飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

ハンググライダーの進化の歴史 1

2012-04-14 15:40:18 | ハング(hangglider)

ハンググライダー。

この英語を直訳すると、ハング(ぶら下がる)グライダー(滑空機)です。

これは読んで字の如く、人間がグライダーにぶら下がって滑空するもののことで、日本でもハンググライダーという言葉が伝わる以前に、ちゃんと「懸垂式滑空機」という言葉がありました。

ハンググライダーと他の航空機との最大の違いは、人間の脚力によってテイクオフすることですが、このハンググライダーの起源を遡ると、あの「オットーリリエンタール」に行きつきます。

リリエンタールはドイツの技術者で、資料に残る範囲では、世界で一番最初に滑空機で飛ぶことに成功しました。

念のためですが、この当時は既に飛行船が我が物顔で空を飛んでいました。

Photo リリエンタールの功績については、今更私が述べなくても、各種資料を見ていただければ詳しいことが分かるので、あえて今更このブログで語る必要はないと思います。

しかし、一つだけ私は皆さんに伝えたい大切なことがあります。

それは、リリエンタールはこの当時で既に「ピッチ安定」について、しっかりと確立された滑空機を作っていたことです。

写真からの推察でしかありませんが、リリエンタールの機体を見る限り、かなりしっかりした「ピッチ安定」があったはずです。

なぜそのようなことが言えるかというと、下の図を見てください。

002 これは飛行機の翼と尾翼の関係を分かりやすく書いたものですが、どんな飛行機、滑空機でも、後ろの翼に対して、前の翼の迎角が、よりプラスとなる角度(取り付け角ともいう)になっています。

飛行機のピッチ安定は、わかりやすくおおざっぱに言ってしまうと、上図のような前後の翼の関係で、飛行機の重心位置が若干前よりになった時、ピッチの安定がとれてうまく飛ぶようになります。

これはどんな飛行機でも間違いなく、この前後の翼の角度の関係が成り立っており、この前後の翼の角度の差は、一般に大きいほどピッチの安定も大きくなります。

ハンググライダーは主翼だけですが、翼端が上図で言う「後翼」の役目を果たし、ピッチの安定が確保されているのです。

そして、このことは今後このブログでご説明するハンググライダーの進化を語るなかでは、とても大事になってくるので、しっかり覚えておいてくださいね。

で、もう一度リリエンタールの機体をよく見てみると、主翼と尾翼にかなり大きな迎角の差を確認することができます。

モーメント(主翼と尾翼の距離)は少ないものの、それを埋め合わせるに十分な前後の翼の迎角の差はあるので、かなりピッチ安定のある機体だったと思います。

それに対し、横方向の操縦は、足を振るだけの体重移動のみだったということなので、かなりコントロールは困難だったと推察していますが、翼に上半角も与えられていたので、ピッチの安定の良さと相まって、何とか操縦出来ていたのだと思います。

滑空機という意味では、日本にもリリエンタール以前に「浮田幸吉」伝説が存在しています。

彼は鳩の体から、空を飛ぶのに必要な「翼面荷重」を割り出していたそうで、その数値は現在のハンググライダーとほとんど同じものになります。

更に「上半角」にも気づいていたと文献には書かれています。

ピッチ安定については、残された文献だけではどうであったかは推察することはできませんが、少なくとも「上半角」に気付くには、それなりに模型を作って実験を繰り返していたはずですから、実験段階の模型も、やはりそれなりには飛ぶ様にはなっていたはずです。

ここからは、100パーセント私の推察になりますが、もし、幸吉のグライダーがしっかり揚力が生まれる「翼型」をもち、安定性が保てる「形状」があり、更に、それらが維持できる剛性(強度)を持っていたとすれば、かなり高い確率で実際に飛行に成功していたのではないか?

私はそのように考えています。

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新連載!ハンググライダーの進化の歴史 プロローグ

2012-04-11 20:20:39 | ハング(hangglider)

昨今、ハングライダーのハードウェアーに関する情報が少ないことに、少々危惧を感じております。

チューニングもよくわからない。ハングはどこをいじればどのようになるのか?

知りたい人はたくさんいるんでしょうが、しかし、そんなことを、教科書的にブログに書いても、なんだか読んでいて肩が凝るような内容になってしまう‥。

そこで考えたのですが、ハンググライダーが出来た当初からの、その歴史を追って、そして、どのように進化してきたのか‥。それを連載してみようと思い立ちました。

正直、今これを私がやっておかないと、この先ずっとハンググライダーの進化の貴重な記録がなくなってしまうと本気で思っています。

ということで、ハンググライダーの歴史をずっとず~とさかのぼり、三角形のロガロ翼以前のハンググライダーにまでさかのぼって紹介したいと思います。

皆さん。60年以上前に、今のATOS VRに匹敵する性能を持った固定翼が実在していたことをご存知ですか?

また、それよりも前、第二次大戦以前に、実は日本の若干19歳の青年が、重量25キロ、滑空比21:1のハンググライダーを作っていたことをご存知でしょうか?

そんな、今となってな消えてしまいそうな、しかし、大切なハンググライダーの「事実」を語ってみたいと思います。

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ホンマ薪ストーブの性能は悪くない 3

2012-04-05 21:05:56 | 薪ストーブってどんなもの?(what's woodstove)

薪ストーブには、日本にホンマ製作所というメーカーがあり、このメーカーは欧米の高級ストーブの販売方法と違い、ご自身がストーブについて勉強し、設置もご自身で行う「セルフビルド」を主体とした方法で、ストーブの価格を大幅に安くしています。

そのため、初めから「セルフビルド」でストーブの設置を考えられている方には、お薦めのメーカーであると考えることも出来ると私は思います。

もちろん、セルフビルドを行えるまでは、それなりに勉強は必要です。

しかし、そのことにより、すべてお任せでストーブ屋さんにストーブの設置をお願いした時と比べ、価格的に70万円前後節約できるとなると、その努力も十分見合う物だと思います。

ただ、セルフビルドするとなると、完全に設置マニュアルを理解し、手を抜くことなく設置を進めてください。

そうしないと、薪ストーブにとって一番怖い「低温炭化火災」(長時間の過熱により、木材が炭化して火災を起こす)になってしまいますから、くれぐれも注意してください。

「ストーブだけ購入して、設置はストーブ屋さんにお願いしよう」。中にはそう考えられる方がいるかもしれませんが、これはまず「無理」です。

ストーブ屋さんの仕事は責任ある仕事です。

だから、性能を知らない他社のストーブの設置を引き受けることは、まずあり得ないと思ってください。

また、ストーブ屋さんがダメなら、ストーブの設置工事を工務店さんにお願いしようとする方がおられると思います。

しかし、これも結構難しいとわたしは思います。

なぜならば、本当に薪ストーブを知っている工務店さんでなければ、まず怖くて仕事を引き受けてくれないと思います。

何かあった時、工務店さんも責任がとりきれないのです。

つまり、ホンマ製作所の薪ストーブを購入した場合、その薪ストーブを専門で設置してくれる業者がお近くにない場合は、まずセルフビルドは避けられないとお考えください。

ただ、今回私はバーモントキャスティングの薪ストーブをセルフビルドで設置しましたが、上手く工務店さんに手伝っていただき、工務店さんの負担にならない方法で作業を進めることができました。

次回はその方法をご紹介いたします。

001

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ホンマ薪ストーブの性能は悪くない 2

2012-04-04 19:52:51 | 薪ストーブってどんなもの?(what's woodstove)

欧米の高級ストーブをストーブ屋さんに発注した場合、だいたい100万~150万くらいになります。

実はこの価格のうち、ストーブ本体の価格は1/3、煙突もほぼ同額で1/3くらい。残りの1/3は何かというと、炉台と設置工事、そしてアフターフォロー料になります。

ここでアフターフォロー料について説明します。

薪ストーブは、そのイメージの良さから多くの方が購入を考えられます。

しかし、実際には、まず火をつけるだけでも一苦労‥。

上手く火がついて後も、まずは2次燃焼が起こる温度まで上げなければならず、薪のくべ方、空気量の調整等が必要です。

更に、2次燃焼に到達しても、ベストな空気量に調節しなければなりません。

面倒なのは、ストーブの温度管理だけではありません。

ストーブ本体も通常の使用でガスケットが取れたりしますし、煙突もクレオソートが垂れてきたり、使い方がまずいと、煙の逆流も起こるかもしれません。

このように、とにかく面倒で、薪ストーブ初心者の方はなかなか一人ではうまく焚けないのです。

それをプロとしてサポートするのがアフターフォロー料になるわけです。

何も薪ストーブのことが分かっていない方は、やはりこのアフターフォローなしでは快適な薪ストーブライフを送ることは難しいでしょう。

逆にいうと、薪ストーブ屋さんがこのようなサービスをしてくれるからこそ、みんなが安心して薪ストーブを楽しむことができるのです。

実は、ホンマの薪ストーブは、このようなプロの方の直接のサポートを省いてしまうことにより、より低価格にしているのです。

もっとも、ストーブ屋さんによっては、ホンマ薪ストーブを積極的にサポートしているところもありますが、残念ながらいまのところはかなり少ない状況です。

そして、ネットによる販売を主体として、薪ストーブを高額にしている理由の一つを省いて低価格を実現しているのです。

そのため、もしホンマ薪ストーブを購入する場合は、ご自身がしっかり薪ストーブについて勉強し、プロのサポートなしでも薪ストーブを使いこなせるようにしておかなければなりません。

こう書いてしまうと、なんだか大変なようですが、ホンマ製作所さんはしっかりしたマニュアルをご準備されており、実は私もバーモントの薪ストーブをセルフビルドで設置する際に、ずいぶん参考にさせていただきました。

更にホンマさんはちゃんとお客さま相談窓口もご準備されており、メールを主体としたやり取りになってしまいますが、ちゃんと対応していただけ、更にやる気があれば、直接新潟の工場へ行けば丁寧なサポートを受けることができるそうです。

Htc80tx

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ホンマ薪ストーブの性能は悪くない 1

2012-04-03 20:54:15 | 薪ストーブってどんなもの?(what's woodstove)

欧米の高級ストーブの値段は、だいたい30万から60万円。

ストーブ屋さんに頼んで設置してもらうと、煙突、炉台、工事費、アフターフォローで合計100万以上になってしまいます。

しかし、日本のメーカー「ホンマ」の場合、二次燃焼のある高級クラスでも15万円くらいからあり、同じくホンマ製の煙突を組み合わせても、ストーブ+煙突で、30万から40万くらいで、とりあえず最低限のラインは準備出来てしまいます(もちろん、炉台や工事費が別途必要ですが)。

この価格差なら、薪ストーブ導入を考えている方ならば、心が動いてしまうと思います。

ちなみに、ホンマ薪ストーブのHTC-60TXというストーブの内部を見てみると‥

Htc_image クリーンバーン方式という燃焼方法が用いられています。

これは、未燃焼のガス(煙)に、温めたフレッシュエアーを再び供給することにより、より完全に燃焼させるというもので、ヨーロッパの高級ストーブがよく用いる方法とまったく同じものです。

更に、ガラスが曇りにくいエアーウォッシュ機能もあり、これは高級ストーブのみにある贅沢なものです。

更に、前回でもご紹介したように、私のお隣さんの家では、このホンマ薪ストーブを使われていますが、価格の割にはとかそういうものではなく、実際に欧米の高級ストーブと比べても、劣らないくらい暖かで、そして性能も良いのです。

つまり、ホンマストーブは並外れた低価格で、欧米の高級ストーブと比べても劣らないストーブなのです。

それではなぜ、ホンマ製薪ストーブは価格が安いのか?

一つには人件費の安い中国で生産されているということがあります。

しかし、それにもましてホンマ製薪ストーブが安いのは「販売店を持たない独自の販売方法」を持っているからなのです。

具体的には、ネットによるお客様直接お取引のスタイルが主流になっています。

そして、このスタイルを持つことが、高性能な薪ストーブを低価格で供給できるもっとも大きな要因なのです。

この辺の具体的な理由については、次回にご説明いたします。

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