白夜の炎

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松井秀喜への評価は本来まず野球界で

2013-05-06 11:39:39 | スポーツ
 松井秀喜の国民栄誉賞受賞ということで、民放はもちろん、NHKも大特集を組んで大変な入れ込みようである。

 安部晋三も「96」の背番号で登板し、今回の賞授与が政府の宣伝に利用されていることは明々白々。

 そのことはさておき、ちょっとおかしいと思うのは以下のことである。


 野球選手の評価は、まず野球界がすべきことではないだろうか。

 まずプレーヤーとしての評価を野球界が下し、それ以上の貢献が社会に対してあれば、それを国なり自治体なりが行う、これが順序ではないだろうか。

 アメリカのMLBは好きでよく見るが、選手に対する評価を行っているのはまず野球界の人たちだ。
 
 現役や引退したプレーヤー。スポーツジャーナリスト。ファン。

 こうした人たちがまず評価を下している。当然だろう。

 そしてそれ以上の貢献が社会にある場合も、まず評価を明確にするのは野球界だ-たとえばジャッキー・ロビンソン。


 松井の場合も評価はまず野球界が下すべきだ。

 そうなるとどういう観点で評価するのか、ポイントを明確にしなければなくなるだろう。

 選手としての成績。

 アメリカでの活躍。

 この二つが中心だろうが、後者に関しては、まずMLBで本格的な成功をおさめ、日本人のアメリカ行きの基礎を作った野茂英雄が第一に挙げられるべきだ。彼は投手としてもアメリカで歴代日本選手中最高の評価を得ている。

 また選手としてならば、MLBの最多安打記録を作った鈴木一郎の方が上だろう。

 松井選手が素晴らしい選手であることは確かだが、彼が残した成績はそれほど傑出したものとは言えないし-MLBの選手の中では-なにより記録に残るものがない。

 2009年のワールドシリーズでは確かにMVPに輝いたが、あの年のレギュラーシーズンの活躍はそれほどではなかった(だからこそ放出されたし、その後のエンゼルス、アスレティックスでの結果がヤンキースの判断が正しかったことを証明した)。

 NYYのバッティングコーチが「松井ほどスランプからの脱出に時間のかかる選手は稀だ」といった発言をしたのは、この年かその少し前だったと思う。

 巨人やヤンキースで活躍したスター選手だから取り上げるというマスコミの姿勢は、スポーツジャーナリズムとして自分自身の判断の観点を持っていない-人気だより・外部の名声だより-事を露呈しているが、その背景に野球界自身が自らの判断を持っていないことがあるのかもしれない。

 何れにせよスポーツ選手の評価はまずそれぞれのプロの世界で、ということであってほしい。

 野球界の人たちはこれでよいと思っているのだろうか。


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