白夜の炎

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私たちが問われているとは―こんな政治・官僚・電力会社を許せるのか?

2011-05-18 17:11:18 | 原発

 今回の震災と原発事故で、私もつくづく考え、反省しました。

 以前から反原発でしたが、実はそれほど本気だったとは言えません。

 『週刊現代』に高木仁三郎さんのことが出ていますが、高木さんは79年のスリーマイル島の時、財界関係者から人づてに、3億円お金を出しますから、志ある官僚や電力会社の社員と研究会を立ち上げましょう、と言われたらしい。

 高木さんはこれは自分を取り込む工作だと考えて、断ったそうだが、私など-いわれることもないが―そっちに行きかねない程度の人間だったからです。

 でもさすがに今回はまじめにならなければいけないと思っています。

 そこで「今私たちがしなければならないことは何か?」について少し考えてみたいと思います。

 募金、ボランティア、・・・もちろんそれもあります。私も多少しました。

 ボランティアはこちらが学ぶことが多いので、多くの方に―健康な方だけですが―お勧めします。


 しかし幸い被災地ではないところにいる人間が今一番考えなければならないのは、日本の政治とその背後の官僚機構のことではないでしょうか。

 このブログで再三書いてきたことですが、原発を推進してきたのは歴代自民党政権でした。

 その第一の理由は核兵器開発への要求だったと思われます。実際佐藤政権、中曽根政権の時、2回にわたって核開発の可否が政府内部で検討されたことがすでに明らかになっています。
(中曽根政権時のそれについては先ごろドキュメンタリーがNHKで放映されました: http://www.nhk.or.jp/special/onair/101003.html)

 初代原子力委員会委員長は正力松太郎(1956年)。しかし正力はCIAのエージェントだったことが有馬氏の研究で明らかになっています。(『原発・正力・CIA』新潮新書)

 初めからアメリカのコントロールのもとで、日本側の核を持ちたいという要求を利用されて、アメリカの各産業・核戦略の中に組み込まれていったのです。

 その実行部隊になったのが、通産省-今の経済産業省、でした。このような状況に嫌気がさしたのでしょう。

 当初原子力委員会のメンバーだった湯川秀樹博士は委員会をやめています。

 (それにしても今や「原子力村」の中核の一つになり下がった京大も、もともとは立派な先生方が歴史を作ったのですね。)


 実際にはアメリカの圧力と監視のもとで日本が独自に核武装することは不可能であり、結局あきらめて核拡散防止条約という、核兵器保有国に一方的に有利な国際条約に参加せざるを得なくなります。

 なぜこの条約が不公平かというと、核兵器保有国の核兵器の削減には具体的な目標もペナルティもないく、また他国から査察を受けることもないのに、非保有国は核兵器の研究開発保有を禁止され、それをIAEAという機関によって査察を受けて他国に対して、核兵器の開発をしていないことを確証しなければならないからです。

 実態としては核保有国が核独占を続けるための条約であり、それを担保する国際機関がIAEAということになります。

 今のIAEA事務局長は元日本の外交官ですが、アメリカは手下の日本を使って、イランの核武装に圧力を加えようと考えたのかもしれません。

 さて、核兵器を持てなくなった日本では、プルトニウムの生産―これは核兵器の原料になる―ある程度スタートした核開発を平和利用に転じよう、ということになります。

 アメリカはすでに1953年にのアイゼンハワー大統領が国連総会で核の平和利用を呼びかけ、以後商業用発電所に原子炉を利用する計画が進みますが、日本が原発に目を向けだしたのがこのころで、日本はいわば平和利用という呼びかけを利用して、核武装を試みた、というところだったのです。

 しかし上で述べたとおり核武装は無理なことがはっきりしてきますから、平和利用せざるを得なくなります。

 そうなったとき、核開発は、今度は膨大な経済的権益を生む宝の山へと変貌します。

 地方の雇用創出、という話と、原発建設、プラント供給に伴う不動産価格の上昇、各種機械にかかる膨大な経費が、電力会社と国から出されます。

 それがまた政治家を潤し、政治+官僚+財界(電力+重電業界等)という鉄の三角形を典型的に作り出しました。

 そればかりではなく、電力会社は豊富な資金でマスコミと主要な大学を買収。

 それに文部科学省も加担して研究費の配分で気に入らない教官は排除。


 マスコミは電力会社と役人を怒らせない番組作りと人の活用で期待にこたえ、英米仏ソ連などに圧倒的に遅れて出発した日本の各研究が、実際にはアメリカの技術の受け売りでしかなかったものを、いつの間にか最先端ハイテク国家、日本の原発技術は世界一と喧伝して「安全神話」の宣伝を自らかって出たのです。

 原発労働者の実態。

 原発周辺地域での発がん率の上昇。

 日本に寄港する米軍各艦船の実態・・・その他多くのことに目をつぶり続けたのが日本のマスコミでした。というよりいまだにそうでしょう。

 今回のことをきっかけに代えなければならないのは、原発推進派の政治家/自民党-経産/文科省-電力・重電業界-マスコミ―原子力学会のつながりを壊すことです。

 なかでも重要なのが自民党の核信仰・原発推進政治を完全に一掃すること。もともとアメリカのスパイをやりながら、愛国心もエネルギーの自立もないものです。

 そして民主党内にもいる原発推進派に退場をお願いすること、これが第一でしょう。

 そして実態として日本の核政策をコントロールしてきた二つの役所には、組織解体もやむを得ない、ぐらいの変更を加えるべきではないでしょうか。

 もちろん発電と送電は分離。原発は国家管理。

 電力会社自体も国家管理のもとで大改革を実施してもよいかと思います。

 

 


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