白夜の炎

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イランに広がる暗雲

2011-11-30 18:03:20 | 中東
 イランの英国大使館からスタッフなどが避難を始めた(http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-15956946)。

 テヘランのイギリス大使館がデモの若者に侵入されたため、大使館員やその家族の安全が保障されない、というのがその理由である。

 同時に国連の安全保障理事会は非公式会合を開き、イラン政府の対応を非難する報道機関向けの声明を採択した(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111130/k10014312351000.html)。

 そもそもハシジとよばれるイランの民兵組織に属する若者たち約1000人が、テヘランの英国大使館を取りかむ騒ぎになったのは、イギリス政府がイランの核開発を懸念して経済制裁を科すとしたためである。

 彼らハシジが政府や軍・諜報機関と関係がないとはもちろん言えないが、かといって政府の差し金で組織的に行ったかどうかは現時点では不明である。

 イラク・アフガンと続いた英米流の戦争拡大路線は常にウソと挑発によって引き起こされてきたことを考えれば、ここで少し慎重に物事を考えてみるのも無駄ではないだろう。

 今回一気に緊張を高めるもととなったのは、IAEAが今年の11月8日に出したレポートである。このレポートはイランが2003年から核開発を進めているとしている(http://www.haaretz.co.il/hasite/images/iaeairan.pdf)。

 しかしこのレポートの根拠に関しては、従来と代わり映えしない資料に基づいたものとして否定的に見る見解も少なくない。

 例えば田中宇はANTI WAR.COM(http://antiwar.com/)の記事に基づいて、「これらの証拠は米当局が用意したもので、亡命中のイランの反政府勢力(ムジャヘディン・ハルク)が、イラン政府からくすねてきて米当局にわたしたとされるノートパソコンに入っていたデータを「証拠」としている。米当局は数年前から、このパソコンから多くの「証拠」を出しているが、それらが捏造でなくイラン政府の本物のデータであると考えられる根拠が薄く、従来の他の証拠と同様に、あいまいなものだ。イラン政府は、証拠が捏造されたものだと反論している。また、イラン当局が軍事施設のコンテナ内で爆発物を開発しているとしても、核兵器用でなく国際的に認められた通常兵器用の爆発物かもしれず、これだけで核兵器開発の証拠とはいえない。 (IAEA Poised to Release Iran `Evidence' Centering Around Computer Simulations→http://news.antiwar.com/2011/11/06/iaea-poised-to-release-iran-evidence-centering-around-computer-simulations/)」

 そもそもIAEAのトップの選挙に際して、今の天野氏(外務省出身)を推したのは西側諸国であり、西側の傀儡として利用しやすい日本の外交官を使った、という色彩が強かった。

 その天野氏がトップになって以降、イランの核開発疑惑が一気に声高に唱えられるようになったのは偶然ではないだろう。

 今回イギリスのキャメロン首相はイラン政府に警告を発しているが(http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-15955501)、イランを国際的ルールに従わない無法者扱いすることによって排除するための段取りづくりをやっているように見える。

 イギリスもアメリカも今やそれぞれの金融資本主義が破たんし、国家の経済はガタガタである(http://tweetbuzz.jp/entry/2150682298/jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-24407420111129)。イギリスは公務員のスト直前である(http://www.bbc.co.uk/news/uk-15953806)。

 かといってイランを叩いても99%が豊かになるとは思えないのだが。


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