銀幕日記 ~今宵の肴~

夜更かしの友である映画の寸評というか、何というか、つれづれなるままに(笑 

グット・シェパード

2015-05-14 00:06:41 | か行
今宵の友は2006年制作の「グッド・シェパード」!
CIAで働く一人の男の半生を描いたヒューマン・ドラマにスパイ風味を多めに加えた作品で、ロバー・ト・デニーロの監督第2作目(本人も出演)。マッド・デイモンが、“組織と家族” の間を揺れ動く姿を好演し、現在と過去(回想)を交錯させながら進める手法で描かれている。尚、タイトルの“グッド・シェパード” とは、聖書に出てくる“良き羊飼い” との意味。

1961年、在米亡命キューバ人部隊がアメリカの支援下で、フィデル・カストロ革命政権の打倒とアメリカ傀儡政権の再興のためビッグス湾から上陸を試みるが、アメリカ中央情報局(CIA)内部の情報漏れによって作戦は失敗してしまう。この失敗によりCIA自体が窮地に追い込まれ、作戦の指揮を執った諜報員エドワード・ウィルソン(M・デイモン)に嫌疑がかかるが……という設定。

なんと言うのかな、面白いんだけど重いっていう印象の作品で、結構長い。組織と家族の間で揺れながらも組織偏重になっていく笑顔の無いM・デイモンがなかなか渋い。一番印象深いのは、お漏らしをしてしまった息子を着替えさせ時に父子が抱き合う姿と着替えて戻ってきた時に息子が母(アンジェリーナ・ジョリー)と微笑あった姿が、図らずもジーンときてしまった。
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ナインスゲート

2015-05-11 00:03:34 | な行
今宵は1999年制作の「ナインスゲート デラックス版」!
神に聖書があるように、悪魔にも“ナインスゲート(影の王国への九つの扉)” という祈祷書があり、それを巡って繰り広げられるオカルト・ミステリー。監督は様式美にこだわりのあるロマン・ポランスキーで、夫人のエマニュエル・セニエも謎の女役で出演。主演は実力派のジョニー・デップ。

世界に3冊しか現存しないという希少本“影の王国への九つの扉” のうち、1冊を手に入れた悪魔研究家として高名な収集家ボリス・バルカン(フランク・ランジェラ)からの依頼で、真贋の鑑定を託された稀覯書発掘のプロであるルーカス・コルソ(J・デップ)はニューヨークからヨーロッパへと足を運ぶ。しかし、彼の行く先々には妖しい影が付き纏い……という導入。

謎の残る内容だったので、スッキリとはいかないが、全体を通してなかなか面白く観られた作品。J・デップによって引き付けられていたせいもあるけどね。原作は、アルトゥーロ・ペレス・レベルテの“呪のデュマ倶楽部”で、本来は2つの話が入り混じって進行しているのだが、映画ではその片方にのみに焦点を当てて描いている。
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ゾディアック

2015-05-09 00:15:32 | さ行
今宵は2006年制作の「ゾディアック 特別版」!
1968年から1974年の間にアメリカで発生した連続殺人事件を題材にしたロバート・グレイスミスのノンフィクション“ゾディアック” を原作としたサスペンス。この事件は、現在も犯人不明のまま、未解決である。また、71年のダーティー・ハリーでも“ゾディアック” を犯人のモデルとして描写している。

自らを“ゾディアック” と名乗り、犯人しか知りえない情報を記した手紙が暗号と共に複数の新聞社に送りつけられてくる。しかもその後も殺人や予告の手紙は送り続けられるという事件が発生する。この手紙を受け取ったサンフランシスコ・クロニクル紙の記者ポール(ロバート・ダウニーJr)と同僚の風刺漫画家ロバート(ジェイク・ギレンホール)は異常なまでの関心を寄せ、核心を探るべく殺人課のトースキー刑事(マーク・ラファロ)に近付き……という導入。

犯人探しと言うより、事件に関わる男達の姿を画いたヒューマン・ドラマ的要素が多い作品。未解決事件と知らずに観たので、結構引き付けられて面白かったが、ちょい長いかな。劇中、ダーティー・ハリーの映画封切り場面を入れるなど凝った演出もあったりして、やるな、デヴィッド・フィンチャー監督という感じ。

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Dr.パルナサスの鏡

2015-05-05 00:05:53 | た行
今宵は2009年制作の「Dr.パルナサスの鏡」!
幻想的映像を得意とする鬼才、テリー・ギリアム監督によるゲーテの“ファウスト” へのオマージュを込めたダーク・ファンタジー。主演は撮影半ばで急逝し、これが遺作となったヒース・レジャー。ヒースの死により完成が危ぶまれた本作を救ったのが、ヒースと親交の深かったジョニー・デップ、コリン・ファレル、ジュード・ロウの3人で、三者三様の演じ分けで仕上げた。

悪魔との賭けで永遠の命を得たパルナサス博士は、新たな賭けで自分の娘を悪魔に引き渡さねばならなくなっていた。そんな状況の回避策を人に想像の世界を垣間見せる鏡の見世物“イマジナリウム” の興行しながら思案していた。ある日のタロット占いで、運命の鍵は“吊られた男” にあるとでた矢先、橋から吊るされた若者トニー(H・レジャー)を死から救うことになる。助けられたトニーは持ち前の話術や商才を発揮して見世物を繁盛させることになるのだが……という展開。

結局は“欲望に溺れて終わるか、正しい道を選択できるか” 端的に言えば“善か悪か” というお話なのかな。美術的な面は目を楽しませてくれるし、4人のトニーの演じ分けはとても面白く観られたので良かったのだが、どうもしっくりこないで終わった感は否めない。個性派4人の演技で満足しておこう。あ、そういえば代役3人は、出演料をそのままヒースの遺児に贈ったという美談がおまけかな。
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三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船

2015-05-03 00:05:31 | さ行
今宵は2011年制作の「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」!
初回限定アウターケース仕様。
既に何度となく映像化や舞台化がされているアレクサンドル・デュマ原作の冒険活劇を題材に新たな設定(=飛行船)を付け加えて仕上げたアクション・ムービー。8台の3Dカメラを駆使して撮影した映像美は優れもの。

17世紀フランス、銃士になるためパリにやってきたダルタニアン(ローガン・ラーマン)は、鼻っ柱の強さから偶然、三銃士のアトス(マシュー・マクファディン)、ポルトス(レイ・スティーヴンソン)、アラミス(ルーク・エヴァンス)と知り合い、仲間になることになる。リシュリュー枢機卿の陰謀、英国のバッキンガム公爵(オーランド・ブルーム)との策謀、正体不明の美女ミレディ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)と暗雲立ち込める中……といった導入。

話の大筋は従来のものと極端に変えていないので、すんなり話に入っていくことが出来、十分楽しめる作品。勿論、新設定の飛行船とかもワクワクする。あくまで娯楽作品にまとめあげることに主眼を置き、銃士としての成長は描いていない分、思いっきりの良い展開にになっている。しかし、ミラさん。あんな中世のドレスで華麗なアクション、脱帽ですw

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