白夜の炎

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問題は日本の競争力喪失/FT

2013-02-04 17:40:00 | 経済
 もっともである。

 物価が上がれば景気が良くなるという理屈はない。

 かつてのスタグフレーションのような事態になったらどうするつもりか。

 日本国債の格付け低下や長期利回りの高騰が。金融システムの崩壊に…従って世界金融恐慌に…つながらないといえようか。

 とはいえ円高が行き過ぎていたのは事実だと思う。

 これだけ不況、かつ貿易収支が大赤字なのに円が強いというのはおかしい。

 国際貿易の実需、関連するお金の動きに連動性がなくなり、金は金で一種の商品として動き回るようになってしまった結果である。それが回りまわって実体経済を傷つけてきたことも間違いない。

 個人的には1ドル=98~105円程度が適当ではないかと思う。100円を軸に調整が進むことが望ましい。

 120円程度まで行くと競争力のある輸出企業にはプラスだが、輸入燃料の負担増やその値上がり分による国内景気へのマイナスの影響などが無視できなくなるだろう。



「安倍晋三首相率いる新政権と日銀との綱引きが続いている。日銀はついに新政権の圧力に屈し、2%という新たなインフレ目標に対するコミットメントを表明したが、「中期的」という以上の期限にはコミットしなかった。

 日銀は無制限の金融緩和を約束したが、それが始まるのは2014年に入ってからだ。来年の資産購入の純増額は月間わずか4兆円にとどまる。

 日銀の引き延ばし作戦にもかかわらず、円売り・株買いに対する確信は根強い。だが、市場は楽観的過ぎるかもしれない。それも安倍政権が勝つと信じている点においてではなく、円売り・株買いが持続的に成功すると信じている点においてだ。

世界の消費者はサムスン製品からソニー、東芝製品に乗り換えない


 安倍首相と日本の経済界は引き続き、円高、より正確には割安な韓国ウォンが日本の主な問題だと考えている。以前はそうだったかもしれないが、今は違う。

 たとえ円が大幅に下落したとしても、世界の消費者はサムスンの製品を捨てて、ソニーや東芝の製品に乗り換えるつもりは全くない。日本の問題は競争力のない通貨ではなく、競争力のない製品なのだ。

 最新の財政刺激策は大規模だ。実際、JPモルガンによると、見出しを飾る20兆円という規模は第2次世界大戦後最大だという。だが、これまでの対策と同様、今回の刺激策が民間投資や消費を刺激するうえで大きな乗数効果をもたらす可能性は小さい。

 一方、輸入コストの増加に伴い、日本の貿易赤字は悪化していく。経常収支は恩恵を受けるものの、貿易赤字を補うには十分ではないだろう。JPモルガンの試算では、国内総生産(GDP)比の財政赤字は今年、11.5%という衝撃的な水準に達する見込みだという。

 円は既に15%下落しており、多くの人は、もう調整が行き過ぎたと考えるようになった。

 それでもアナリストの中には、日銀が近いうちに、円をさらに安値に誘導する取り組みの一環として巨額の外債購入計画に乗り出すことを迫られ、その過程で50兆円を費やす可能性があると予想する向きがある。

 この外債購入がもっぱらユーロ圏の債券だけを対象にするのか、それとも米国債も含まれるのかは、完全には明らかになっていない(米連邦準備理事会=FRB=の高官には、米国債も含まれると考える人もいる)。

過度な円安と国債利回り急騰という悪循環

 この計画が現実になれば、事態は大幅に悪化するかもしれない。円が(最近まで)高止まりしていた1つの理由は、バランスシートを拡大するうえで日銀が他の中央銀行に比べてはるかに積極性に欠けていたからだ。

 そうした姿勢が変化するにつれて、円の下落が行き過ぎる危険が高まり、日本の国債市場と日本経済の両方に大きな負の連鎖反応をもたらしかねない。

 市場はまだ、膨大な新発国債の供給や為替市場の動きがもたらす脅威を気に留めていない。だが、今は外国人投資家が国債市場で9%のシェアを握っている。円が下落すれば、これらの外国人投資家は、円安による損失を補うためにより高い利回りを要求し始めるだろう。その時は一体どうなるだろうか?

 1つの考えられるシナリオは、円安を誘導する取り組みの中で欧州や米国に投入されていた日本の資金が、国債市場を支えるために日本に戻ってくることだ。何しろ、国債の保有でキャピタルロスを被る余裕のある日本の投資家はいないし、政府も連鎖的に膨らむ債務の元利払いにこれ以上多くのカネを支払う危険は冒せない。

 さらに、どれだけ多くのヘッジファンドが円安に賭けているかを考えると、円がさらに大きく下落する可能性もある。

 グリーンライト・キャピタルのデビット・アインホーン氏をはじめとした多くの投資家は、2012年第4四半期に円売りポジションでようやく利益を上げた(実際、円売りはアインホーン氏が同時期に2番目に大きな利益を上げたポジションだった)。

 特に円資金を借りるコストが非常に安いため、ヘッジファンドは円売りポジションを増やす衝動に駆られるだろう。

 「円はようやく安くなり始めた。我々は今後もっと安くなるのではないかと思っている。円安がかなり進む可能性もある。我々はまだ弱気だ」。アインホーン氏は1月22日付の投資家向けレターでこう書いていた。

日銀新総裁が悪夢のシナリオに直面する恐れ

 それでも、今のところは楽観論が優勢だ。10年物日本国債の利回りは12月に0.69%という低水準を付け、今もわずか0.74%だ。4月になれば、白川方明氏が日銀総裁を交代するため、一般的な楽観論は強まるだろう。

 次期総裁の有力候補は全員、現総裁よりも安倍首相を支持している。

 それでも、安倍首相が間違っていて、経済再生ではなく円安と国債利回りの上昇という悪循環をもたらした場合には、白川氏の後継者は、現総裁が異論の多い在職中に直面した以上の悪夢のシナリオに直面する可能性がある。

By Henny Sender」

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37077


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