今回は、現在どこのエリアでも必ず1機はいるこのグライダーです!
ウイルスウイングの「SPORT2」です。
このグライダー。名前は以前にもご紹介した「SPORT」の後を引き継いだようなネーミングですが、実際は全く違う別設計で作られた機体です。
もともとウイルスウイングは、初級、中級クラスも本気で取り組むメーカーですが、今回の「SPORT2」もかなり力を入れて開発されており、キングポストレスで培われたノウハウを惜しみなく中級クラスのこの機体に投入して作られた機体です。
この機体は、コントロールの軽さはもちろんですが、しっかりした直進安定性も持っており、加えてピッチのバープレッシャーも強くてニュートラル位置が分かりやすいので、そのスピードコントロールも容易(グライダーがベストな速度に飛びたがってくれる)なため、サーマリングも容易に行え、その結果、中級者のソアリング時間も伸ばしてしまうため、「乗りやすく浮きが良い」→「飛行時間が長くなる」→「長く飛べるのでうまくなるのも早い」の相乗効果で、乗り手を早く上達させてしまう、中級機としては誠に好ましい特性を持っています。
加えて、失速特性も申し分なく、目いっぱいベースバーを前へ押し出しても、決してノーズを落とすような失速には入らず、ゆったりと沈下速度を増してパラシュート降下的な降り方をしてしまう好ましい特性を持っています。
そして、これらの好ましい特性は、ランディング時のフレアーの時も、よりフレアータイミングを広くしてくれ、たとえそのタイミングが極端に早すぎても、ベースバーを押し出したまま頑張っていればパラシュート降下的に垂直に降りてしまうため、少々沈下速度は速いもののなんとかセーフティーにランディングできてしまいます。
このように「SPORT2」は中級機として申し分のない性能を持っているのですが、実は、その大人しい性能とは裏腹に特筆すべき「特技」を持っているのです。
それは、このSPORT2を最上級者に乗らせると、秀でた低速性能を使い切り、サーマリング中バースバーをほとんど目いっぱい押し出してハイサイド(低速のサーマリングにてグライダーが内側に食い込む動きを外側に体重移動して押さえ込む乗り方)も目いっぱいに決めると、どのグライダーもかなわないくらいの「浮き」の性能を見せてくれるのです!
もちろんこれを行うには、それなりのウデと腕力、そして、腹筋も必要です。
しかし、それが出来ればパラグライダーも舌を巻くほどの「浮き」が実現できるため、渋い気象条件の時などはとても楽しく飛ぶことが出来るのです!
SPORT2は、乗りやすくまとめられた「中級機」の位置づけではありますが、本当にこのグライダーを乗りこなすウデがあれば、その大人しイメージとは違った「高性能」を見せてくれる機体なので、なかなか上級者もこの機体に乗っていて楽しめるものがあるのです。