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「未来に背を向けた」政権と評価された安倍政権/エコノミスト

2013-01-08 15:59:16 | 政治

 安倍政権の性格句は保守ではなく、国家主義であり、戦争犯罪否定であり、東京裁判否定であると明確に規定している。

 このような政権は西側世界自身にとって脅威であると考えているだろう。


 「日本の新内閣:未来に背を向けて             2013.01.08(火)

The Economist:プロフィール

安倍晋三首相が指名した恐ろしいまでに右傾的な内閣は、この地域にとって悪い兆しだ。

 最初に首相を務めた2006年から2007年にかけての散々な経験から学んだと、同氏は語る。この時は、第2次世界大戦時の犯罪行為を巡って無用な論争が生じ、内閣でも失態が相次いだことで、経済政策の立案に集中できない状態に陥った。
 問題は、安倍氏が内閣を経済重視の方針に従わせ続けることができるかどうかだ。同氏が選んだ19人の閣僚の顔ぶれを見ると、長期的に考えて、安倍氏自身が方針順守を望んでいることすら疑わしいと思わざるを得ない。


内閣の顔ぶれに不安を覚える理由

 以下の点を考えてみてほしい。閣僚中14人は「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」という議員連盟に所属している。靖国神社は、戦争犯罪で死刑になった戦時中の指導者を祀り、何かと議論を呼んでいる東京の神社だ。
 また、13人は「伝統的価値観」への回帰を提唱し、戦時中の行為に関する日本の「謝罪外交」を批判する国家主義的なシンクタンク、日本会議を支持している。さらに9人は、学校の歴史教育において日本の軍国主義時代をさらに賛美するよう求める議員連盟に所属している。こうした閣僚は、第2次世界大戦当時の日本の残虐行為の大半を否定する立場にある。

 閣僚の1人で、文部科学相に就任した下村博文氏は、日本の残虐行為に関してアジア諸国に自責の念を表明した1995年の画期的な「村山談話」の撤回を求めるだけでなく、大戦中の戦争犯罪を裁くために1946~48年に実施された、いわゆる東京裁判の判決さえもなかったことにしたいとの考えを持っている。

 安倍氏は日本が近代に定めた3つの法典および条約を改正したいとの願望を明確に示している。その3つとは、米国から押しつけられ、日本が平和主義を順守するよう定めた1946年制定の日本国憲法、安倍氏が愛国心を軽視していると考える教育基本法、そして日本が従属的な役割に置かれている日米安全保障条約だ。

 新内閣を「保守的」と表現しては、その真の性質を捉えているとは言えない。これは急進的な国家主義者から成る内閣なのだ。


 安倍氏は、日本の戦後構造を抜本的に作り替えたいという自らの志向を共有する人が、普通の日本人にはほとんどいないことを分かっている。それゆえ、今後数カ月は経済に注力するのも当然だろう。
だが、有権者は何を望んでいるのか?

 安倍氏が率いる自民党と連立相手の公明党は12月の総選挙で勝利を収め、両党合わせて衆議院の議席の3分の2を獲得した。7月には、現在は民主党中心の野党が多数派を占める参議院の選挙が行われる。

 有権者はこれまで非常に流動的な態度を示してきたが、堅実な経済運営をしていけば、安倍氏は参議院でも勝利を収められるかもしれない。そうなれば、ここ数年の政権の中でも最強の負託を得ることになる。

 今のところ、安倍氏は経済のてこ入れに懸命に取り組んでいる。日本を長期にわたるデフレ状態から抜け出させる一手として、日銀に2%のインフレターゲットを導入するよう圧力をかけている。さらに、財務相に就任した麻生太郎氏に対して、新規国債発行枠にこだわらずに新しい財政刺激策を策定するよう指示した。

 自らも総理経験者である麻生氏は、財務官僚を押し切る力を持つ数少ない政治家の1人かもしれない。国の債務が既に国内総生産(GDP)の200%を超えている今、財務官僚はいかなる浪費にもいい顔はしないだろう。

 安倍氏は、今回の方針は土木建築と公共事業漬けだった過去の自民党政権の放漫財政時代への回帰ではないと言う。

 しかし安倍氏は、新たな支出が過去のものと比較してどう良いのかをまだ明らかにしていない。この施策には、ある時点で新たな借り入れが火付け役となり、政府が公的債務に関して支払わなければならない金利が突然急上昇するリスクがある。

 これまでのところ、投資家は安倍氏について、疑わしきは罰せずの立場を取っている。これには、安倍氏の日銀批判が円安に貢献しているという側面もある。

 株式市場は今や、東日本大震災と津波が発生した2011年3月11日の水準を上回っている。投資家は、電力会社や原子力発電設備の製造業者の支持を受けている自民党が、反原発派を抑え込んで、停止中の日本の原子炉を再稼働させると見ている。

 国外に対して、安倍氏は少なくとも参議院選挙までは慎重に歩みを進める意向をうかがわせている。1月4日には元防衛庁長官の額賀福志郎氏がソウルを訪問し、韓国の次期大統領に決まった朴槿恵(パク・クネ)氏と会談した。これは、日本では竹島、韓国では独島として知られる島を巡る争いで綻んだ関係を修復しようとする、歓迎すべき試みだ。

 安倍氏はまた、民主党政権下では必ずしも円滑ではなかった米国との安全保障関係を強化すると約束した。首相就任時の会見でも、同氏は米国との同盟強化が「日本の外交・安全保障立て直しの第一歩」になるだろうと述べている。


対中関係で求められる自制心

 当然ながら、中国は怒りを露わにした。中国の政府系英字紙チャイナ・デイリー(中国日報)は、日米同盟を利用して中国に圧力をかけることは、日本では尖閣諸島、中国では釣魚島として知られる係争中の島々を巡る東シナ海の緊張関係を「悪化させるだけだ」と警告した。

 安倍氏は中国政府に対しては和解の姿勢は示さず、日本の領土を守ると頑なに誓うのみだ。これらの発言に先立つ12月には、尖閣諸島上空を飛行した中国国家海洋局の航空機を阻止するために、自衛隊の戦闘機8機がスクランブル発進している。中国が日本の領空を侵犯したのは、1958年に記録が開始されて以降初めてのことだった。

 安倍氏は中国に対して怖じ気づいてはならないが、自らの国家主義的性向を抑え、過去の亡霊を自民党の物置にしっかりと閉じ込めておかなくてはいけない。こうした自制はいかなる場合においても難しいはずだ。そして安倍氏の新内閣の陣容は、このような自制をほぼ不可能にしているのだ。

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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36873


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