たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

名伯楽と選手の人格形成 <よろけるほど激しくビンタ…速見コーチ>と<大坂なおみの複雑な涙>などを読みながら

2018-09-09 | スポーツ

180909 名伯楽と選手の人格形成 <よろけるほど激しくビンタ…速見コーチ>と<大坂なおみの複雑な涙>などを読みながら

 

USオープンテニス2018年に大坂なおみ選手が優勝、すごいですね。といいながら、一度も試合を見ていません。ニュースでその豪快なショットをよく見ていた程度で、まさかと思っていました。

 

どうも昨年までの大坂選手の不安定なプレースタイルが刷り込まれていたようです。強いときは見事に勝つのですが、ちょっとしたことで(本人にとってはそうでないのかもしれませんが)、かっとなって投げやりな態度になり、すっと負けてしまうのを何度か見たことがあります。

 

その点、錦織圭選手は安定していましたね。マイケルチャンがコーチになってからは、チャンさんが選手時代に見せた技と忍耐強さを身につけてきて、ずいぶんと安定したという印象です。それで錦織選手の試合は割合見ていたように思います。ただ、チャンコーチをしても、ジョコビッチ相手となるとヘビににらまれたカエルのようで、もう一つ上に上がれない限界みたいなものも感じますね。

 

たしか準決勝のころでしたか、大坂選手の錦織選手についてのコメントが面白かったですね。年齢は大坂選手が20歳で、錦織選手が28歳ですから、ずっと年上ですが、たしか子どものまま大人になったような人といった趣旨の表現で、前置きで問題発言と断りながらも、指摘していました。

 

大坂選手は、10代の時からなかなかおもしろい人だなと思っていたのですが、プレイヤーとしては、心も体も今ひとつかなとも思っていました。それがこういったコメントができるというのはなかなかだなと思っていたら、コーチが今シーズンから変わったのですね。

 

大坂なおみ、恩師バインコーチも歴史的快挙に賛辞「これ以上なく誇りに思うよ!」>では、<ドイツ出身のバインコーチは今季から指導。精神的なムラのあった大坂のポテンシャルを開花させ、今年3月のBNPパリバ・オープンで日本女子初の「プレミアマンダトリー」を制覇。試合中に助言ができるツアー大会では大坂に寄り添い、励ます姿が頻繁に見られていた。>

 

たしかにUSオープンの勝ち方は半端ないですね。そして決勝では女王セリーナ選手と渡り合い、アウェー状態で1セットも奪われず圧勝ですね。勝った相手もすごいですが、勝ち方も日本の女子テニス界に、失礼、世界のですね、抜群のシンデレラ女王が誕生したように思えます。

 

ところで決勝戦はセリーナ選手と主審との紛議、観客のブーイングという、異常な状態で試合中も、授与式も行われたようです。

 

大坂なおみの複雑な涙:USオープンテニス2018年女子決勝戦で起こったこと>で、上山仁美氏がその詳細を報告しています。たしかに主審にかみつくような抗議は、ジョン・マッケンロー氏が俺こそ天下人だといった感じでよくやっていましたね。そういえば私がテニスをよくやっていたのはその頃でした(むろん素人の下手の横好きですが)。

 

でも大坂選手の態度は冷静にプレーに集中し、授与式ではブーイングに涙を流すほど繊細でした。決勝前には、相手となるセレーナ選手について聞かれ、アイラブハーと答えて、記者から笑いを誘ったくらい、真摯でおちゃめなかわいい人ですね。

 

と長々と大坂選手の大偉業を書きましたが、彼女の成功は、まさにバインコーチによる指導の影響が大きいのではないかと思います。あれだけ試合ごとにぶれていた大坂選手がこれだけ精神的にも体力的にも安定し、抜群の力を集中できるのは、その指導のたまものではないでしょうか。人間的にも成長したように見えるのは、一面的かもしれませんが、一線毎に勝った後のインタビューでのユーモアを交えた情緒にあふれる内容は、その成長を感じますし、錦織選手以上の魅力を感じます。

 

錦織選手や大坂選手のコーチとの関係と異なり、今回の宮川選手と早見コーチの関係は残念というか、大きな問題を露呈しているように思えます。

 

先にこのブログでも一度取り上げましたが、暴力も問題ですが、パワハラの問題をおろそかにすべきではないとの観点から述べました。

 

しかし、zakzakの記事<よろけるほど激しくビンタ…速見コーチ「指導者OUT」映像の波紋 第三者委「大岡裁き」できるか>によると、その暴力は、異常なものですね。まだ映像を見ていませんが、その他の記事を見てもこの映像を見て述べられている暴力の程度はその頻度といい程度といい、指導云々をするレベルではないと思います。

 

その当事者である速見コーチが協会の処分に異議をとなえ、一旦、執行停止の仮処分申立をしていますが、このこと自体、彼にその暴力行為の問題性について自覚がない証拠でしょう。担当弁護士は宮川選手や家族も同調していることから、速見コーチの言い分を裏付けもなく一旦は取り上げたのでしょう。

 

いま、速見コーチが行った暴力行為について、そのコーチとしての適格性を問い直す議論が起こっているようですが、それ自体はあえて問題にするつもりはありません。ただ、異常な暴力を目撃し、いや、映像にまでして残した関係者は、一体、なぜそのとき問題にせず、放任したのでしょうか。

 

そのような指導者として適格性に疑いのある行為をした場合、誰でも協会に告知し是正するようなシステムや状況が、いくら暴力追放宣言?をしても、実際には機能していなかったのではないでしょうか。それは暴力に限らず、暴言・侮蔑的言動などのパワハラがまかり通っている体制に問題があるように思うのです。

 

それは上はメダル獲得数を争い、下は小中学校からずっとそのような環境を是認する雰囲気がスポーツ界に根付いているからではないでしょうか。それはコーチだけの問題ではないと思います。協会という組織もそうですが、各学校やスポーツ運営団体も同様でしょう。

 

そして選手の家族の問題も少なくないと思うのです。未成年者であれば、両親には親権者として子が健やかに心豊かに生育させる権利とともに義務があるのです。コーチがいかに子どもの成績向上に役立つといっても、人権無視の暴力やパワハラを行っていれば、それは断固止めるべきではないでしょうか。

 

むろん成績至上主義がはびこっている現在のスポーツ界(すべてというわけではなく、多くは改善に向かっていると期待したいです)について、真の意味でのパラダイムシフトが必要でしょう。

大事なことを補足しておきます。

DVの問題では、子どもの前でDVを行うことが子どもに対するDVでもあることは現代では当然視されています。そこで他の選手がいる前でコーチが暴力、暴言をすることは、他の選手との関係でも許容されないと見るべきではないかと思います。


 

なお、<宮川紗江側、体操協会パワハラ第三者委に待った…委員長と塚原夫妻に“つながり”>といった宮川選手の側の考え方は、速見コーチに対する姿勢とともに、冷静さを欠いているように思われます。

 

その異議の理由は<第三者委員会の委員長に就任した岩井重一弁護士は、朝日生命が株主になっている会社の顧問弁護士も務めている。>ということであれば、利害関係を云々する事柄ではなく、宮川選手の代理人弁護士も100%信用したいとコメントしているようですが、それこそ当然の対応でしょう。

 

岩井さんは、私が東弁時代、委員会で一緒に仕事をした記憶がありますが(30年くらい前)、温厚でバランス感覚が良く、人気もあったと思います。むろんそのような人柄のことは関係ありませんし、利害対立の可能性があるか否かは自ら慎重に調査して、引き受けていると思います。少なくとも上記の関係が利害関係を論ずるには当たらないことは誰も異議はないと思います。

 

それにしても、わが国のスポーツ界に適切な指導体制を早くつくってもらいたいものです。単にメダル獲得数が多いとか、勝利主義にはまるタイプでない、コーチの要請が課題でしょう。

 

今日はこれにておしまい。また明日


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