銀幕日記 ~今宵の肴~

夜更かしの友である映画の寸評というか、何というか、つれづれなるままに(笑 

ブレードランナー ファイナル・カット

2020-11-20 00:04:43 | は行

今宵は1982年制作・2007年再編集の「ブレードランナー ファイナル・カット  (2DISC EDITION)」!
フィリップ・K・ディックのSF小説“アンドロイドは電気羊の夢を見るか?” を原作(と言うより原案)とした近未来SFサスペンス。1982年に劇場公開後、1992年のディレクターズ・カット版を経て、2007年に公開25周年を記念してリドリー・スコット自身の手で再編集したのが本作ファイナル・カット。現在、入手可能なのは前述の3つを含めて5バージョンある。

地球環境の劣化と遺伝子工学の発達により宇宙植民地での労働力としてレプリカントと呼ばれる人造人間が発明されていた。人間同等以上の知性と体力を持った彼らは次第に過酷な環境への反発を感じ、人間世界への逃亡を試みるようになる。リック・デッカード(ハリソン・フォード)は、人間社会に紛れ込んだ彼らを判別・発見し、「解任(抹殺)」する任務を負う警察の専任捜査官「ブレードランナー」の一人であり……という設定。

舞台は2019年のロサンゼルスなのに街にはやたらと日本を意識した演出がなされてて、日本人から見るとちょっと奇異に映るかな。本作は、完成度は高いものの全体的に暗い映像を意識した作品のため公開当時から評価は高くなく、興行的には失敗の部類だった。しかし、誤った設定(人数)のまま進行したり、謎を残したままのエンディングが、多くの人々の議論を呼び、永遠の名作として認知されたのかな、と思ってしまう。

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奴らを高く吊るせ!

2020-11-11 00:05:27 | や行

今宵は1968年制作の「奴らを高く吊るせ! 」!
マカロニ・ウェスタンで脚光を浴びたクリント・イーストウッドのハリウッド凱旋作品で、オクラホマ準州に属す広範な土地であるフォート・グラントを舞台に冤罪によるリンチで吊るされた男の復讐を描いた西部劇。西部開拓時代の「法制度や死刑制度や正義の在り方とは」と言うことに現代からの視点で疑問を呈した作品。

ジェド・クーパー(C・イーストウッド)は、800ドルで購入した牛を輸送中に9人の男たちに囲まれ、牛泥棒の疑いを掛けられたうえ、弁明の余地無しに吊るし首にされてしまう。偶然通りかかった連邦保安官ブリスによって九死に一生を得たクーパーは、囚人護送車でフォート・グランドへ移送され、そこで判事から冤罪を認められて釈放されるとともに、連邦保安官になることを打診され……とい設定。

「公の正義」と「私の正義」その在り方と、死刑制度の是非をテーマにしたかったような作品なのだが、凱旋したイーストウッドを持ち上げるような(格好良い睨み顔のアップ等)カットが多く、アクションとも、社会派ドラマとも、どちらとも言えない仕上がりになっている。ただ、イーストウッド好きにとっては、面白く観られた作品。出来れば、もっと銃捌きのカットが欲しかった。

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最後の猿の惑星

2020-11-09 00:03:16 | さ行

今宵は1973年制作の「最後の猿の惑星」!
コレクターズBOX仕様。
未来・現在・過去と時間軸を移動させながら描いてきた猿の惑星シリーズの第5作にして完結編。シーザーが主導した人間への反乱が各地へ伝播し、遂には核爆弾が使用され、荒廃してしまった世界で猿類と人類の共存を描こうとしたSF作品。尚、第1作目の衝撃と余韻でここまで引っ張った感が強いシリーズでもある。

シーザー(ロディ・マクドウォール)の反乱の後、争いは激化し、遂には核が使用された結果、世界は廃墟と化し文明も後退してしまっていた。猿類は集落を築き、人間を召使いとして扱いながら共存生活を送っていた。そこでは人間側の代表マクドナルドは人間と猿の対等な関係を求め、ゴリラのアルドー将軍は人間の奴隷化を求めるという状況が発生し……という設定。、

時間軸を移動しての物語展開なので、どこが本当のスタートなのか謎。作品中で「高速道路でレーンを変えても、その道は先へ続く」的な発言があるが、勝手に解釈すると、「併行宇宙が存在し、何かの切っ掛けで別の未来へ続く」とも考えられるので、本作以降の地球が“人類が猿類に支配された惑星” では無く、“人間と猿が共存している惑星” になっていると地球滅亡は免れるのかな、と思いつつ観終えた。

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猿の惑星・征服

2020-11-07 00:04:31 | さ行

今宵は1972年制作の「猿の惑星・征服」!
コレクターズBOX仕様。
コーネリアスとジーラが射殺されてから約20年後、密かに匿われていた一粒種の息子マイロの言動を主軸に描いたシリーズ第4作目! 自らの名に大王“シーザー” を選び、虐げられていた猿族を率い、人類に反旗を翻すというSF作品。ラストシーンは、試写会後に差し替えられたとのこと。

サーカス団のアーマンドに助けられ、大人になったマイロ(ロディ・マクドウォール)は、初めて訪れたメガロポリスで人間に奴隷のように奉仕をし、ミスを犯せば虐待されている猿たちを見て思わず声を上げ、警察に目を付けられてしまう。アーマンドはマイロを逃がすため自ら警察に出頭し、マイロは新たに運ばれてきた奴隷猿に紛れて都市に身を潜めるのだが……という前振り。

たった20年で、犬猫に変わり猿がペットとなり、更に奴隷化という展開の早さはご都合主義全開って感じ。本作では、沢山の猿が出てくるのだが、何故かチンパンジーとゴリラが大半で、オランウータンが少ないのに意味はあるのだろうか? ま、90分程度の作品なので飽きずに観ることも出来るし、それなりに楽しめる。また何故、地球が“猿の惑星” になったのかが、本作で理解できる。

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新・猿の惑星

2020-11-05 00:04:17 | さ行

今宵は1971年制作の「新・猿の惑星」!
コレクターズBOX仕様。
惑星消滅の前にテイラーの乗ってきた宇宙船を修理し、脱出したコーネリアス、ジーラ、マイロが、消滅時の衝撃波の影響で過去へ飛ばされた結果、1973年の地球に辿り着いた猿人を主人公に描いたシリーズ第3弾のSF作品。本作では、人種差別に対する風刺も盛り込まれていて、後半その色が顕著になっている。

カリフォルニアの沖合に着水した宇宙船からテイラー大佐が現れると思いきや、出てきたのはジーラ(キム・ハンター)、コーネリアス(ロディ・マクドウォール)、マイロたち猿人だった。政府は、一時的にロサンゼルス動物園付属病院に移送し、ルイス博士とステファニー博士に検査をさせることにする。検査の最中、ただの動物扱いに耐えかねたジーラが言葉を発してしまい、査問委員会へと発展し……という設定。

地球を舞台に猿類と人類の立場を第1作と逆にしたような設定で展開していく内容で、前2作に比べると登場する猿の数が激減したため、低予算・短期間で完成したのも頷ける出来の作品。だからと言って悪い訳ではなく、充分観賞に値する内容で楽しめた。まぁ、途中の間延びした感はご愛敬として扱う方が無難。言葉を話す猿の起源というか、次回への布石を残すあたりが何ともw

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続・猿の惑星

2020-11-03 00:02:50 | さ行

今宵は1970年制作の「続・猿の惑星」!
コレクターズBOX仕様。
衝撃のラストと共に興行的にも、評価的にも大成功をおさめた「猿の惑星」の続編。テイラー達と同じ航路を辿り、またもや惑星に不時着した宇宙飛行士が猿類とミュータントの争いに巻き込まれつつ、テイラーを捜索するSF作品。当時の世相を反映して随所にベトナム反戦運動の影響が盛り込まれている。

宇宙飛行士ブレント(ジェームス・フランシスカ)は、テイラー達と同じ航路を辿り、ある惑星に不時着をする。そこで生き残ったブレントは、テイラーの認識票を首から下げ、口のきけないノバ(リンダ・ハリソン)に出会う。色々話しかけるも上手く説明できないノバは、テイラーに言われた通りにコーネリアスとジーラの協力を得ようと猿類の集落へと連れて行くが……という前振り。

二匹目のドジョウを狙ったが、やはりそうは行かないという典型的な例の一つで、前作以上に突っ込みどころ満載。猿類と人類にいつのまにかミュータントが加わり、なんだかもう何でもありみたいな内容だけど、これはこれで楽しんで観ることは出来る作品。ノバ役のリンダ・ハリソンが、なかなか美しいのが救いかなw

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猿の惑星(1968)

2020-11-01 00:03:33 | さ行

今宵は1968年制作の「猿の惑星 (SPECIAL EDITION) 」!
コレクターズBOX仕様。
ピエール・ブールによるSF小説「猿の惑星」を原作とした全5作シリーズの第1弾。地球外の移住先を探索しに宇宙へ飛び立った4人の宇宙飛行士が船内時間で6か月後、準光速航行だと地球時間で約700年後の地球へ帰還しようと冬眠状態に入った後に起こった出来事を描いたSF作品。

船長のテイラー(チャールトン・ヘストン)は、2673年であることを確認し、冬眠状態に入って眠りについたが、宇宙船に何らかのトラブルが発生し、ある惑星の湖上に不時着水をしたことで、冬眠装置が解除され、他のクルーと共に目を覚ます。湖に沈みゆく宇宙船から脱出し、幸いにも地球同等の大気がある陸地に上がったテイラー達は、惑星に探索と食糧確保のため移動を始め……という導入。

50年も前に映像なので宇宙船内部とか粗雑だし、突っ込みどころもあるけれど、ストーリー展開のテンポの良さや映像にマッチした音楽、何より猿のメイク等々、見応え充分な作品で今なお楽しめる。そして、いろいろと考えさせられる内容を含んでいるので、単なる娯楽作品とは一線を画している気がする。ただ、日本版DVDのジャケットを作成・承認した人たちにはダメ出しをしたい!

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