白夜の炎

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「安倍政治は米国の対日提言の“完コピ”

2016-01-04 15:57:17 |  北米
「山本太郎が追及を広めた「安倍政治は米国の対日提言の“完コピ”」
2015.10.26  <山本太郎氏インタビュー>

 安保法制に関連した一連の参議院採択では、「ひとり牛歩」や「お焼香パフォーマンス」を行い物議を醸した参議院議員の山本太郎氏。日本は今後、どういう選択をするべきか伺った。

――米国追従の根拠となる、「アーミテージ・ナイ報告」について、追及を広めたのは山本議員だとの話があります。

山本:8月19日の安特委で「安倍政権の政策は、アーミテージ・ナイ報告の完全コピーではないか」と質問しました。その約1か月前に玉城デニー幹事長(沖縄3区)から「機会があったら質問したかった」と聞いたのがきっかけです。報告を改めて読んだら「(米国の要求の)完全コピーだ」「ひどいな」とびっくりしました。安保法制だけでなく、原発再稼働からTPP、特定秘密保護法、武器輸出三原則に至るまで見事に一致していたからです。経団連などアメリカの大企業側に立っている人たちにとって、ここに列挙された政策が必要ということがよくわかりました。

山本太郎
参議院会館で取材陣に対し、アーミテージ・ナイリポートの内容について熱弁をふるう山本太郎氏
――国会審議で野党議員が「武器弾薬の輸送」についての中身を詰めていくと、銃弾や砲弾や手榴弾、果てはミサイルや核兵器まで条文上は輸送可能になっていることが明らかになりました。

山本:それで「誰が望んだのか」と追及されて、去年7月に集団的自衛権行使容認の閣議決定で憲法解釈を変えたのも、今回の安保法制が作られていくのも「『日米ガイドラインの改定』でアメリカから求められたことが発端だった」と政府は認めた。「米軍のニーズ」と抜け抜けと言うこと自体、安倍政権はおかしくなっている。この国は誰のものなのか。

 今回の安保法制でも、安倍総理は米国議会で夏までの成立を約束しました。日本国内で言っていないことをアメリカに渡ってから宣言することが多い。麻生財務大臣が「日本の水道を民営化する」と’13年4月に宣言したのも、日本国内ではなく米国のCSISです。「おまえ、何さまだ」「おいおい誰が『国民の財産を勝手に民営化していい』と言ったのか」とツッコみたくなりましたが、「ここで発言したら実行に移すしかない」というように見えます。「宣言させられる」と言ったほうがいいかもしれません。結果、米国の対日要望を次々と受け入れている。

――日本は今後、どういう選択をするべきだと思いますか。

山本:米軍の準機関紙『スターズ・アンド・ストライプス(星条旗新聞)』は5月13日付で「アメリカの防衛予算は、すでに日本の自衛隊を当てにしている。’16年のアメリカ防衛予算は新法案可決が前提で、4万人の米軍兵員を削減、防衛予算も減らす方向」と書いてありました。米国の権威ある外交政策研究季刊誌『フォーリン・ポリシー』(7月16日付)も「日本の軍事面での役割が拡大、日本政府が多くの最新の装置を買うことは、ペンタゴンとアメリカの防衛産業にとって良いニュース」とあり、日本政府の購入予定兵器と社名を列挙していました。米国側が国防予算削減でカネがかからない上に、自国の国防産業の金儲けになるメリットを淡々と語っているのに比べ、日本側は悪夢の近未来図をひた隠しにしているのです。

――今回の法案成立で、PKO活動における「駆け付け警護」が可能になりました。

山本:イラクに派遣された自衛隊員のうち、(退職者を除く)自衛隊員の自殺者は合計56人。一方、アメリカの退役軍人省は’10年度予算としてメンタルヘルス対策費45億6000万ドルを組んでいます。これほどの予算が日本でも必要になることを安倍政権は考えているのか。予算がつけば、他の社会保障費が削られるのは必至。日本は結局、戦争国家になって財政破綻することになりかねないのです。

【山本太郎氏】
’74年生まれ。俳優を経て’13年に参議院議員に。現在、「生活の党と山本太郎となかまたち」に所属

 安保法制の政府案を「違憲」と断言した3人の憲法学者の一人、小林節・慶應義塾大学名誉教授は、今回の法案成立を「米軍の二軍として自衛隊を海外派遣するもの」「“戦費破産”を招きかねない」と警告。

「憲法守れ」と多くの人が参加した国会前デモ
「憲法守れ」と多くの人が参加した国会前デモ
「憲法9条2項で日本は『交戦権を持たない』と定めている。日本には専守防衛を除いて、外国に出かけて戦争をする法的資格はありません。同盟国が戦争に巻き込まれた場合に助ける『集団的自衛権』の行使は、日本はできないことになっていたのです。

 安倍首相が官房副長官だった10年以上前のことです。飛行機内で彼と乗り合わせ、私は『憲法改正をしないで集団的自衛権行使・自衛隊の海外派兵はできるのか』という財界からの質問に答えるための資料を開いていて、彼が非常に関心を示しました。そこで私は『憲法を改正しないと無理です。憲法上(戦力にはあたらない)“必要最小限”の自衛権行使を認められていますが、海外派兵はそれを超えている。派兵が“必要”だと拡大解釈をしても“必要最小限”で歯止めがかかるから無理です』とレクチャーしました。

 それなのに安倍首相は改憲をせず“解釈改憲”で『安全保障環境の変化』を理由に海外派兵可能な法案を強行採決しました。『必要』も『最小限』の部分も拡大させたのです」

 今回の安保法制によって「日本の自衛隊が米軍の二軍のような存在になる」と小林教授は指摘する。

「米国の意向を受けた首相の一存で、自衛隊がホルムズ海峡をはじめ地球の裏側にまで派兵される。

 自衛隊が米軍と一緒に行動することは、イスラム教徒にとっては“敵対宣言”にも等しい。テロが起きたニューヨークやロンドン、パリと同じように、東京や大阪、名古屋へのテロの脅威が増すでしょう」

小林節・慶應義塾大学名誉教授
「憲法改正を言わずして、解釈上の改憲が進んでしまう」と小林教授は警告する
 この法案は米国の都合ばかりを優先し、日本にとって何のメリットもないと小林教授は強調する。

「第二次世界大戦後、米国は『世界の警察』と称して高額の戦費を使い、世界に展開していきました。その結果、米国は今や“戦費破産”状態にあります。そんな米国の戦争の一部を受け持て!というのが安保法制の本質なのです。日本にとっては、莫大な税金が使われるだけで何のメリットもない。

 安倍政権は当初、憲法改正による自衛隊の派兵を目指していました。しかし、そのためには国民の大きな不安があり、手続きもたいへんです。そこで安倍政権は憲法改正よりも“解釈改憲”で自衛隊の『米軍後方支援』の内容を広げていくという道を選んだのでしょう。今後も我々が注視していかなければ、知らず知らずのうちに憲法が形骸化していく事態を招く恐れがあります」(同)」

http://nikkan-spa.jp/955586


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