goo blog サービス終了のお知らせ 

たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

農業と人、これから <第46回毎日農業記録賞の一般部門で最高賞>を読みながら

2018-11-08 | 農林業のあり方

181108 農業と人、これから <第46回毎日農業記録賞の一般部門で最高賞>を読みながら

 

先日、ちょっと垣間見たNHKの番組で、AIが驚くべきスピードであらゆる分野で活用されている現状が放映されていました。たしか水田での利用がその一つとして取り上げられていたかと思います。ドローンにAI機器を組み込んだカメラ(はっきり覚えていないので正確ではありません)を使って、田んぼ一枚(1~2反程度でしょうか)の上空を飛ばして、その空中撮影した画像に、稲の生育度とか、病害の有無とかを、色識別できるようにシステムが構築されていて、水不足、害虫、栄養不足などを把握できるようにしていて、それぞれに応じて、空中から今度は水、殺虫剤、肥料などを適度に調節して散布するというものであったかと思います。

 

これまででしたら、農家が田んぼの中に入っていって、一つ一つの稲の生育具合や土壌の様子を見て、経験からの判断で、似たような判断、作業をしていたわけですが、それではとても時間がかかりますし、高齢になると田んぼ一枚全部を回るだけでも容易でないのに、全部の田んぼを適切に管理するのは極めて厳しい状況になっていると思います。

 

だいたい水管理といっても、田んぼ一枚でもその中で稲株一つ一つが違っているのに、慣行農法だと、水利組合で管理していますので、一定時間に水をどこまで浸すかという大まかなことしかできません。そのため、一定時間にある水深まで入れば、それで水入れを止めて、別の田んぼに入れるというのが一般的ではないかと思います。そうなると、田んぼ一枚の中で、水が貯まりやすいところ、保水力がなく地下浸透しやすくて水が貯まりにくいところが一日もたてば大きく違ってくることがあります。当然長期間経過すれば稲株にも影響があるでしょう。でも個別の対応は極めて困難ですね。

 

その意味では、小回りのきくAI機能付きドローンが開発普及されれば、むろん費用対効果の関係もありますが、相当活用されるかもしれません。すると素人も農業に参入しやすくなるかもしれません。あるいは外国人も。

 

とはいえ、農家も頑張っているようです。今朝の毎日記事<ひと吉村忠保さん=第46回毎日農業記録賞の一般部門で最高賞>では、農家の四苦八苦してようやく新たな道を開拓して「つなぐ」役割を記録した吉村氏に最高賞が送られたということで、うれしいニュースです。

 

<受賞作のタイトルは「つなぐということ」。農業を通じ、人とつながる大切さを説いた。>これだけ読むと、そんなこと誰でもやっていると思うかもしれません。でも農家は意外と作る人という立場に専念して、どうしたらいい物が作れるかには熱心でも、作った後はどんな人に食べてもらうかとか、その作物をどのように利用してもらうかまで、イメージする人はこれまで少なかったように思います。

 

吉村さんの舞台はいなかにはよくある山間地。<高知市の中心部から車で約30分。平地がほとんどない山間部で、食用の花「エディブルフラワー」を栽培する。>

 

この食用の花、私なんぞは滅多にお目にかかりませんので、どんなものかと思います。

<エディブルフラワーとして、ヒマワリやパンジーなど約30種を通年で育てる。生で食べるのが基本だが、使い方はシェフ次第。送られてきたレシピの写真を見て、「こうやって使うがや」と驚きの連続だ。売り上げはまだ収入全体の3分の1ほどだが、将来への希望も見えてきた。>というのです。

 

デモ吉村さん、元々は普通の農作物を生産する農家だったのですね。<農業だけで生計を立てて、ユズやハウス野菜を主に作ってきたが、2011年の東日本大震災が大きな転機になった。 飲食店向けの促成シシトウの価格が暴落。>

 

それで新たな農産物を開拓したのです。<原油の高騰もあり、エディブルフラワーに目を付けた。高知県内の先輩農家に教えを請い、天敵となる昆虫を利用して害虫を駆除するなど工夫を凝らした。>こういった生産技術にはそれぞれの農家に創意工夫がありますね。

 

でも新しい農産物ですから市場開拓が容易でないことが予想でき、案の定、壁にぶつかったのです。そしてさまざまな機会を利用して直接、顧客と結びつく道を開拓したのです。

 

<栽培はうまくいったが、売れない。商工会に加入し、多くの経営者とセミナーで出会った。

 「かつては作って出荷するだけ。相手の言い値の丼勘定で、農作物を売るという発想がそもそもなかった」。市内で開かれる日曜市に出店、人脈を広げた。インターネットと宅配サービスを駆使し、商品を直接、顧客に届ける。>

 

それが人と人を「つなぐ」ということだったのです。

 

まるで葉っぱビジネスの応用版みたいな印象です。あの上勝町の役人だった人ほど苦労したかは分かりませんが、吉村さんもきっと、ここで書かれている以上に、苦労されたのだと思います。葉っぱビジネスのように、高級料亭でお目にかかる品物でしょうから、なかなかイメージすることが容易でないでしょう。

 

ただ、AIの機能は今後いっそう充実し汎用化されるとしても、人が持つこのような感性と新たな結びつきを想像する点では、まだ人間力の方が期待できると思うのです。吉村さんはコミュニケーションをどのように活用したのかは分かりませんが、これからの農業、それが極めて大事になると思うのです。ネットなどの媒体はもちろん、電話やプレゼンなどでも、生産者の心とこれを使う人の心とをいかに結びつけるか、そういう能力が求められるのではと思うのです。

 

今日はこのへんでおしまい。また明日。