銀幕日記 ~今宵の肴~

夜更かしの友である映画の寸評というか、何というか、つれづれなるままに(笑 

奥さまは魔女

2010-06-25 01:57:56 | あ行
今宵の友は2005年制作の「奥さまは魔女」
60年代にアメリカでテレビ放映され、日本でも人気を博した魔女“サマンサ”と夫“ダーリン”を中心に展開するラブ・コメディを映画化したもの。単なるリメイク版というより、基本路線を守りつつも新たな設定で作られた作品で、劇中劇が妙にリアルだったりと言うモノ。

落ち目の映画俳優ジャック(ウィル・フェレル)のもとに、テレビドラマ「奥さまは魔女」の出演依頼が来る。これを足掛かりに再起を期すジャックは相手役のイメージにぴったりな女性を探し求めている中、普通の恋をしたくて人間界に舞い降りて来ていたイザベル(ニコール・キッドマン)に出会い、即座に出演交渉をするのだが・・・という導入。

鼻というか、口元というか、あのピクピクが40年以上経っても健在なのは懐かしい。作品的にはのんびり観られるモノだが、かつてのTV版を知らないと登場人物の設定とかに疑問符がつくかも。ニコール・キッドマン、可愛いし、綺麗。彼女の表情やファッションを観ているだけでも満足しちゃった作品。(苦笑
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トパーズ

2010-06-17 02:29:32 | た行
今宵は1969年制作の「トパーズ」
日増しに緊迫する米ソ関係とカストロ政権下の62年キューバ危機を題材に、そこで暗躍するスパイを描いたレオン・ユリスの小説が原作。アメリカ対キューバ、ソ連の図式の中に、本来中立であるはずのフランスのスパイがメインとなって活躍するスパイ・サスペンス。

62年某日、政府の軍事拡大路線に批判的であったソ連のKGB高官クセノフが、CIA(アメリカ中央情報局)のノルドストロム(ジョン・フォーサイス)の協力により密かにアメリカへ亡命をする。しかし、この情報が何故かフランスの情報組織に伝わり、その真偽、高官の所在を突き止めるためアンドレ(フレデリック・スタフォード)が諜報活動の任を命じられ・・・という設定。

ヒッチおじさん低迷期の作品であることは周知の事実だが、一定のレベルは保たれている気がする。しかし、出演陣にビック・スターが名を連ねていないのは寂しい気もするし、随所にヒッチコックらしい演出があり、個々では素晴らしいのだが、全体としては確かに間延びした感があるのは否めない。でも、結構面白く観ることができた。
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ギフト

2010-06-10 16:56:58 | か行
今宵は2000年制作の「ギフト」
ジョージア州の小さな町を舞台に、カード占いで生計を立てているアニー(ケイト・ブランシェット)を中心に、彼女を取り巻く人々と、そこで起こった殺人事件を絡めて描いたミステリアス・ムービー。サム・ライミ監督というとホラー色が強いのだが、本作では控えめにしている。

アニー(K・ブランシェット)は、夫を工場の爆発事故で失ってから、神から授かった“ギフト(=超感覚)” という能力で、カード占いをして町の人々の悩み相談にのっていた。その客の中のひとりであるヴァレリー(ヒラリー・スワンク)から、夫ドニー(キアヌ・リーブス)のDVについて相談を受け、離婚を勧めたのだが、そのことがドニーの怒りを買って・・・という導入。

透視能力というか、予知夢というか、いわゆる超能力を題材に、殺人事件を解決する話なのだが、超能力を前面に押し出すというより、閉塞感のある町、そこの住人、人間関係を描きつつ、スパイスとして“ギフト” を使った感じで、ビクッとする部分はあるけど、なかなか楽しめる作品。出演陣も前述以外にジョヴァンニ・リビシー、ケイティ・ホームズ、グレッグ・キニア等々のメンバーが名を連ねて豪華である。
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ニュートン・ボーイズ

2010-06-08 03:17:55 | な行
今宵は1998年制作の「ニュートン・ボーイズ」
テキサスからカナダにかけて80以上の銀行を襲い、さらに当時としては史上最高額の300万ドルの郵便列車強盗を行った実在の兄弟たちの1919年から5年間を描いた実話作品。人を殺めない事をポリシーに兄弟の結束と絆、華麗な犯罪に焦点を当てたクライム・アクション。

次男ウィリス(マシュー・マコノヒー)の出所を機会に再会したニュートン兄弟。野心家のウィリスは一獲千金を夢見て銀行を襲い、手に入れた債権を元に勇退するある銀行の頭取から系列銀行は襲撃しない見返りに開け易い四角扉の金庫を使用している銀行リストを手に入れることに成功する。人手が必要になったウィリスは、お調子ものの三男ジェス(イーサン・ホーク)と実直な四男ジョーを抱き込んで・・・という設定。

銀行強盗の話なのに、緊迫感というよりコメディ色が強い感じのする作品で、観始めるとあっと言う間に観終わってしまう感じ。実話通りだとすると、あまりに大胆な手口なので、100年ほど前のアメリカはのんびりしていたなぁとつい思ってしまう。FBI(Federal Bureau of Investigation) がでてくるが、当時はまだBOI(=捜査局)なのだが・・・まぁいいか。

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アウトロー

2010-06-05 00:13:15 | あ行
今宵は1976年制作の「アウトロー」
南北戦争末期、北軍のゲリラ軍“赤足” の暴走で妻子を失ってしまった男ジョージー・ウェールズの半生を描いた、クリント・イーストウッド監督・主演の西部劇。75年頃だと西部劇は下火だったが、敢えてアメリカの歴史を浮かび上がらせるべく作られた秀作。

ジョージー・ウェールズ(C・イーストウッド)は、ミズーリで農夫として静かに暮らしていたが、北軍の秘密軍事組織(=ゲリラ)“カンサス・レッドレック” の暴走で、妻子も家も失ってしまう。復讐の一念で、フレッチャー率いる南軍ゲリラの一員となり行動を共にし、“赤足” のリーダーであるテリルを追うが、見つけられないまま、終戦を迎え、仲間の多くが北軍へ投降し始めたのだが・・・という導入。

“アウトロー(=無法者)” という題名、イーストウッドの西部劇という情報だけだと、ドンパチのウェスタンをイメージするが、内容はもっと濃い。北軍、南軍どちらが善悪かとか、インディアンと白人どちらが善悪かとかいった政治的な色は一切排除し、一人の男を通して“死より生” の重さを徐々に考えさせる出来になっている。ソンドラ・ロックがもうちょっとキリッとしてたらなぁ。
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ペイルライダー

2010-06-03 00:20:59 | は行
今宵の友は1985年制作の「ペイルライダー」
ゴールドラッシュにわくカリフォルニアのとある町を舞台に、渓谷で砂金を手堀りする集団と水圧式装置で一気に金を掘り出す町の権力者間の対立、そこにふらっと現れた牧師の格好をした流れ者の姿を描いた作品で、制作、監督、主演の三役をクリント・イーストウッドがこなした西部劇。

町の権力者ラフッドは、より多くの金を得ようと採掘権を巡り、先住していた砂金堀り集団の村を襲撃したり、嫌がらせをして追い出そうとしていた。そんな中、愛犬を射殺された少女が神に奇跡を願った日、どこからともなく一人の男(C・イーストウッド)が現れ、砂金掘りの集落に居着くことになり・・・という設定。

話の流れは“荒野のストレンジャー” のリメイクっぽく、終わりは“シェーン” っぽいので、どこかで観たような気になる映像が多いが、そこそこ楽しめる作品。題名のペイルライダーとは新約聖書「ヨハネの黙示録」に出てくる青白い馬に乗った「死」を象徴した騎士のことらしく、C・イーストウッドも芦毛の青白き馬で登場するなど、凝った設定になっている。
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チザム

2010-06-01 05:07:17 | た行
今宵は1970年制作の「チザム」
西部開拓時代にニューメキシコ州のペコス河流域の広大な土地を手にした大牧場主であるチザム(ジョン・ウェイン)と無法者として名を残すビリー・ザ・キッドと保安官パット・ギャレットという実在の人物を擁して、リンカーン郡戦争という史実に脚色を加えて描いた西部劇。

大牧場主のチザム(J・ウェイン)は、駅馬車で訪ねてくる姪を迎えに町まで出ている間に、メキシコの盗賊によって牛を奪われてしまう。しかし、チザムは数名の仲間と颯爽と踵を返して、牛泥棒を追いかけ、銃撃戦の末、取り返すことに成功する。ただ、この事件の裏側には敵対する町の有力者マーフィーの影がちらついていて・・・という導入。

西部劇ならではの、銃撃戦、牛の暴走、馬でのチェイス、といった定番の要素を丸ごと詰め込んで、仕上げたような作品なので、あっと言う間に観れてしまう。史実に基づくとマーフィー派のギャング「ザ・ボーイズ」とチザム・タンストール派の「レギュレーターズ」との争いなんだけど、まぁ、ビリーやらパットやら後世に名を残した人物がいることと、チザム派が勝ったので、そちらの視点で描かれている気がしないでもない作品。
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