銀幕日記 ~今宵の肴~

夜更かしの友である映画の寸評というか、何というか、つれづれなるままに(笑 

インビジブル2

2010-08-29 02:37:27 | あ行
今宵は2006年制作の「インビジブル2」
透明になった人間が引き起こすSFホラー作品。“2” と付けられているが、前作の続編と言うわけでは無く、独立したひとつの物語になっている。よって、前作が科学者の自己満足・自尊心による暴走なのに対し、本作は政治的利用を目的に意図的に行った人間の透明化という大きな違いを持っている。

あるパーティー会場で科学者がトイレで何者かに殺害されると言う事件が発生。捜査にあたった刑事:ターナー(ピーター・ファシネリ)の前に突然、軍関係者が現われ捜査権を奪われてしまい、代わりに殺害された科学者の同僚であった女性科学者マギー(ローラ・レーガン)の身辺警護を命ぜられてしまう。渋々ではあるものの、相棒のリサと共にマギーの家の警護にあたるのだが・・・という導入。

ほとんど声だけなのに存在感をだす透明人間役のクリスチャン・スレイターはなかなか熱演をしているのだが、全体として前作を超えられない出来映え。人間が透明になって行くシーンは前作のインパクトの方が強いし、心理描写もイマイチなのだが、一応、飽きずに観られる作品ではある。
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理由

2010-08-26 04:48:04 | ら行
今宵は1995年制作の「理由」
フロリダで起こった少女惨殺事件の犯人として逮捕され死刑を宣告された青年が、収監8年目で死刑廃止論者の教授に冤罪で死刑になると手紙を送った事から始まるサイコ・サスペンス。主演はショーン・コネリーで、脇を固めるのがローレンス・フィッシュバーンやエド・ハリスといった個性派俳優陣の作品。

少女惨殺事件で死刑判決を受け服役中のボビー・アール(ブレア・アンダーウッド)が書いた無実の罪で死刑になるので助けて欲しいという手紙を携えて、一人の老婆が死刑廃止論者であるポール・アームストロング(S・コネリー)の前に現われる。一度は断ったものの妻のローリー(ケイト・キャプショー)に説得され、事件の真相解明のためにフロリダへ向かい・・・という展開。

良い意味で、予想を裏切るというか、予想を超えるというか、結構ハラハラドキドキしながら一気に観られる作品。S・コネリーは渋くて良いんだけれど、嫁と娘が若すぎで違和感があるのは否めない。ただ、年齢を上げてしまうと、殺害された少女と自分の娘を近い年齢で重ねられなくなるという難点もでるので痛し痒しというところかな。あと死刑囚サリバン役のE・ハリスの鬼気迫る演技は凄いの一言。
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プラネット・テラー

2010-08-25 01:58:54 | は行
今宵は2007年制作の「プラネット・テラー (2DISC PREMIUM EDITION)」!
“グラインドハウス”と呼ばれるB級映画を数本立で上映するシアターへのオマージュを捧げたアクション・ホラーで、“グラインドハウス”好きのクエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスが1つの予算を分け合って制作した作品のR・ロドリゲス編。映像のブレや傷といった、“グラインドハウス”の特性をあえて忠実に再現している。

テキサス州の軍事施設でマルドゥーン(ブルース・ウィリス)と生物化学の科学者アビー(ナヴィーン・アンドリュース)との取引中に、生物兵器DC2(コードネーム「プロジェクト・テラー」)のガスが噴出する事態が発生した頃、ゴーゴーダンサーのチェリー・ダーリン(ローズ・マッゴーワン)と元恋人の解体屋レイ(フレディ・ロドリゲス)が郊外のレストランで再会をしていて・・・という導入。

まさにB級ホラーといった感じに仕上がっていて、飽きずに楽しんで観られる作品。冒頭にはフェイク映画「マチェーテ」の予告編が流れたり、遊び心満載。またB級大好きQ・タランティーノも喜々として出演したりして面白い。ただ、やはりゾンビ、血飛沫等々が苦手な人には向かないかも。
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プロデューサーズ

2010-08-23 02:56:13 | は行
今宵は2005年制作の「プロデュサーズ (COLLECTOR'S EDITION)」!
ブロードウェイのミュージカル業界を舞台に今や落ち目となったプロデューサーと真面目が取り柄の会計士が手を組み、一獲千金を狙うと言うコメディ。68年にアカデミー賞を受賞した原作映画を01年にミュージカルとして舞台化し、それを再度ミュージカル仕立ての映画にした異色のリメイク版。

かつては大物プロデューサーとしてならしたマックス・ビアリストック(ネイサン・レイン)も今では落ち目となっていた。そこへ会計士として帳簿を調べにきたレオ・ブルーム(マシュー・ブロデリック)が、帳簿の帳尻を合わせている時に“ミュージカルはコケた方が儲かる場合がある” と口にした言葉をきっかけに、マックスは出資金の持ち逃げを計画し、レオを抱き込もうとするのだが・・・という導入。

01年のミュージカルでの初演の主役を演じた2人(ネイサンとマシュー)がそのまま映画でも演じているので、息の合ったテンポと雰囲気を出しているし、ウーラ役のユマ・サーマンの新たな一面を見れる作品。ただ、ミュージカル(及び、同仕立て)が好きな人ならすんなり入れるが、そうでないとちょっと入り込むのに時間がかかるかもしれない。
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スピード・レーサー

2010-08-21 02:34:20 | さ行
今宵の友は2008年制作の「スピード・レーサー (2DISC EDITION)」!
吉田竜夫原作の名作アニメ「マッハGoGoGo」を視覚効果の雄:ウォシャウスキー兄弟が見事にリメイク、実写化したカー・アクション。原作のアニメ(と言うより“まんが”と言った方が良い)感や日本独特の背景省略等、日本を意識した仕上がりになっているのだが、残念ながら中途で公開打ち切りになった作品。

父はレーシングカーデザイナー、兄は天才レーサーというレーシング一家に育ったスピード・レーサー(エミール・ハーシュ)は、兄の事故死のあと、自らもレーサーの道を歩み始める。そして、その実力を発揮し大会で優勝を飾ると、各方面からスポンサーの申し出が増え、中でも大企業のロイヤルトン・インダストリーズ社は高額な契約金を用意して契約のオファーをするのだが・・・という展開。

好き嫌いは分かれるかも知れないが、マッハGoGoGoを知る人にとっては、懐かしさと共に新鮮さも感じられる作品で、面白く観られる一本。主題歌に日本語を入れたり、BGMも原曲のアレンジだったり、オートジャッキで車が跳ね上がる音もそのままだったりと、結構良く出来ている。アニメ+実写の合成丸出し感もなかなか楽しい趣向のように思えるのだが・・・。
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ベオウルフ 呪われし勇者

2010-08-19 13:11:28 | は行
今宵は2007年制作の「ベオウルフ 呪われし勇者 (2DISC SPECIAL DDITIN)」!
デンマークを舞台に魔獣グレンデルやドラゴンを倒すスェーデンの勇者を描いた英国最古の叙事詩のひとつの映画化。パフォーマンス・キャプチャーという新技術を駆使し、全編CGで制作されている作品で、実写かと見間違う程の映像技術には感服もの。

デンマークの王フロースガールは、富と名声を得て毎夜毎夜、酒宴をひらいていたが、その騒々しさに魔獣グランデルが怒り、宴の最中に宮殿に乱入し暴虐の限りを尽くして去っていった。フロースガールは国中の金の半分を懸賞に魔獣討伐の命を下すが、悉く返り討ちにあっていた。そんな中、スェーデンから嵐の海をデンマークに向けて突き進んでくる勇者ベオウルフ一行の船があり・・・という設定。

肌の異様な綺麗さとか、馬のぎこちない動きとかで、CGということは分かるが、実写だと言われればそうとも見えるぐらい実写に近いCG作品。この点が、世間的には作品の良し悪しや好き嫌いの評価を左右した気がする。物語的には人間くさい英雄の話だし、わりと単純明快なので面白かった。アンジーはほんのちょっとしか出ないが、やはり存在感は大きいなぁ。
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Vフォー・ヴェンデッタ

2010-08-18 23:03:26 | は行
今宵は2005年制作の「Vフォー・ヴェンデッタ」
第3次世界大戦も終結した2020年頃の英国を舞台に、恐怖政治による独裁にたった一人“V” と名乗る男が立ち向かい、ファシズム体制の転覆を図るという行動を起した男を描いたサスペンス・アクション。(1605年英国で起こった火薬陰謀事件(カトリック教徒弾圧に伴う国王暗殺計画事件)のガイ・フォークスがモデルとされている。

第3次大戦後、英国は荒廃した世界の中でファシズムの下、いち早く国力を取り戻し秘密警察による国民への統制が行われていた。そんなある夜、秘密警察に絡まれたイヴィー(ナタリー・ポートマン)は、仮面の男“V” (ヒューゴ・ウィービング)に助けられる。そして、“V” から暴君から国民を解放するためにこれから1年政府へ戦いを挑むと言う野望を聞かされ・・・という導入。

ウォシャウスキー兄弟が、独裁権力と革命勢力という単純な図式ながら、そこに生じるカタルシスを描いたモノ。あまりにも近い近未来設定と、いかにもナチスをイメージした描写等々、そこまでやっていいの?感一杯の仕上がりだが、なかなか面白く観られる。ちなみに“ヴェンデッタ”=“血の復讐”という意味との事。
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ワールド・オブ・ライズ

2010-08-17 04:12:07 | わ行
今宵は2008年制作の「ワールド・オブ・ライズ」
CIAの工作員が中東の大規模なテロ組織を追って、その黒幕である指導者を捕らえようとヨルダンで奮闘する姿を描いたサスペンス。元ワシントン・ポストの中東担当であったデヴィット・イグネイシャスの原作をリドリー・スコットがモロッコを撮影の舞台にしながらも中東の雰囲気を良く醸し出して仕上げた作品。

中東を舞台に諜報活動で名をあげているCIAの工作員ロジャー・フェリス(レオナルド・ディカプリオ)は、ヨルダンに拠点を置く大規模なテロ組織の実態を掴もうとするが、ハイテク機器に囲まれデスクワークだけの上司のエド・ホフマン(ラッセル・クロウ)とヨルダン諜報局の切れ者である局長ハニ・サラーム(マーク・ストロング)との板挟みになって・・・という導入。

L・ディカプリオは結構骨太な男を、R・クロウは口先だけの小憎らしい男を、M・ストロングは知的で頭脳明晰な男を各々が上手く演じていて、三つ巴の妙で話が展開していくので、面白く観られる作品。ただ、観る人によっては展開の中途半端さや詰めの甘さにだけ目が行ってしまうかも。
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ターミナル

2010-08-08 01:36:12 | た行
今宵の友は2004年制作の「ターミナル (2DISC SPECIAL EDITION)」!
飛行機に乗っている間に祖国が消失してしまい、アメリカに入国することも、祖国へ帰ることも出来なくなり、“空港から出られなくなった男” になってしまったビクター(トム・ハンクス)にスポットをあてて描いた感動のヒューマン(+コメディ)ドラマ。

NYへ行くためアメリカの空港に降り立ったビクター・ナボルスキー(T・ハンクス)は、自分の出国後、クーデターにより祖国の政府が消滅し、アメリカに入国することも、帰国することも出来なくなってしまう。英語もろくに話せないビクターは事態を把握することが出来ぬまま空港内に留め置かれることになる。それが1日また1日と延びて・・・という設定。

本物と見紛うばかりのセットの空港ロビーは圧巻! 出店しているお店も本物に依頼をしたという徹底ぶりにスピルバーグの凄さを感じた。話の展開としては、切実なはずなのに何故か前向きに進むビクターによって面白、楽しく、また切なくも観られる作品。アメリア役のキャサリン・ゼタ=ジョーンズは、綺麗だし、ピチッと着こなした制服が似合うなぁ。
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