銀幕日記 ~今宵の肴~

夜更かしの友である映画の寸評というか、何というか、つれづれなるままに(笑 

空軍大戦略

2021-10-26 00:09:18 | か行

今宵は1969年制作の「空軍大戦略」!
第二次世界大戦前期(1940年7月から10月)に行われた英国本土上空の制空権を巡る英国と独逸の戦い「バトル・オブ・ブリテン」を史実に基づき描いた戦争映画。通常の戦争映画と異なる点は、英独どちらが善悪という明示もなく、特定の主人公もおらず、日々の戦いの中に散りばめられた様々なエピソードを綴っていく群像劇として仕上がっている。

ナチス・ドイツの勢力は、日増しにヨーロッパ全土に拡がりをみせていた。そして、ついにフランスが陥落してしまい、ヒトラー総統は、次の戦いの矛先をイギリスへと向けていた。それに対しチャーチル首相は、「バトル・オブ・ブリテン」と銘打ち、英国本土の制空権確保へ向け、英空軍による迎撃準備に着手をし始めたが……という導入。

どちらの立場にも立たず、特定の主人公もいないので、感情移入すべきところは皆無。史実を見るかのような感覚で観終えた。特筆すべき点は、多数の実物の飛行機がほぼ往年の姿で登場するところと、最後の大空戦では効果音を消し、音楽だけで表現したところかな。映像に関しては、今ならCGとかでもっと派手に描けるのだろうが、当時の技術ではこれが限界か、といった感じだが、それなりに見応えはあった。

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アルカトラズからの脱出

2021-10-23 00:01:42 | あ行

今宵は1979年制作の「アルカトラズからの脱出」!
サンフランシスコ湾に浮かぶ小島を丸ごと監獄にしたアルカトラズ刑務所は絶対脱獄不可能と呼ばれ、1963年まで実在していた。その脱獄不可能な連邦刑務所で、1962年に実際に起こったフランク・モリスとアングリン兄弟が監房から消えるという事件を基に描かれたサスペンス。

誰も脱獄に成功したことがないと称されるアルカトラズへ収監されたフランク・モリス(クリント・イーストウッド)は、脱獄の常習犯であった。そのため、早々に冷酷な所長(パトリック・マクグーハン)に目をつけられるが、隣の房のチャーリーや以前別の刑務所で知り合ったアングリン兄弟と仲間を増やしつつ、着々と脱獄計画を練り始め……という展開。

手に汗握る緊迫感の中で、ドキドキワクワクしながら観られた作品。イーストウッドが、あまりに格好良く脱獄するものだからフィクションかと思っていたら、後から実話と知ってビックリした覚えがある。この作品にしても、前述の「パピヨン」や「大脱走」にしても、収監先から上手く脱け出すという話は、スリルと絶望と希望と期待が入り乱れるような感覚で観られるので好きだなぁ。

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大脱走

2021-10-20 00:07:27 | た行

今宵は1963年制作の「大脱走」!
チュニジア戦線で撃墜された戦闘機から脱出した後、ドイツ軍の捕虜になったポール・ブリックヒルが捕虜収容所で体験した脱走計画を書籍(The Great Escape)化しものをジョン・スタージェス監督が映画化した作品。錚々たる俳優が揃い、話題を呼んだ不朽の名作であり、異色の戦争映画。

第二次世界大戦下、厳しい監視で有名なドイツのルフト第3空軍捕虜収容所には、多数の脱獄の常習犯が集められ、一元管理されていた。米兵のヒルツ(スティーブ・マックイーン)は、監視台と監視台の間の鉄条網に死角があることに気づき、わざとボールを投げ入れる実験をするが、この行動で目を付けられて独房入りとなってしまう。その間にも新しい捕虜で集団脱走のリーダー的存在のバートレット(リチャード・アッテンボロー)が収監されて……という導入。

マックイーンやアッテンボロー以外にもチャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーン、ジェームズ・ガーナー等々、豪華絢爛、漢臭さ満載の作品。しかも観る者を集団脱走の計画に引きずり込んで一緒に逃げ出す気にさせ、ワクワクしながら観ることができる作品。若かりし頃に観た時は、流石にバイクで鉄条網を跳び越すことは出来なかったが、壁に向かってボールを投げる仕草は真似たもんだ。w

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300 帝国の進撃

2021-10-17 00:04:38 | さ行

今宵の友は2014年制作の「300 帝国の進撃」!
スパルタとペルシャ間の“テルモピュライの戦い” を原作とした歴史大作である前作の続編、というか同時並行物語のような、スピンオフのような作品。アテナイのテミストクレス将軍とペルシャの戦いを描いたもので、戦いの場を海上へ移し、船上でのバトルが繰り広げられた「サラミスの海戦」と呼ばれる歴史スペクタクル。

スパルタ王レオニダスの死後、その遺志を継ぐようにアテナイのテミストクレス(サリヴァン・ステイプルトン)は、大半が一般市民で構成されているギリシャ連合軍を率いて艦隊を構成し、ペルシャ帝国に立ち向かっていくこととなる。対するペルシャ帝国は、海軍指揮官にアルテミシア(エヴァ・グリーン)を据えて、大艦隊で進撃をしてくる。そして、海戦の火蓋が切って落とされ……という導入。

映像美は、技術の進歩もあるのだろうが、前作以上に精緻かつ大袈裟に描写されている。最後まで楽しく観られたのだが、ストーリー構成が前作より弱く、迫力に欠けたのは否めない。でも、海戦場面は個人的に充分見応えがあったので良しとしよう。ギリシャ人でありながら、ギリシャへの復讐を誓うアルテミシア役のエヴァ・グリーンが、なかなか良かったが、女剣士というより、影の黒幕として演出しても良かったような気もする。

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ブレードランナー 2049

2021-01-05 00:03:16 | は行

今宵は2017年制作の「ブレードランナー 2049  (2DISC EDITION)」!
色々と物議を醸した1982年作品から35年の時を経て制作された続編。リドリー・スコットが制作総指揮を務め、ハリソン・フォードが当時の役柄であるリック・デッカードを演じている。作品的には前作から30年後を舞台にしているが、相変わらず日本風の映像描写は残っているのが何とも。

2022年の「大停電事件」以降、全世界は環境破壊加え、食糧難に陥ってしまっていた。また、レプリカント(人造人間)の製造が禁止されていたが、2036年にウォレス社が寿命の無いネクサス9型を開発したことで、再び人間の使役として働き始めていた。その中の一体である“K(ライアン・ゴズリング)” は、ロス市警のブレードランナーとして、旧型を“解任” する仕事に従事していた。ある日、仕事の過程で枯れ木の根元に埋められていたトランクを発見し……という導入。

何と言えば良いのだろうか。確かに前作の世界観や映像美を引き継いで制作されているのは理解できるし、面白い。しかし、“K” の自分探しの旅が長すぎて、少々飽き気味になってしまうのも否めない。まぁ、30年後に生存していたことで、デッカードはレプリカントではなかったと、これまでの疑念は解消されたように思うが、あの放射能の中で生きてきたってことは……と新たな疑念がw ジョイ役のアナ・デ・アルマスが、なかなか美しくて良かった。

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ブレードランナー ファイナル・カット

2020-11-20 00:04:43 | は行

今宵は1982年制作・2007年再編集の「ブレードランナー ファイナル・カット  (2DISC EDITION)」!
フィリップ・K・ディックのSF小説“アンドロイドは電気羊の夢を見るか?” を原作(と言うより原案)とした近未来SFサスペンス。1982年に劇場公開後、1992年のディレクターズ・カット版を経て、2007年に公開25周年を記念してリドリー・スコット自身の手で再編集したのが本作ファイナル・カット。現在、入手可能なのは前述の3つを含めて5バージョンある。

地球環境の劣化と遺伝子工学の発達により宇宙植民地での労働力としてレプリカントと呼ばれる人造人間が発明されていた。人間同等以上の知性と体力を持った彼らは次第に過酷な環境への反発を感じ、人間世界への逃亡を試みるようになる。リック・デッカード(ハリソン・フォード)は、人間社会に紛れ込んだ彼らを判別・発見し、「解任(抹殺)」する任務を負う警察の専任捜査官「ブレードランナー」の一人であり……という設定。

舞台は2019年のロサンゼルスなのに街にはやたらと日本を意識した演出がなされてて、日本人から見るとちょっと奇異に映るかな。本作は、完成度は高いものの全体的に暗い映像を意識した作品のため公開当時から評価は高くなく、興行的には失敗の部類だった。しかし、誤った設定(人数)のまま進行したり、謎を残したままのエンディングが、多くの人々の議論を呼び、永遠の名作として認知されたのかな、と思ってしまう。

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奴らを高く吊るせ!

2020-11-11 00:05:27 | や行

今宵は1968年制作の「奴らを高く吊るせ! 」!
マカロニ・ウェスタンで脚光を浴びたクリント・イーストウッドのハリウッド凱旋作品で、オクラホマ準州に属す広範な土地であるフォート・グラントを舞台に冤罪によるリンチで吊るされた男の復讐を描いた西部劇。西部開拓時代の「法制度や死刑制度や正義の在り方とは」と言うことに現代からの視点で疑問を呈した作品。

ジェド・クーパー(C・イーストウッド)は、800ドルで購入した牛を輸送中に9人の男たちに囲まれ、牛泥棒の疑いを掛けられたうえ、弁明の余地無しに吊るし首にされてしまう。偶然通りかかった連邦保安官ブリスによって九死に一生を得たクーパーは、囚人護送車でフォート・グランドへ移送され、そこで判事から冤罪を認められて釈放されるとともに、連邦保安官になることを打診され……とい設定。

「公の正義」と「私の正義」その在り方と、死刑制度の是非をテーマにしたかったような作品なのだが、凱旋したイーストウッドを持ち上げるような(格好良い睨み顔のアップ等)カットが多く、アクションとも、社会派ドラマとも、どちらとも言えない仕上がりになっている。ただ、イーストウッド好きにとっては、面白く観られた作品。出来れば、もっと銃捌きのカットが欲しかった。

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最後の猿の惑星

2020-11-09 00:03:16 | さ行

今宵は1973年制作の「最後の猿の惑星」!
コレクターズBOX仕様。
未来・現在・過去と時間軸を移動させながら描いてきた猿の惑星シリーズの第5作にして完結編。シーザーが主導した人間への反乱が各地へ伝播し、遂には核爆弾が使用され、荒廃してしまった世界で猿類と人類の共存を描こうとしたSF作品。尚、第1作目の衝撃と余韻でここまで引っ張った感が強いシリーズでもある。

シーザー(ロディ・マクドウォール)の反乱の後、争いは激化し、遂には核が使用された結果、世界は廃墟と化し文明も後退してしまっていた。猿類は集落を築き、人間を召使いとして扱いながら共存生活を送っていた。そこでは人間側の代表マクドナルドは人間と猿の対等な関係を求め、ゴリラのアルドー将軍は人間の奴隷化を求めるという状況が発生し……という設定。、

時間軸を移動しての物語展開なので、どこが本当のスタートなのか謎。作品中で「高速道路でレーンを変えても、その道は先へ続く」的な発言があるが、勝手に解釈すると、「併行宇宙が存在し、何かの切っ掛けで別の未来へ続く」とも考えられるので、本作以降の地球が“人類が猿類に支配された惑星” では無く、“人間と猿が共存している惑星” になっていると地球滅亡は免れるのかな、と思いつつ観終えた。

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猿の惑星・征服

2020-11-07 00:04:31 | さ行

今宵は1972年制作の「猿の惑星・征服」!
コレクターズBOX仕様。
コーネリアスとジーラが射殺されてから約20年後、密かに匿われていた一粒種の息子マイロの言動を主軸に描いたシリーズ第4作目! 自らの名に大王“シーザー” を選び、虐げられていた猿族を率い、人類に反旗を翻すというSF作品。ラストシーンは、試写会後に差し替えられたとのこと。

サーカス団のアーマンドに助けられ、大人になったマイロ(ロディ・マクドウォール)は、初めて訪れたメガロポリスで人間に奴隷のように奉仕をし、ミスを犯せば虐待されている猿たちを見て思わず声を上げ、警察に目を付けられてしまう。アーマンドはマイロを逃がすため自ら警察に出頭し、マイロは新たに運ばれてきた奴隷猿に紛れて都市に身を潜めるのだが……という前振り。

たった20年で、犬猫に変わり猿がペットとなり、更に奴隷化という展開の早さはご都合主義全開って感じ。本作では、沢山の猿が出てくるのだが、何故かチンパンジーとゴリラが大半で、オランウータンが少ないのに意味はあるのだろうか? ま、90分程度の作品なので飽きずに観ることも出来るし、それなりに楽しめる。また何故、地球が“猿の惑星” になったのかが、本作で理解できる。

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新・猿の惑星

2020-11-05 00:04:17 | さ行

今宵は1971年制作の「新・猿の惑星」!
コレクターズBOX仕様。
惑星消滅の前にテイラーの乗ってきた宇宙船を修理し、脱出したコーネリアス、ジーラ、マイロが、消滅時の衝撃波の影響で過去へ飛ばされた結果、1973年の地球に辿り着いた猿人を主人公に描いたシリーズ第3弾のSF作品。本作では、人種差別に対する風刺も盛り込まれていて、後半その色が顕著になっている。

カリフォルニアの沖合に着水した宇宙船からテイラー大佐が現れると思いきや、出てきたのはジーラ(キム・ハンター)、コーネリアス(ロディ・マクドウォール)、マイロたち猿人だった。政府は、一時的にロサンゼルス動物園付属病院に移送し、ルイス博士とステファニー博士に検査をさせることにする。検査の最中、ただの動物扱いに耐えかねたジーラが言葉を発してしまい、査問委員会へと発展し……という設定。

地球を舞台に猿類と人類の立場を第1作と逆にしたような設定で展開していく内容で、前2作に比べると登場する猿の数が激減したため、低予算・短期間で完成したのも頷ける出来の作品。だからと言って悪い訳ではなく、充分観賞に値する内容で楽しめた。まぁ、途中の間延びした感はご愛敬として扱う方が無難。言葉を話す猿の起源というか、次回への布石を残すあたりが何ともw

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