たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

今森流里山を学ぶ(2) <市民が作った都内の里山>と『今森光彦の心地いい里山暮らし12月』>とを考えてみる

2018-05-23 | 心のやすらぎ・豊かさ

180523 今森流里山を学ぶ(2) <市民が作った都内の里山>と『今森光彦の心地いい里山暮らし12月』>とを考えてみる

 

今朝、懐かしい風景がTVで放映されていた。東京都内にある里山、谷戸(やと)と呼ばれ、ちいさな里山の谷間にあって、その山からの清水を利用して水田耕作が行われているのです。BS3の里山シリーズがついに東京都にやってきたのです。

 

この場所は、私が四半世紀以上前に訪れたときは開発計画に晒されていて、豊かな生態系の生息地がなくなる危機に瀕していました。ここを愛する地元の有志が立ち上がり、単に開発に反対するのではなく、保全する計画を代替案として提示して、多くの市民参加を得て、行政と協議しながら里山保全計画を練り上げ、実行していくのです。

 

場所はあきる野市の一角にある横沢入、担い手は<西多摩自然フォーラム>です。私も最初の頃、何回か活動に参加したものの、その後は場所が遠かったこともあり、仕事も忙しかったこともあり、活動からは遠のき、幽霊会員でいたと思いますが通信は長い間送ってもらっていました。

 

NHKの放映で横沢入と名前が出てきたので、すっかり様子が変わり、整備され、いまでは幼稚園児でしょうか幼子が水田耕作を楽しむまでになっているのかと思うと、感慨無量です。これまで多くの担い手がたいへんな努力を重ねてきて、また今後も、さらに苦楽を重ねて行くのでしょう。ただ、見知らぬさまざまな人がコモンズのような生き物と人の触れ合いの場を作るために協同している姿は、とてもすがすがしく感じます。当時のメンバーはすでに高齢者の域に達して、自分たちの孫の世代と一緒に楽しんでいるのではないかと期待しています。

 

さて、今森氏の里山づくりは、彼個人の着想で、自分流の生き物と人の世界を作り上げているのですから、それも興味深いです。

 

今回もその概略を追ってみたいと思います。

 

今森氏は「土手を見習って」と、彼の庭造りの模範として、土手を取り上げています。都会ではすでに土手を見ることがなくなっていると思います。いや、田舎でもあまり見かけませんね。むろん、土手を河川の堤防敷と捉えれば、それはコンクリート堤防出ない限り、多摩川や荒川など大都会を流れる大河川にもあります(隅田川とかはまさにコンクリート護岸ですね)。実際、荒川の堤防敷は調査結果があり、多様な生物が生息、生育しています。

 

しかし、今森氏がいう土手は、昔の小川のそれでしょう。そこは野草の宝庫ですね。私も小さい頃よく遊びました。それが本来の土手でしょう。この種の野草を識別することに長けた人は、次々と名前を言い当てることができますが、私の場合は右から左、すぐ忘れるので覚えないことにしています。

 

小川は灌漑用の水路として利用されてきた長い歴史があると思います。その意味では多くは人工で作られたものが少なくないでしょう。それでも昔の手掘りで作られた土手は、農薬や殺虫剤も散布されず、生き物の天国だったと思います。

 

今森氏は、「生き物たちが快適に暮らせる庭。そんな理想郷をつくるときに、やはり、真っ先に考えるのは、草地のことだろう。」と断言するのです。さすがですね。そしてカラスノエンドウなどの「雑草でさえも、草地がないと生き残れないのである。」と雑草をも当然、仲間にしています。

 

今森氏のいう土手は、田んぼの土手です。圃場整備が行われた田んぼにはない土手です。毎年人の手によってあぜづくりが行われて生まれる土手です。私も自然農を通じて、川口由一氏に教えられ、完全ではないですが、それなりのものを作りました。大変でしたが。

 

もう一つ紹介しておきましょう。今森氏は「動物たちウェルカム」と評して、農家にとって獣害による農作物被害を意識しつつも、「土手は、シカが毎日歩いて小道をつくってくれたい、畑の土は、イノシシの仕事で、耕さなくてもサクサクの状態」と半分苦笑いを込めて、ウェルカムとのたまわっています。

 

私はイノシシやイタチに荒らされたり、サルまでやってきたりする環境にいましたが、動物は基本、好きですので、できれば共存したいと思うのです。といってエサをわざわざあげるつもりはありません。といって欲しいのなら、食べない柿など農作物を少しくらい食べるのは仕方ないことと思っています。

 

里山暮らしというのは、そもそも彼ら動物の生息地だったところが少なくないのですから、彼らが元気でいることも大事でしょう。とはいえ、おいしいタケノコを土の中に隠れている段階(これが美味しい)で鼻のきくイノシシが掘り返して見事に皮だけ残して、しかも大きな穴を開けてしまうのには、参ったと思うこともありますが。

 

それら動物や植物、野鳥などとの出会い、触れ合いこそが里山暮らしを楽しむ余裕であり、秘訣ではないかと思うのです。

 

次はもう少し今森流里山づくりの内容にはいっていければと思います。

 

一時間が経ちましたので、このへんでおしまい。また明日。