180812 ヘリの安全確保 <群馬・防災ヘリ、不可解な航跡 視界悪く接触か>などを読んで
今日は日航機墜落33年目だったのですね。事故当時、ずっとTVに釘付け状態でしたか。九ちゃんという幼い頃から好きだった歌手が搭乗していたことの悲しみもありました。あの悲惨な事故状況の中で少女が自衛隊の救助ヘリで救出されるシーンは忘れがたいものでした。飛行機事故のむごさと、救助ヘリと救援活動の素晴らしさを感じたものでした。
その後所用があって上野村に何度か出かけ、御巣鷹山の慰霊碑の前で仲間と一緒に追悼したのはもう四半世紀以上前でしょうか。
その御巣鷹山からわずか50kmくらい北方で、10日に群馬県の防災ヘリコプターが墜落し、搭乗者9名全員が死亡したのですね。
毎日記事<群馬県防災ヘリ墜落地元の精鋭失い涙 同僚「言葉ない」>では、このうち5人の消防隊員は「救助のスペシャリスト」として活躍して期待されていたとのことです。誰が亡くなってもその命は尊さに変わりありませんが、救助の担い手が亡くなるというのは悲しさを増しますね。
毎日一面記事<通信途絶直前に突然の旋回 航路外れ>では、<ヘリは、11日開通の群馬・新潟・長野3県の稜線(りょうせん)を結ぶ登山ルート「ぐんま県境稜線トレイル」を視察するため、10日午前9時半ごろ、西吾妻福祉病院(群馬県長野原町)のヘリポートを離陸。>
救助スペシャリストが搭乗して、新しい登山ルートを視察するということですから、単純に登山ルートを上から眺めるのではなく、道に迷いやすいところ、迷った場合に滑落のおそれなどの危険の存在や、救助ルートの把握など多様な視点で調べていたのだと思います。
ところがなぜか急旋回し、その後墜落した可能性があります。
<搭載されていた全地球測位システム(GPS)の位置情報によると、群馬・長野県境の稜線トレイルに沿って、北東へほぼ予定通りに飛んでいたが、午前9時59分ごろ南へ急旋回し、午前10時1分を最後に情報が途絶え、渋峠(しぶとうげ)から北に約2キロの山中に墜落した。>
しかし、<墜落したヘリはフライトレコーダー(飛行記録装置)は搭載しておらず、原因究明には時間がかかるとみられる。>というのです。こういう状況はこれまでもヘリや小型機の墜落ではよく言われることのように思うのです。
この問題を大きく取り上げている<クローズアップ2018群馬・防災ヘリ、不可解な航跡 視界悪く接触か>でも、航跡についてGPSの航跡記録からは午前9時56分には渋峠を北東に向かって飛行していたのが、9時59分には急旋回して南西に向かい、さらに旋回して北西に向かい、10時1分過ぎに通信が途絶えた後北西方向に向かって墜落したというのです。
ただ、なぜ急旋回したかについては、不可解な航跡という指摘があるものの、その理由については視界が悪かったためかとか、雲を避けようとしたためかとか、憶測の域を出ていません。
現場は山岳地帯ですが、地元眺望隊員らが目視で確認するため、危険な低空飛行をしていて、樹木などに接触した可能性が指摘されています。
その危険性について<国土の約6割を山岳地帯が占める国内では、空中停止(ホバリング)やヘリポートだけで離着陸できるヘリコプターが救助や輸送などで広く活用されている。一方、救助のために低空飛行したり、過酷な環境で運用したりする場合が多く、墜落事故も相次ぐ。>と過去の事故例を取り上げながら、指摘しています。
<山岳地帯での主なヘリ事故
2007年4月 富山市の北アルプスで民間ヘリが墜落し2人が死亡。雪などによるホワイトアウトで空間識失調に
09年9月 岐阜県高山市の奥穂高岳付近で、県防災ヘリが救助中に墜落し3人死亡。高度低下で主回転翼が岩壁に接触
10年7月 埼玉県秩父市の山中で、県防災ヘリが救助中に墜落し5人死亡。低空飛行し、後部回転翼が木を巻き込んだ
17年3月 長野県松本市の鉢伏山で、県消防防災ヘリが訓練中に墜落し9人死亡。低空飛行中に木に接触した可能性>
私はたぶん一度だけヘリに搭乗したことがあります。住宅地のおそらく数100m上空でしょうか、仕事上の理由で飛び、ビデオ撮影をしました。その音量の大きさに最初驚きました。それまでなんどもセスナ機など小型機には搭乗したことがありますが、別格のうるささでした。それに結構揺れる感じで危うさも少し感じました。これは素人感覚ですが、プロのパイロットでは問題外の話です。ただ、熟練したパイロットであっても、急峻な山岳地帯での低空飛行は極めて危険ではないかと思います。危険な飛行は避けるようにといいたいところですが、そんなことをいったら、救難事故に対応できませんね。
おそらく救難ヘリの場合はとくに、救難要請があるようなときは天候不順、場所も厳しい山岳地帯などが普通でしょうから、そういうさまざまな悪条件を想定しながら操縦しているのではないかと推測します。
他方で、山岳地帯の気象条件は一瞬で変わることがありますね。風の向き、強さもその一つでしょう。谷間や峠越えなどではとくにそうではないでしょうか。こういう条件の場所で飛んだことがないので私には想像するしかありません。
なぜ私が素人感覚で駄文を続けているかというと、こういう状況はおかしいのではと思うからです。
大型機ではフライトレコーダーやボイスレコーダーが入っているブラックボックスを搭載する義務がありますが、ヘリや小型機には搭載義務がなく、上記のような墜落事故が続いていても、事故原因の調査が資料不足で、長時間かかったり、あるいは解明されないままということもあるようです。
ウィキペディアの<ブラックボックス(航空)>によると、
<日本では、1966年2月の全日空羽田沖墜落事故を教訓に、航空法「第六十一条第一項」および航空法施行規則「第百四十九条」(航空機の運航の状況を記録するための装置)に搭載が義務づけられている航空機および記録内容が定められている。>
しかしヘリは対象外ですので、義務がないのと装置が高価すぎることもあって搭載していないのが普通のようですが、少しずつ改善しているようです。
<消防防災ヘリコプターに採用される機種の多くは最大離陸重量の制限を超えないため[3]FDRの搭載義務は無く、工事期間中に出動できないことや1000万円以上高価がネックとなり[4]導入している自治体は30%以下とされる[5]。
日本での航空機事故ではヘリコプターについで小型の固定翼機が多い(約28%)ものの、価格の他にも計器との接続が複雑で重量もあり義務化のハードルが高いとされてきた。近年では軽量で小型機にも搭載しやすい簡易型FDRが登場していることから、国交省ではボランティアを募って検証実験を行う予定[4]。>
ヘリや小型機はジョット機に比べて飛行高度も低く、搭乗者もごく少数ですり、簡易な装置を普及させて安価なもので代替する開発を促進する必要があるのではと思うのです。
とここまで長い前置きになりました。ヘリはドクターヘリにしても救助ヘリにしても、さまざまな役割をもち必須のものの一つでしょう。しかし、ヘリの役割を考えたとき、安全性が十分確保できない、あるいは事故が起こっても原因追及が十分なされない状況にあるとき、別の代替策をより普及させることを考えるべきではないでしょうか。
ドローンです。すでに飛躍的にさまざまな領域で使われていると思います。先日もNHKで北アルプスの剱岳などを許可を得て飛行させ、人が近づけない上空から見事に撮影していました。救助消防隊員も、できるだけドローン撮影を使って、対応することで危険を回避することが大事ではないでしょうか。むろん救難事故が起これば、ドローンに頼れませんので、ヘリによる救援が必要でしょうし、その場合事前現場付近の状況を知っていることが大事なことはわかります。
しかし、事前調査などはできるだけドローンによる代替策をとって、今回のような悲惨な事故で、ご本人やご遺族が悲しむことがないよう、考えてもらいたいと思うのです。少なくともドローンという人が搭乗しなくてよい装置があるのですから、この活用をより進めていいのではと思うのです。実は私も使ってみたいと思いますが、おそらく死ぬまでに使う機会はないでしょうけど。
約1時間が経過しました。いつものように饒舌となりました。今日はこれにておしまい。また明日。
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