たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

第三者委員会について 東芝の米原発事業の損失額が最大7000億円の可能性

2017-01-22 | 委員会制度の多様性とあり方

170122 第三者委員会について 東芝の米原発事業の損失額が最大7000億円の可能性

 

今朝も穏やかな天候なれど、昨日の作業で筋肉痛が残り、少し躊躇しつつ、昨日の作業中に気づいたヒノキの倒木ともうすぐ倒れそうな腐食木を放置できないと思い、えいやと出かけていきました。いずれも以前、枝打ちして少しはこぎれいになったヒノキでしたが、一つは風で倒れていました。もう一つはまだなんとか立っていますが、外観の胸高径が20㎝以上あるものの、檜皮の下はすかすかで、しっかりした部分は10㎝もない状態で、ちょっと押しても揺らいでいます。

 

それでまず倒れそうな木をロープで引っ張って倒そうとしたのですが、これが意外としっかりしていて一向に倒れそうもありません。最後はあきらめてノコで受け口、追い口を切り、そしてロープで引っ張って伐倒しました。倒れなかった理由の一つは、10㎝の径でも割合しっかりしていたのと、上部のところで、隣のヒノキから張り出した枝に巻き付いたツルで確保されていたためです。そのため今度は隣のヒノキに登り、そのツルを切ったり、ついでに枝打ちしたりして、結構時間がかかりました。

 

というか、ぶり縄で登ればよかったのですが、以前枝打ちしたときに、次に登るときに登りやすいように枝を足がかかる程度に残していたので、これを利用としたのが間違いでした。その残した枝に飛びついて上に上がっていこうとしたのですが、年齢でしょうか、手の引っ張り力、足と太ももの抑えが効かないのです。ずるずるとすべってしまい、年には勝てないなと自覚してしまいました。とはいえ、昔から木登りは特異と勝手に思っているものですから、なんどか挑戦してようやく登り切りました。

 

その後倒木をノコで運びやすい大きさに切って、枝打ちした枝、倒木、伐倒した木を集めて、焼きました。これが約2時間でしょうか、まだ半分も焼けていませんが、家から見えるところなので、炎が大きくならないよう注意しながら、家で食事をしました。そうこうするうち、雨が降ってきて、煙も小さくなり、自然に消えてしまいました。

 

おかげでゆっくりと囲碁戦を鑑賞することができました。ほとんどわかりませんが、たまに河野九段の打つ手が予想と当たるとまんざらでもなくなるのは素人の浅知恵まるだしです。素人目には中盤で河野九段が完全に有利と思っていたら、黄八段も巧みに?打って逆転したのではなんて思っていたら、黄さん石をふいに置いてしまい、拍子抜けでした。素人の岡目八目ではなにがなんだかわかりませんが、やはり面白いです。カジノなどに関心が高い風潮にはなかなかついていけない自分を感じてしまいます。

 

さて表題のタイトルを取り上げる前にもう少し、別の話をしておきたいと思います。昨日見たNHKのプラたもり、四国の金刀比羅宮を取り上げましたが、その立地の所以(テーブルマウンテン的形状)とか、ある種のエンターテインメントを活用したり、興味深い話でした。ただ、祭神について説明がなかったのではと思い、確認したところ、ウェブ情報では、大物主神と崇徳天皇とされていることにびっくりでした。私は海上交通の安全を祈るということですから、てっきり底筒男命、中筒男命、表筒男命と、神功皇后ではないかと思っていましたので、意外でした。大物主神はまだ理屈はわかりますが、崇徳天皇となると、なにがなんだかといった感じになります。崇徳天皇はこの近くに流され、最後は後白河上皇などを祟って狂った状態でなくなったと思います。その祟りで京ではさまざまな災難があったと記憶しています。こういう場合、たとえば菅原道真のように祭神として祭り、怒りを静めるために天満宮を建立するといったことはありますね。でも崇徳天皇(上皇)については、あまり聞いたことがないので、いつも不思議に思っていました。西行法師も崇徳崩御後にその地を訪れ、しかも近くに西行庵を設けて一年間も滞在してその逝去を悼んだわけですが(これは以前、少し触れています)、その西行がこの金刀比羅宮を訪問したというのはたぶんなかったのではと思っています。

 

そして金刀比羅宮が日本各地からの参拝者で賑わう仕掛け?は、お土産のアメや、富くじ、そして歌舞伎といった具合で、なかなかの戦略と思いますが、崇徳天皇は話はあまり取り上げていないように思います(和歌とか文芸の神様とか)。そこも不思議に感じてしまいます。

 

もう一つ取り上げようとしたNHKサキどりの「まろやか紅茶で地域をひとつに!」も水俣病がいまなお、地元の人にとって風評被害が重くのしかかっている、逆に言うと日本各地で水俣病への理解がまだ十分できていないことの裏返しでもあり、他方で、水俣病で苦しんでいる人がいまなお救済されないでいる状態にあることを背後にしながら、地元の農家を中心に未来志向の創造的な取り組みは取り上げたいと思いつつ、また別の機会にしたいと思います。

 

で、ここからやっと本論に入りたいと思います。まず毎日朝刊120日付け記事は一面で、<3年連続赤字…半導体新社株、入札へ 3月期見通し>と題して、まず「東芝の米原発事業の損失額が最大7000億円に上る可能性があり、2017年3月期連結決算で最終(当期)赤字に陥ることが確実となった。」として、東芝の事業分割・譲渡や銀行支援について先行きの不安を指摘しています。

 

ここでは東芝自体の存亡はテーマではないので、そういった現在東芝が検討している事項についてはこの程度にして、15年に起こった同社の会計不正事件について、第三者委員会が行ったことに焦点を当てて、問題点を探りたいと思います。

 

ところで、最近の企業不祥事では、第三者委員会という組織が調査し、その事実関係を調査し、その原因及びその処理対応ならびに再発防止策を報告するというスタイルがかなり一般化してきたように思えます。

 

その第三者委員会の構成メンバーとして、弁護士が他の専門家とともに選ばれる場合が多いかと思います。この第三者委員会は、法制度上の組織ではないので、その行動原理や、組織体を規律する特段のルールもありません。ではそのような組織に「第三者」委員会という呼称が与えられたのか、その所以は私自身、分かりません。

 

思うに、企業不祥事が発生したとき、マスコミをはじめ長期間にわたりその企業、そのトップの対応が問題とされますが、従前は適切な対応システムがなかったように思うのです。なにせ、80年代、あるいは90年代初頭くらいまでは、秘密裏に何事も処理されていて、株主総会では総会屋対応が中心で、総会屋から文句を言われないように裏で、あるいは対抗する総会屋を雇って対応してきたのではないかと思うのです。

 

そういった総会屋による株主総会の運営とか、株式持ち合い制による株主総会の運営が商法改正、会社法の成立等で、次第に困難になったことも、このような不祥事がマスコミにさらされたりする一因かなと思ったりします。

 

それはともかく、企業不祥事が発生したとき、企業をとりまくさまざまなステークホルダー、株主はもちろん、従業員、取引先、消費者などが、企業トップの言動により、多大な影響を受ける状況が次第に増大し、その意味でリスクマネージメントの視点から、このような第三者委員会による調査報告を待って、対応することが説明責任のあり方として妥当と思われるようになったのかなと思うのです(そこまで断定するつもりはありませんが)。

 

つまりは、企業不祥事の実態解明、その原因および責任追及、ならびに再発防止策といったことは、企業内の統御能力だけで対応することでは公平性や客観性を保てない、かえって問題を悪化させることにあるという判断がいつのまにか醸成されてきたように思うのです。

 

それで、そういった企業なり法人なりに不祥事が発生すると、第三者委員会に登場してもらう、まるで白馬の騎士のごときです。しかし、これまで登場した多くの第三者委員会の調査報告は、期待に応えたものであったでしょうか。残念ながら例外的なケースをのぞき、期待を裏切るものであったと思います。

 

この点、日弁連は、弁護士が関与することが多いことから、10年に「企業等の不祥事における第三者委員会ガイドライン」を発表し、個々の第三者委員会の指針となることを期待しています。

 

そのガイドラインの内容は基本的には正しい方向性を示しており、これに準拠することが望ましいと思われます。しかし、このガイドラインの実効性を担保するものはありません。

 

と思っていたら、今月の「自由と正義」で、國廣正弁護士が「第三者委員会の実際とあるべき方向性」と題して、日弁連ガイドラインと、上記に類する役割を持つ「第三者委員会報告書格付け委員会」(以下「格付け委員会」と呼称)の評価などについて、報告していました。

 

格付け委員会は、そのホームページで、144月に有志で設置し、これまで11の報告書を格付けしており、なんとほとんどが問題があり、委員個々の評価ですが、一部委員の評価として不合格が大半を占めています。

 

私自身、すべての報告書を読んだわけではありませんが、これまで読んだものには同趣旨の感想を抱いています。

 

で、問題のあるケースでは、通常、内部調査で、特定の弁護士が関与する調査が行われ、不十分ということで、さらに特別調査が行われ、それでも疑問視され、ようやく第三者委員会による調査が行われるといった場合で、これはいずれも調査対象、方法、内容などに問題が残るケースが多いのではと思います。

 

で、見出しの東芝の原子力事業の損失は、ウェスチングハウス(WH)の工事発注先の原発建設会社CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)の買収について、その減損評価が上記のような巨額となる可能性がでたというものです。

 

東芝の会計不正にかかる第三者委員会の報告書について、格付け委員会は、8人の委員中、5人が低い評価、3人が不合格としています。当然でしょう。

 

第三者委員会は、調査対象を限定しましたが、その合理的な根拠を示していませんでした。152月に証券取引等監視委員会の検査で工事進行基準案件について指摘を受けたことから、社内調査をし、その後に第三委員会を設置して調査依頼していますが、この指摘事項と関連する数点の事項に限定しています。そもそも会計不祥事が発生した可能性があるとき、その調査内容を限定すること自体、問題への適切な対応とは思えません。

 

たしかに弁護士も含め、依頼者の意向は基本です。しかし、格付け委員会も指摘しているとおり、企業不祥事が発生している疑いがあるとき、その依頼者の意向を限定的に捉えることは、その制度目的に反することになりかねないと思います。さきに述べたステークホルダーの利益を第一に考え、あるべき調査対象を検討すべきではないかと思います。調査開始から限定してしまうと、調査中になんらかの疑いがありうる会計不正があっても、調査を行うことができません。それがステークホルダーの利益になるかです。

 

で、この会計不祥事が問題になったとき、WHの買収時に高く(1兆円とも言われる)評価したそののれん代について疑問が投げかけられていたのですから、このような限定的な調査依頼だけで足りるとしたのは、合理的な根拠がないとその姿勢に疑問が投げかけられてもやむを得ないと思いますし、日弁連ガイドラインの趣旨との適合性が疑われます。

 

東芝がWH買収時に巨額ののれん代を計上したことは妥当としても、少なくとも福島第一原発事故後は米国原子力規制庁が厳しい規制を課して、その事業採算性に大きな減損が生じたのですから、その評価損を適切に計上すべきであったと思われます。

 

実際、東芝は163月決算で、WHの「のれん代」減損処理として2600億円損失を計上しているのですが、このこと自体は15年の段階では自明のことだったはずです。

 

しかもそのWHが原発事業のコストをめぐり大きな訴訟を抱えていたことからも、見過ごしてはならない問題だったはずです。

 

で、東芝の第三者委員会だけが問題ではないのですが、もう少しこの第三者委員会の立場について言及したいと思います。それは格付委員会でもどのような議論がされているか分かりませんが、重要な問題だと思っています。

 

だいたい、調査期間があまりに短すぎるのです。これが特定の問題に絞ることに合理性があり、その調査に必要な時間であればいいのですが、東芝事案はそれに該当しないと思います。設置から2ヶ月程度で調査報告書を完成していますが、東芝から問題を限定し、少額の(本来の不当ないしは不正な会計処理に比べて)不正だけで問題の本質を糊塗することに荷担したと疑われる余地を残したと考えます。

 

むろん原子力事業、しかも米国会社ということで、のれん代の評価は容易でないと思います。しかし、原子力事業は、当時、東芝の中核となる2本柱の一つですから、その会計処理について調査する以上、原子力事業、とりわけ米国の原子力事業の規制実態やWHの事業実態を把握できる人材がスタッフにいなければ、到底有効な調査ができないと思います。

 

仮にこの調査が有効になされていたとしたら、報告書発表の後に、WH社による買収という事業損失の増大を招くことを防ぐことができたかもしれません。

 

もう一つ、日弁連ガイドラインで指摘されている調査手法の一つについて少し触れておきたいと思います。関係者へのヒアリングです。これはある意味、最も効果的な手法となり得るのですが、その実効性を担保するものがありません。

 

よく第三者委員会が記者会見などで弁解気味に、任意の調査ですからと、調査協力が必ずしも得られないことに言及します。税務調査のように反面調査ができないというのはある程度理解できます。しかし、実際は、企業内部においても、第三者委員会に対して積極的に調査に応じるということが意識として確立しているか疑問です。それは個別の企業統治の問題といえる場合もあり得るでしょうが、第三者委員会への信頼性自体、調査される企業等の役員・従業員が持ち得ているか疑問を感じています。

 

まだこのような新たな制度ですので、試行錯誤の連続だと思いますが、調査方法のあり方も含めモデルケースを提供することも大事かなと思うのです。事案によって異なるでしょうが、ヒアリングと言っても、集団的に行うことも場合によっては有効なこともあるでしょう。

 

カナダでは法制度として独立行政委員会が各州などでかなりの数があり、それぞれ特有の調査・審査・決定機関となっています。公聴会方式もあり、それも日本で行われているものとは異質です。ただ、わが国でも将来的には公聴会方式も一部に導入することも検討してもよいのではと愚考しています。

 

いずれにしても格付け委員会の評価が普及し、現在行われている「第三者委員会」がステークホルダーにも、またマスコミにも、評価されるようになることを期待したいです。

 

一昨日割合検討していて、そのときは少しはまとまっていたのですが、今は記憶中で書いていますので、またおおざっぱな議論となりました。


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