銀幕日記 ~今宵の肴~

夜更かしの友である映画の寸評というか、何というか、つれづれなるままに(笑 

奴らを高く吊るせ!

2020-11-11 00:05:27 | や行

今宵は1968年制作の「奴らを高く吊るせ! 」!
マカロニ・ウェスタンで脚光を浴びたクリント・イーストウッドのハリウッド凱旋作品で、オクラホマ準州に属す広範な土地であるフォート・グラントを舞台に冤罪によるリンチで吊るされた男の復讐を描いた西部劇。西部開拓時代の「法制度や死刑制度や正義の在り方とは」と言うことに現代からの視点で疑問を呈した作品。

ジェド・クーパー(C・イーストウッド)は、800ドルで購入した牛を輸送中に9人の男たちに囲まれ、牛泥棒の疑いを掛けられたうえ、弁明の余地無しに吊るし首にされてしまう。偶然通りかかった連邦保安官ブリスによって九死に一生を得たクーパーは、囚人護送車でフォート・グランドへ移送され、そこで判事から冤罪を認められて釈放されるとともに、連邦保安官になることを打診され……とい設定。

「公の正義」と「私の正義」その在り方と、死刑制度の是非をテーマにしたかったような作品なのだが、凱旋したイーストウッドを持ち上げるような(格好良い睨み顔のアップ等)カットが多く、アクションとも、社会派ドラマとも、どちらとも言えない仕上がりになっている。ただ、イーストウッド好きにとっては、面白く観られた作品。出来れば、もっと銃捌きのカットが欲しかった。

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ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション

2015-02-05 00:09:26 | や行
今宵は2009年制作の「ユニバーサル・ソルジャー:リレジェネーション」!
1992年に大ヒットし、ジャン=クロード・ヴァン・ダムとドルフ・ラングレンがアクションスターとしての地位を確立した伝説的作品の正統な続編のSFアクション。次世代型ソルジャーと旧型ソルジャーの対決等、見どころ満載だが、特に前作より18年も経過しヴァン・ダム、ラングレンともに齢五十を超えてのアクションが見所の作品。

テロリストが政治犯の釈放を要求し、ロシア首相の子息を誘拐後、チェルノブイリ原子力発電所を占拠する事件が発生する。テロリストの裏には最先端の兵士再生プログラム“NGU” よって誕生した最強ソルジャー(アンドレイ・“ザ・ピットブル”・アルロフスキー)の存在があった。死なない兵士には、死なない兵士でしか対抗できないとの判断から初期兵士再生プログラム“ユニソル” を送り込むが、力の差が歴然としていた。そこで、初期型最強兵士リュック(J=C・ヴァン・ダム)が送り込まれて・・・という設定。

五十を過ぎてのアクションは凄いが、やはり2人とも老けた感は否めないので、ちょっと残念。内容的には、軍隊に重火器使用を禁止しながらユニソルはバンバン撃つし、旧型ソルジャーより人間の特務隊員の方が新型ソルジャーと戦えるし、アンドリュー(D・ラングレン)の復活過程が不明確等々と突っ込み所満載だが、まぁ元々B級だし、そう思えば楽しめる作品。
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容疑者

2010-09-29 00:45:22 | や行
今宵は2002年制作の「容疑者 ((DELUXE EDITIN)」!
ピュリッツァー賞受賞の報道ジャーナリストであるマイク・マッカラリーが取材した実話を基に作られたサスペンス(+ヒューマン)ドラマ。親子三代(ある意味四代)に渡る負の連鎖を描いた奥深い内容をロバート・デ・ニーロとジェームズ・フランコが親子に扮して熱演している。

NY市警の刑事ビンセント・ラマーカ(R・デ・ニーロ)は、川岸に上がった全身刺青の麻薬ディーラーの刺殺事件を追って、ロングアイランドに事件の発端があることを突き止める。そこは昔、自分の父が幼児誘拐殺人犯として処刑された街であり、14年前に妻子を捨てた街でもあったことからあまり気乗りはしていなかったが、容疑者として挙がってきた名前が、幼い頃に別れた息子ジョーイ(J・フランコ)であったため・・・という設定。

魔が差した父が殺人犯、それを払拭するように頑張った自分が警官、幼い頃に離縁した息子が殺人の容疑者と断ち切れない連鎖の中でもがくデ・ニーロの子として、親としての葛藤が重い感じだが、飽くことなく観られる作品。ただ観終わってもすっきりしない感はぬぐえないけど。
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ヤング シャーロック ホームズ 対決!モリアーティ教授

2010-07-07 03:53:06 | や行
今宵は2002年制作の「ヤング シャーロック ホームズ 対決!モリアーティ教授」
原作は誰しもが読んだことがあるであろうコナン・ドイルではあるが、ホームズ対モリアーティの図式のみ拝借した若かりし頃のホームズ外伝みたいな作品。ホームズの設定とかワトソンとの出会い方とかも原作とは異なっているので、正統派と思わない方がよい作品。

モリアーティ教授(ヴィンセント・ドノフリオ)に恐喝されているという女性の依頼をきき、教授を追い詰めたホームズ(ジェームス・ダーシー)は、正当防衛として発砲し、教授は下水道へ落ち流されてしまう。この事件でホームズは私立探偵として名声を得る事となり、新たな依頼として持ち込まれたのは・・・という導入。

それなりに楽しんで観られる作品だが、シャーロキアンやホームジアンからすると疑問符だらけの作品かもしれない。まぁスピンオフ系の作品なので、そこは大目にみるとして、最後で鍵となった女性がレベッカ・“ドイル” というフルネームと明かしたり、お見舞いに届いた鹿撃ち帽が“アガサ(・クリスティ)” おばさんからと匂わしたり、なかなか推理小説好きを意識しているのかも。

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ヤング・ブラッド

2008-11-15 01:48:35 | や行
今宵は2001年制作の「ヤング・ブラッド」
所謂、三銃士ものの一つ。ダルタニアンにのみ焦点を当てて彼の成長を描き、他はサラッと流す程度の描写であることと香港映画さながらのワイヤーアクションを導入しているところが目新しい作品。ティム・ロス、カトリーヌ・ドヌーブ、スティーブン・レイと言った豪華俳優陣が脇を固めている。

1625年。ダルタニアン(ジャスティン・チェンバース)は、銃士になる事と両親の仇を討つ事を目的としてパリに向かう。しかし、リシュリュー枢機卿の謀略により銃士隊は既に壊滅状態で、変わりにフェブル(T・ロス)を隊長とする枢機卿直属の軍隊が幅をきかせていた。そんな中、ダルタニアンは投獄されている銃士隊の隊長を救出すべく、アラミス、ポルトス、アトスらと共に行動を開始するのだが・・・という設定。

見所のワイヤーアクションは、どっかで観た事あるような・・・あ! ジェット・リーの「ワンス・アポン・ア・タイム」と思ったら武術演出家のシャン・シンシン自身も使いまわし認めちゃってるしなぁ(苦笑 でも、飽きずに最後まで面白く観れたし、フランチェスカ役のミーナ・スヴァーリが可愛かったから良しとしとくかw
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夕陽のガンマン

2007-10-02 01:51:53 | や行
今宵は1965年制作の「夕陽のガンマン」
クリント・イーストウッド主演で描く、言わずと知れた、マカロニ・ウエスタンの傑作第2弾。本来なら前作“荒野の用心棒” から観たかったのだが諸事情でこっちから。マカロニ・ウエスタンとはイタリアのスタジオで作られた西部劇のことを総称した日本の造語。アメリカではスパゲティ・ウエスタンと呼んでたらしい。

投獄されていたインディオ(ジャン・マリア・ボロンテ)が、手下の手引きで脱獄に成功する。時を同じくして、賞金稼ぎのモンゴ(C・イーストウッド)という若い男とモーティマー大佐(リー・バン・クリーフ)と言う初老の男がインディオの首を狙って同じ町に辿りつく。首領の首にかけられた賞金は1万ドル。手下の分も合わせると2万ドルにもなる稼ぎの為、モンゴとモーティマーは一気触発の状態になるのだが・・・という展開。

くわえ煙草にしかめっ面のC・イーストウッドが格好良過ぎる。仕上りとしても40年以上も前なら斬新な映像とテンポだったはず。当然、今日でも観賞に耐え得る作品だけど。あ、もう一人の賞金稼ぎ役のL・V・クリーフの渋い演技も見逃しちゃいけないw あと、哀愁漂う口笛が耳に残るなぁ・・・。
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007/ユア・アイズ・オンリー

2007-08-04 01:28:18 | や行

今宵は1981年制作の「ユア・アイズ・オンリー (SPECIAL EDITION)」!
前作で宇宙まで行ってしまい娯楽作品化した007を原点回帰させ、アクション中心のスパイものに仕上げた第12作目。そう言った意味で、オープニングでスペクターのボス、ブロフェルドと思しき人物を葬り去り、心機一転といったところか。主題歌はシーナ・イーストン。

ギリシャの沖で英国の情報収集船が何者かの仕掛けた機雷によって沈没させられる事件が発生。同船は、東西両陣営の均衡を崩す兵器“ATAC” というミサイルの誘導装置を積んでいた為、狙われたらしい。そこで英政府は海底遺跡発掘調査のハブロック卿に引き上げを依頼するが、やはり何者かによって惨殺されてしまい、英諜報部からボンド(R・ムーア)が派遣されることになるのだが・・・という展開。

愛妻の墓参りとか、結構シリアスな場面を入れたり、陸海空と肉体を使ったアクションを多く披露したり、見応え充分。しかも、あんまり女にがっついていない大人のボンドって感じで、上手く仕上っている。メリナ役のキャロル・ブーケが、とっても美しく、かつ知的で凛とした雰囲気をだしているので、ちょいと惚れちゃうかもw

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ユニコーン 奇跡の航海

2007-02-13 01:30:19 | や行
今宵は2000年制作の「ユニコーン 奇跡の航海 完全版」
童話『Voyage of the Basset』を原作に異世界での冒険を通して、愛する人の死を乗り越え生きる力や愛を再確認する姿を描く、ファンタジー・アドベンチャー。

母親を失ってからのエイスリング一家では、妹は空想世界に引きこもり、姉は意地っ張りになるし、父は何も出来ずに家族はバラバラになりかかっていた。ある晩、一家は母親の描いたファンタジーの世界に引き込まれてしまう。奇跡と想像力の世界に迷い込んだ一家は、ファンタジー界の住人たちと出会いつつ、予言を実現し、元の世界に帰るため冒険を始める、という展開。

さすがホールマーク社の製作だけにミノタウルスやメデューサ、スピンクス等のクリーチャーの出来がとても素晴らしい。最初のうちに出てくる人間の自己中心的行動が徐々に無くなり、家族愛や友情が後半になるほど強まるのは、予定の展開と分かりつつも見事に乗せられてしまうw
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U-571

2006-11-15 01:21:36 | や行
今宵の友は2000年制作の「U-571(DELUXE EDITION)」!
潜水艦という限られた題材でありながら、観るものを飽きさせない作品である。

第2次大戦下の1942年北大西洋が舞台となり、独潜水艦U-571(Uボート)から暗号機 "エニグマ" を奪うべく米海軍の潜水艦がUボートに偽装して近づき、制圧に成功したのも束の間、救助に来た独軍の攻撃で自分達の艦を失ってしまう。奪ったU-571をどうにか動かして、その場の離脱に成功した後は、爆雷攻撃による物理的破壊の恐怖や水圧に軋む艦内での精神的恐怖などが描かれて、手に汗握る展開となっていく。

本作品は、ただ単に史実を基に脚色を加えたものを映像化したわけではなく、紆余曲折しながらも艦長として成長して行く人間の姿を盛りこんであるところが単なる戦争映画と一線を画しているような気がする。
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