日々の出来事

当院の出来事を紹介します

食用油「エコナ」の発癌性確認報道

2010-08-30 13:11:47 | Weblog
診療が激忙しく、アップができませんでした。

新聞や報道で、花王の食用油「エコナ」の発ガン性が確認されたと知りました。以前から体内で燃えやすい脂肪、体に蓄積しにくい脂肪というふれこみで、特定機能食品として認可されていたように記憶しています。これを利用した犬のダイエット・フードが販売されていましたし、実際うちで飼っている犬も一時期食べさせていました。確かに比較的短期間で痩せる事に成功したように思います。

同じものを食べていた他のワンちゃんたちからは、今のところ目立った健康被害を確認できていません。このまま終息(癌を患わないこと)することを祈ります。しかし体に良いとされて国の認可を得て販売していた食品に発ガン作用があったとは・・・、でも一部の識者からは生体に危険な面があるとの指摘を数年前にある学会で聞いた事がありました。

その先生は学会の講演の講師であるため、あくまでオフレコでのお話でしたが、トランス脂肪酸の問題など、長い間使われてきたことのない油脂が生体にどのくらい悪影響を及ぼしうるか、全く検証されずに商品化されたので、安全性は疑問だ、とおっしゃっていました。脂肪は生体にとって重要な栄養素なのですね。細胞の膜を作ったり、ホルモンの原料になったりするわけです。エコナのような特殊な栄養素は革命的だったかもしれませんが、体に悪い、まして発ガン性ありでは、消費者は納得できるものではありません。

健康のために、あるいは疾患の管理にために、獣医師は特別療法食を使う場合があります。自分がよかれと思って出した療法食に発ガン性があったとは、かなりショックな記事でした。数年前に聞いた話を思い出し、警鐘を慣らしてくれていた先生の見識に驚いた次第であります。