たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

差別的表現と良心的抵抗 <新潮45・・「炎上商法」?>と<棚から撤去 和歌山の書店>などを読みながら

2018-09-21 | 差別<人種、障がい、性差、格差など

180921 差別的表現と良心的抵抗 <新潮45・・「炎上商法」?>と<棚から撤去 和歌山の書店>などを読みながら

 

自民党総裁選、安倍氏3選でしたが、石破氏の善戦で、党員・党友票と国会議員票との乖離、安倍政権への国民の疑問が露呈ないし反映した形になったように思います。NHK9時の番組で登場した安倍氏の質問への答えもちぐはぐで、彼の資質なのか、意外な結果に内心心の整理がつかないのか、長期政権を担うトップらしさは感じられませんでした。

 

むろんプーチン氏やトランプ氏のように、どんな批判も無視して(前者は国内では批判されにくい条件下にあるとは思いますが)、蕩々と持論を一方的に述べるのは、独裁的であってこれまた支持できません。が、安倍氏の言葉には、残念ながら言行一致とか清廉さとか、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、どうもこれらが弱いなと思うのです。それが国民全体の意識として形なりを整えて面従腹背が許容されるのではといった誤った信号が飛び交っているように感じてしまいます。

 

ところで、党員・党友票の得票数を示す毎日記事<2018自民党総裁選ドキュメント 伸びぬ党員票「反省会だ」>では、安倍氏の得票率がダントツ一位の山口県は地元ですから分かりますが、二位は和歌山県で80%を超え山口県と遜色がない比率に驚きました。二階氏の力もあるんでしょうけど、これは和歌山県民として、長いものに巻かれろ式のようで、気になる結果です。

 

と思っていたら、すてきな記事が和歌山の本屋さんのことでアップされていました。今日の朝日ウェブ記事で<新潮社の本を棚から撤去和歌山の書店、新潮45に抗議>です。

 

<自民党の杉田水脈(みお)衆院議員が同性カップルを念頭に「生産性がない」などと月刊誌「新潮45」で主張し>また<新潮社は18日発売の「新潮45」10月号で、8月号に掲載された杉田氏の寄稿に批判が寄せられたことに対して「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」とする記事7本を集めた企画を掲載した。>と「新潮45」はヒートアップしていますね。

 

これに対し、<この記事について、店主の三木早也佳さん(36)は「性的マイノリティーの方々への侮辱的であまりにひどい言葉の暴力が展開されており、一線を越えている」と話す。・・書店の立場から抗議の意思を示したいと、当面の間、新潮社の新刊本販売を停止することを決め、書棚の本も撤去した。>それが<和歌山市万町の書店「本屋プラグ」>です。

 

本屋さんは言論の担い手の一端を占めており、エンドユーザーである読者との関係では、直接の責任者的立場かもしれません。そのような意識で本屋さんを経営されている方は少ないかもしれませんが。売れればいい、というのは出版社だけでなく、本屋さんも同じような感覚でやっている人も少なくないでしょう。

 

この本屋さんは違っていました。

 

<言葉の暴力><一線を越えている>という指摘は、真摯で誠実な言葉ではないかと思います。そしてその対抗手段として、本の撤去は良心的抵抗といってもいいのではないかと思うのです。むろん消費者である読者の選択に任せるのも一つです。しかし、本屋さんもまた、選択の権利と責任があると思うのです。私たちはいつもその選択の権利と責任に対面していて、それをどう意識化し体現するかが試されているように思うのです。

 

私はこの本を読んでいませんし、読むつもりもありません。そういった不作為も、読む前から云々はあっても自己責任として引き受けたいと思うのです。他方で、本屋さんの姿勢もいま試されていると思うのです。和歌山県の本屋として、最初に手を上げた?のはうれしいですね。

 

ところで、毎日の本日記事は<アクセス新潮45「右寄り」に活路 出版不況で「ヘイト路線」「炎上商法」? 批判噴出「なぜ差別に加担」>と、同誌の<変節>を問題にしています。

 

<「新潮45」は45歳以上の中高年層向けで1982年に創刊。公式サイトは「ちょっと危険で深くて、スリリング。死角を突き、誰も言わないことを言い、人の生き死にを考える」とうたう。昨年2月号の特集「病の『人生学』」では人の死生観を掘り下げ、評価された。

 しかし、部数は下降の一途だ。日本雑誌協会によると、今年4~6月の平均発行部数は1万6800部。10年前の同じ時期に比べ約4割に落ち込んだ。

 同誌編集部に詳しい新潮社の関係者によると、昨年秋以降、上層部から厳しい声が出るようになったという。「右寄りの特集の時はよく売れた。他社の右派系の雑誌が刷り部数を増やしたという話も伝わり、『この方向しかない』となったようだ。今年1月号から路線が変わった印象だ」と話す。>

 

炎上商法なんて批判されることにどう対応するのでしょうね。

 

前日の20日記事<<新潮45社内から抗議投稿、創立の志「良心に背く出版せぬ事」 「生産性ない」杉田氏擁護に 岩波・河出も応援>では社内外から批判の声が上がっているのですが、我関せずなんでしょうか。それも出版の自由で押し切るのでしょうか。いやトランプ流の同誌の存亡に関わっているのだとか、売り上げが増えればいいのだとか、同誌担当者の地位が安定すればいいのだといった感覚ではないことを期待したいです。

 

最後に、私自身もLGBTなどについて、さほど意識したことがなかったので、そのレベルは低い方だと思います。多少影響を受けたのは、映画フィラデルフィアでトム・ハンクスが演じたゲイの立場と当時のAIDSLGBTに対する意識の低さが背景に描かれていて、90年代後半になり、少しずつ問題視するようになったくらいでしょうか。

 

そんな私には、和歌山の本屋さんが一店舗としてしっかりした態度を示してくれたのは、うれしい限りです。

 

これでおしまい。


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