白夜の炎

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リビア再植民地化

2011-10-16 20:48:32 | 中東
 先日も書いたとおり、BBCおよびFrance2によれば、フランスの企業家などがトリポリ入りして「復興事業」や天然資源の権益の確保にまい進中らしい。

 フランスの産業貿易大臣は、リビア国民が「フランスの果たした役割に好意的だと思う」と述べた。

 以前にも書いたことだが、カダフィと英米仏の間では諜報機関を通じたやり取りを通じて、カダフィが大量破壊兵器の開発を放棄する。

 その代り英米仏、すなわち国際社会はカダフィを向かい入れ、パートナーとして扱うと決めたのである。

 それを確認するために、イギリスにいたパンナム機爆破事件犯のリビア送還など一連の取引が行われた。

 このような一連の取引に基づいて、イタリアは天然ガスを海底を通るパイプラインを通じて大量に購入する等、ビジネス関係の拡大に努めてきた。

 当時もカダフィの体制が独裁であることは最近までと同様であったが、「国際社会」はそのことには一言も触れなかったし、西側のメディアもそれに論及することはまれだった。

 西側にとってはアルカイダ等宗教勢力と敵対的にカダフィの体制は、好ましい面もあったのである。

 それが今回「アラブの春」の影響でリビア国内に反乱の動きが生まれると驚くほど迅速に英仏は軍事介入を始めた。

 そしてその反乱が驚くほど脆弱であることが、戦闘開始直後からすぐに判明した。

 リビア国内にはもちろん反カダフィ派のグループが多々いたであろうが、彼らは自力でカダフィに対抗できるほどの力は持ち合わせていなかったことは明白であった。

 英仏軍の介入理由は人道的介入であり、市民の犠牲者を防ぐことだったはずだが、実際には航空勢力を投入するより早く諜報機関と特殊部隊が現地入りし、反カダフィ派のテコ入れと組織化に余念がなかった。

 それにもかかわらず彼らの組織化と強化がいかにうまくいかなかったかは、この間の推移に明白である。

 このことはリビアにおけるアラブの春自体が、誰かに先導され、工作された結果であったかもしれないという疑念を残す。

 けっきょく英仏は諜報活動を通じてリビアの大量破壊兵器を解体し、事実上リビアを軍事的に丸腰にした(西側に対して)。その上で諜報工作を続けて政権内部に離反者を作り出し、反カダフィの国際世論を作り上げ、リビア国内の反カダフィ派を先導したのである。

 そして頼りない彼らが崩壊しかけると軍事介入によって直接カダフィ派をたたき、国家組織を破壊し、インフラを壊していった。


 そして今まともな国家運営ができかねる程度の政府と、内部がバラバラの武装勢力が残るリビアが荒廃と共に残されている。

 この後英仏は権益をあさり、政権には傀儡を並べ、おそらく実戦では一番貢献したであろうアフガンなどから戻ってきたアルカイダその他の武装勢力出身者を「テロリスト」として排除・抹殺しながら、リビアの徹底的な傀儡化を進めるのであろう。

 抵抗勢力の一部にテロリストのレッテルが張られ始めたら再植民地化はいよいよ本格化しつつある、ということである。


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