たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

高齢労働のリスク対処 <60歳以上の労災事故が増加 転倒多発>を読みながら

2019-01-11 | 人間力

190111 高齢労働のリスク対処 <60歳以上の労災事故が増加 転倒多発>を読みながら

 

今朝の毎日は、<毎月勤労統計不適切調査 過少給付、各数百億円 雇用と労災保険>と銘打って、勤労統計の不正を一面で取り上げていましたが、他の報道でも同様だったかと思います。

 

統計数値は客観的なものとしてさまざまな基礎データとなりますし、今回のように雇用保険と労災保険の給付額に直接影響があったというわけですから、深刻なものと言ってよいでしょう。そのミスはかなり初歩的であったようですが、原因調査をしっかりして、改善してもらいたいものです。

 

労災との関係で、もう一つ、<くらしナビ・ライフスタイル60歳以上の労災事故が増加 転倒多発、危険箇所の確認を>という記事があり、これも統計データに依拠して、その労災原因と対策を取り上げており、高齢者が労働継続する傾向が高まる中、タイムリーなものと言えるでしょう。

 

用貝成子記者の論理は、働く労働者が増えている、60歳以上の労災事故が増加している、しかも転倒事故が多い、その防止対策を具体的に提案するものです。

<年金受給開始年齢の引き上げや、定年後の継続雇用制度の整備で働く高齢者が増えるにつれ、60歳以上の労災事故が増加している。特に転倒による事故が多い。>

 

この論理はなるほどと自然に腑に落ちるものです。

 

そして普段気づかない落とし穴まで指摘しています。< 「人は、つまずいてしまうようなものが何もない場所でも転倒する。だから対策が難しい。日ごろから歩き方に気を配ったり、階段で手すりを持ったりするなど繰り返し呼び掛けることが必要」>と、<厚生労働省の労働基準局安全衛生部安全課の高松達朗係長>の話となり、その根拠を次の統計資料を踏まえて係長が展開します。

 

まず①<総務省統計局の労働力調査では、65歳以上の労働者が年々増加。継続雇用制度がスタートする前年の2013年は637万人、4年後の17年は807万人で170万人増えた。>

 

次に②<厚労省によると、17年の労働災害(4日以上、仕事を休んだ事故)の発生件数は12万460件。事故で死傷した人を年齢別でみると高齢になるほど多い。40歳代は2万6498件で50歳代は2万8631件。60歳以上は3万27件で約25%を占めた。10年前の07年には発生件数は13万1478件、年齢別で60歳以上は2万1396件で全体の16%(グラフ参照)。この10年間で労働災害の総件数が減ったのに対し、60歳以上では増えているのが分かる。>

 

そして③<労働災害の原因で最も多いのは転倒。17年には2万8310件発生し、全体の24%だった。昨年12月現在の速報値で、昨年1~11月末に発生した労災事故の件数をみると、前年同期比で6881件増加したが、うち転倒によるものは3642件、同比で16%増えた。>

 

これら①~③を踏まえて転倒による労災原因として<高松係長は「高齢労働者が増えたことが大きな要因」としている。>と結論づけています。こんなに高齢者の転倒事故が多いのは驚きですが、知っておいて損はないでしょう。

 

ただ、なぜか<60歳以上では重大な事故が多い。死亡事故は17年に978件あり、年代が高くなるにつれ増える。60歳以上が最も多い328件で全体の34%、3分の1を占めている。>点は、転倒によるものというわけではないと思いますので、別の文脈で触れる方が望ましいでしょうね。

 

私も時折、労災の速報値を見ますが、死亡事故の場合とくに原因が明らかでないというか、明確でないことが多いように思います。さらにいえば死傷事故一般にその原因調査がかなり定型的で十分な予防策を提示するようなものとなっていないと思われることが少なくなく、調査方法に改善を求めたいと思うことがあります。逆に言うと、転倒といった場合の労災原因は分かりやすいので、簡単に選択できますが、複雑な場合おざなりになっていないかを懸念します。

 

余分なことにまで口を出してしまいました。

 

統計データで興味深いのは<厚労省は業種別に労災事故の原因を調べ、3年ごとに発表している。業種別で最多の製造業では13年に転倒が原因の事故は4842件起きた。うち50歳代で1518件、60歳以上では1482件あり、50歳以上の事故は約6割を占めた。>という点です。なぜ製造業でこんなに転倒が多いのでしょう。高松係長が最初に指摘したように、思いも寄らないところでも転倒するからでしょうか?不思議ですね。その転倒箇所を類型化すると、もう少し要因が解明できるかもしれませんね。このあたりもっとAIを活用してもよいのではと思うのです。

 

ただ、次の論理はちょっと腑に落ちません。<労災事故として申請した人の6割が1カ月以上休業しており、転倒は重い事故になりやすいことが分かる。>と結論づけていますが、労災事故で転倒が多いことと、申請者の6割が1ヶ月以上の休業とは必ずしも転倒→重傷事故に結びつくわけではありませんね。

 

この後高松係長や企業の対策案が引用されていますので、興味のある方は当該記事をご覧ください。

 

最後に厚労省がeラーニングによる指導法をアップして普及を目指しているということで、それが<転倒災害防止のためのチェックシート>として一部引用されているのではないかと思いますので、ここで紹介しておきます。まあ労災に限らず、高齢者に限らず、一般的に役立ちそうに思えます。私も心しておこうかと思いますので。

 

<1>通路、階段、出口に物を放置していないか

<2>床の水たまりや氷、油、粉類などは放置せず、その都度取り除いているか

<3>安全に移動できるように十分な明るさ(照度)を確保しているか

<4>転倒予防のための教育を行っているか

<5>作業靴は作業現場に合った耐滑性があり、ちょうど良いサイズのものを選んでいるか

<6>ヒヤリハット情報を活用し、転倒しやすい場所の危険マップを作製して周知しているか

<7>段差があったり滑りやすかったりする場所などに注意を促す標識をつけているか

<8>ポケットに手を入れたまま歩くことを禁止しているか

<9>ストレッチ体操や転倒予防のための運動を取り入れているか

 

ではこれにておしまい。またあした。

 

 

 

 


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