銀幕日記 ~今宵の肴~

夜更かしの友である映画の寸評というか、何というか、つれづれなるままに(笑 

キングダム/見えざる敵

2017-02-28 00:02:07 | か行
今宵は2007年制作の「キングダム/見えざる敵」!
無差別テロ事件の捜査のためにサウジアラビアへ乗り込んだ4人のFBI 捜査官の5日間を描いた社会派アクションで、国と国の外交上の問題、地元警察や軍隊との軋轢等々の中で、犯人を追いつめていく終始ハイテンションの作りとなっている。またハンディカメラを多用して描いたドキュメンタリータッチの映像はなかなか臨場感がある仕上がり。題材となる事件は架空だが、96年のホバル・タワー爆破事件、及び03年のリヤド居住区爆破事件が基となっている。

ある昼下がり、サウジアラビアの首都リヤドの外国人居住区で警察官に扮装したテロリスト達が無差別銃撃を始める。その後、負傷者の救護に多くの人が集まったところへ追い打ちのように車による自爆テロが発生し、100人以上の死者、200人近くの負傷者が出る事件が発生し、犠牲者の中にはFBI 捜査官のフランもいた。その報を聞いたロナルド・フルーリー(ジェイミー・フォックス)は、すぐさま現地入りをして犯人捜査を行うべきだと主張するが、許可が下りずにイラついていた。そこで裏の手を使い、4人の捜査官かつ5日間という限定ではあったがサウジ入りを決め……という導入。

冒頭の爆破シーンは、迫力があり圧倒される。また人物描写でも最初は相容れないFBI 捜査官と地元警察官が徐々に犯人確保というプロ意識の元で心を通わせていく流れや捜査官がその技量を生かし犯人逮捕への裏付けを取っていくなど見どころ充分で、一気に観られる。エンディングの描写である“負の連鎖” は人類がこの世にある限り永遠に続くもので、消し去ることは難しいと語りかけていると思わざるを得ない。
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イングロリアス・バスターズ

2017-02-25 00:05:08 | あ行
今宵は2009年制作の「イングロリアス・バスターズ」!
奇才クエンティン・タランティーノが監督・脚本で描いたナチス占領下のフランスでの戦争映画。五つに章立し分けて語られる物語形式で、2本の軸、一方はナチス親衛隊に家族を皆殺しにされたユダヤ系フランス人の女性映画館館主エショシャナ・ドレフュス:偽名エマニュエル・ミミュー(メラニー・ロラン)の復讐であり、他方はユダヤ系アメリカ人を中心とした秘密部隊を率いる米陸軍中尉アルド・レイン(ブラッド・ピット)らによるナチス皆殺し作戦が織りなす演出でクライマックスへと続く作品。

1941年、第二次世界大戦中のナチス・ドイツ占領下のフランスの田園地帯で、ナチス親衛隊大佐ハンス・ランダ(クリストフ・ヴァルツ)によって家族を皆殺しにされつつも逃延びたシュシャナ(M・ロラン)は、ミミューの偽名で映画館館主となっていた。そこへミミューに関心を持ったナチスの若者が近づいてくて……という導入と、1944年レイン中尉率いる秘密殺戮部隊は捕虜はとらない、拷問し、頭の皮を剥ぐという残虐な手法で、ナチスの兵士たちを恐怖に陥れていた。そして、ナチスの首脳部を一網打尽にする計画が練られて……という導入。

戦争映画とは名ばかりで、通常思い描く戦闘シーンは殆どない代わりにく、ナチ狩りも過激かつ残虐な描写で映像化していて、ちょっとオイオイと思ってしまうほど(苦笑)。ま、ナチス相手なのでこのような描写でも世界的に受け入れられたっぽいけどね。女優陣もM・ロランやダイアン・クルーガーという美形でなかなか良い。それにこそっと埋め込まれたパロディというか、オマージュというか、それっぽい映像もタランティーノならではと思えてしまう。
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シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム

2017-02-22 00:05:20 | さ行
今宵は2011年制作の「シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム」!
初回限定ホワイト・パッケージ仕様。
ホームズをロバート・ダウニー・Jrが、ワトソンをジュード・ロウが演じるシリーズ第2作目。マイペース系のロバートと冷静沈着なジュードの相反するのに何故か二人で一対みたいな関係が上手く描かれているアクション作品。前作に引き続きホームズ・ビジョンなるシュミレーションとリプレイを織り交ぜたアクション演出に磨きがかかっている。コナン・ドイルの“最後の事件”をベースに脚色しており、前作から1年後の物語としていて、シリーズだが前作との関連性は無く独立した作品。

ロンドンの各地で連続爆破事件が発生し、某国の仕業だとか、アナキストの仕業だとか、憶測が飛び交い人々を恐怖に陥れていた。しかし、ホームズ(R・ダウニー・Jr)は、それらが一人の人物に繋がっていると推察していた。その男こそ表の顔は知的な大学教授、裏の顔は残虐非道な殺人者であるモリアーティ教授(ジャレッド・ハリス)であった。本来なら相棒と2人で解決に向うのだが、ワトソンは結婚を控えていたため、ホームズは自分ひとりで核心に近づこうとして、逆に命を狙われる羽目になり……という導入。

謎解き要素が減ってしまい、アクションに偏った作りになっているので、若干物足りなさを感じるが、十分見ごたえのある作品で、ロバートとジュードの息もぴったりで楽しめる。宿敵モリアーティ教授との対決は見もので、特にラストのチェスのシーンは謎解きの少なさを補って余りある仕上がりでなかなか見応えがあった。紅一点のヒロイン的位置づけである謎の女占い師シム役にノオミ・ラパスが起用されているが、付属品程度の扱い。
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ダーク・シャドウ

2017-02-19 00:06:27 | た行
今宵は2012年制作の「ダーク・シャドウ」!
60年代に放映されていたソープオペラを基にティム・バートンとジョニー・デップが8回目のタッグを組んで描いたダーク・ファンタジー。魔女によりヴァンパイアにされた男が、200年ぶりに復活し、自分の末裔の行く末と魔女への復讐を描いた作品。J・デップが今までのヴァンパイアのイメージを一新する演技を披露。

イギリスからアメリカに移住し、水産業で成功したコリンズ家に生まれたバーナバス(J)は、魔女アンジェリーク(エヴァ・グリーン)によって、恋人のジョゼット(ベラ・ヒースコート)を死に追いやられ、自身はヴァンパイアにされてしまったうえ、生き埋めにされてします。200年後、埋められた周辺で工事が行われ、ふとした偶然で棺桶が発掘される。そして、彼は眠りから目覚めたのだが……という前振り。

切なく楽しく、泣かせて笑わせる、そんなアイディアが盛り込まれた作品で、一気に観られる。なんだかんだで、J・デップって、やはり凄い。そして、ティムも。この2人が組んでいたら、全てがアタリという訳じゃないけど、大外れは無いね。ベラ・ヒースコートがジョゼットとヴィクトリアの一人二役を務めていて、どちらの姿もなかなか良い感じ。最後の最後にティムからの「かーちゃん(ヘレナ・ボナム・カーター)が一番!」と言いたげなオチもあり、充分楽しめた。
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ナイト・ミュージアム2

2017-02-16 00:05:30 | な行
今宵は2009年制作の「ナイト・ミュージアム2」!
夜になると展示物が命を持ち、ひとりでに動き出す騒動を描いた“ナイト・ミュージアム” の続編で、主演は前作同様にベン・スティラーが演じている。展示物が動き出す設定はそのままに舞台を世界最大スミソニアン博物館へ移して描かれたコメディで、今回は新たにエイミー・アダムスをヒロインに据え、ベンとの絡みも楽しませる作りとなっている。

ラリー(ベン・スティラー)は、夜の警備員としてニューヨーク自然史博物館に安寧を取り戻した後、退職し自らの発明品販売ビジネスで成功を収めていた。また一緒に動き回った展示品もリニューアルに伴い、倉庫への移管となり、全ては終わったかに見えた。ある夜、スミソニアンの地下倉庫へ移管されたはずの展示物から救援を求める電話が入る。なんとここでも展示物が動き出して……という導入。

前作に続いてコメディ部分は笑えて楽しいし、歴史上の人物の言動もそれなりに面白い。面白いのだが、舞台が大きすぎて焦点がボケてしまい、単にベンの走りまくりイベントっぽさだけが目立つ気がしてしまうのが残念。でもタイムスリップ的なアイディアはなかなか良いと思うし、んーやはり、続編作りは難しいということかなぁ。
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コンフェッション

2017-02-13 00:08:58 | か行
今宵は2002年制作の「コンフェッション」!
初回限定アウターケース仕様。
60-80年代の米国TV業界で活躍した著名なプロデューサーのチャック・バリスの自伝を原作とし、ジョージ・クルーニーが初監督した作品で、昼はTVプロデューサーで、夜はCIA配下の殺し屋という、奇想天外な人生を歩んだチャックの半生を描いた作品。年代ごとに映像を変化させることに重点が置かれ、単に風景や服装だけで時代を表現していない作りになっている。

これからはテレビの時代が来ると考えたチャック(サム・ロックウェル)は、テレビ局に自前の企画を持ち込むがなかなか採用されないでいた。そんなチャックにCIAを名乗る男ジム・バード(J・クルーニー)が近づき、愛国者として合衆国に邪魔な人物を排除する暗殺者の仕事をしないかと声を掛けてきた。二つ返事でOKし、暗殺者の訓練に参加して自宅に戻ったチャックに企画採用の連絡が入り有頂天になったところへ、ジムからも暗殺の仕事が入り……という導入。

自伝とは言え、33人も暗殺したというホラに近い話をホラとして扱うわけでも、真実として扱うわけでもなく、グレーゾーンっぽく描いていて、飽きずに観られるが、ここといって山場があるわけでもなく、なんとなく終わってしまった気がする。アメリカならかつて見たことのある番組を扱っているので受けると思うが日本だとなぁ、という感じかな。J・クルーニーの力なのか、ジュリア・ロバーツを脇役で使ったり、ブラッド・ピッドやマット・デイモンがカメオ出演したりしていて、オーシャンズ11の流れか?とか思ったりしてw
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トゥモロー・ワールド

2017-02-10 00:13:01 | た行
今宵は2006年制作の「トゥモロー・ワールド (PREMIUM EDITION)」!
初回限定アウターケース仕様。
人類に子どもが誕生しなくなって既に18年が経過した近未来(2027年)、このままでは人類は滅亡するしかない状況下で灯された一つの希望を描いたアクション大作。原作は、英国作家界の女王P.D.ジェイムズの大ベストセラー小説で、女性の不妊化という人類存亡に関わる出来事を軸にして、世界各国の現代社会が抱えているテロ、不法移民、貧富の差、弱者切捨て政策といった伏線で練り上げた奥の深い作品。

子どもの誕生が途絶えて18年、人類は滅亡への坂を転げ落ち始めていた。そんな中、人類の行く末にも自分のこれからにも興味の無い男セオ(クライヴ・オーエン)は、反政府地下組織フィッシュに拉致されてしまう。そのフィッシュのアジトでセオを待っていたのは20年ぶりに会う元妻のジュリアン(ジュリアン・ムーア)であった。ジュリアンは、セオを利用してある少女をヒューマン・プロジェクトという世界的規模の組織に引き渡そうと画策していて……という導入。

アクションと言えばアクションなのだが、いまひとつパッとしない何処にでも居るような無気力な男が主人公なので、緊張感の中に空虚を感じさせたり、市街戦とか凄い激しい映像なのにちょっと抜けたところを見せたりという演出でどうも入り込めなかった気がするが、展開にスピード感はあるので飽きずに観ることはできる。未来への希望を守る姿は良いけれど、メインとなる何故不妊が蔓延したのか、何故奇跡は起こったのか、が語られていない(聞き取れていないのかも……)のが消化不良気味かな。
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