法(その4) <QA資料から経営管理権集積計画を読み解いてみる?>

 

今朝の毎日・和歌山版に若い人たちのすがすがしい取り組みが掲載されていました。<西日本豪雨「豪雨ミカン」買うぜ 湯浅の農家が愛媛支援 CFで協力呼びかけ /和歌山>です。ミカン県同士で、お互い競い合っていると思うのですが、西日本豪雨で愛媛県のミカン産地は大被害を受けたニュースは繰り返し報道されていました。和歌山も規模は小さくても同じように被災しましたね。それでも<豪雨ミカン>と銘打って、いま話題のクラウドファンディング(CF)を使って宇和島ミカン農家に支援の手をあげたのです。うまくいくことを期待したいです。

 

ところで、連載中の?新法について、概説段階から林野庁の<森林経営管理制度(新たな森林管理システム)に関するQA>に依拠して、少しだけ今後の行方を探ってみたいと思います。

 

今回は<経営管理権集積計画の作成事務>を取り上げたいと思います。

質問に対する回答は11頁以下にあります。

 

そもそも「経営管理権集積計画」って何でしょうという疑問があるでしょうね。これはQ&Aの最初に<経営管理権集積計画及び経営管理実施権配分計画の性質>というタイトルで、個別の質問と回答を用意していますが、具体的にその違いを説明していないようです。前者は市町村を念頭におき、後者は林業経営体を念頭に置き、前者については経営管理権、後者については経営管理実施権について、集積計画、配分計画を想定しているように思えるのです。ただ、解説はもっぱら経営管理権を中心にして書かれています。

 

経営管理権は<森林所有者の委託を受けて伐採等を実施するために市町村に設定される権利>であり、経営管理実施権は<市町村の委託を受けて伐採等を実施するために林業経営者に設定される、経営管理権に基づく権利>ということで、おおざっぱにいえば経営管理という計画する権利と、その実施をする権利といったいい方も可能かもしれません。所有者、市町村、林業経営者(意欲と能力が必須要件)と委託が連続する関係ですね。

 

で、昨日基本的概要を説明したので、この計画の性質論は別の機会にします。

 

作成事務ですから、市町村の役割です。とはいえ、この内容次第で、委託を受けるかどうかの重要な事柄と考えますので、とりあえずこの内容を少しでも理解しておこうかと読み出した次第です。

 

市町村がまず最初にやるべきこととして、<「林業経営が成り立つ森林」「そうでない森林」>の仕分けが必要ですが、それをどのようにするのか、これについて回答では<森林資源の状況(傾斜など)や路網整備の状況、木材の供給先の有無など、森林の自然的経済的社会的条件により判断していただくことになります>とまず答えています。

 

ところが、次に<民間事業者が再委託を受けない森林は経営的に適さない森林であると判断することもできると考えています。>まあ市町村でなかなか判断がむずかしいことも想定して、民間事業者の経営判断に委ねている(丸投げのおそれもあります)というのが現状からやむなしと思っている節があります。

 

ただ、そうなると、現在森林管理が放置されている原因が経済的採算性が見込まれないからという理由が主ではないかと思われますので、再委託について強力な支援制度を用意しないと再委託できませんということで、そのままになってしまうおそれを心配します。

 

むろん市町村が強力に<森林の自然的経済的社会的条件>を見定めて、独自に<「林業経営が成り立つ森林」>と選別できるといいのですが、あるいは林野庁が省令・通知で、そのあたりの指標なり指針なり、明確なメルクマールを用意することで、仕分けが容易になるかもしれませんが、日本の森林は極めて地域性があり、全国的な統一基準は当てはまらないことが多いでしょうね。建築とか都市計画と言った人工的なものでもそうですから、人工林とかいっても自然条件の影響が高い森林では、容易でないでしょう。

 

いつのまにか駄文で30分が過ぎました。今日も中途半端ですが、少し仕事が遅れ気味で、今日も余裕がないのと、疲れ気味ですので、この程度でおしまいとします。また明日。