日々の出来事

当院の出来事を紹介します

がんばってくれたんだけど・・・

2010-08-21 00:29:20 | Weblog
先日紹介した、先天性複合心奇形のなつちゃん、がんばってくれていました。しかし獣医大学の心臓の専門家に診ていただく予約日の前日に、残念ながら急変して旅立ってしまいました・・・。直前には、もう一つFIPという不治の病が見つかってしまい、厳しい入院管理が続いていました。必死に生きようとするその姿に、さすがの私も目がウルウルしてしまいました。

専門の先生と連絡を取りつつ輸血をしたりなど、飼い主さんのご理解もあって考えられる限りの手を尽くさせていただきました。とはいえ残念ながら良い結果には結びつきませんでした。お母さんが見舞いに来ると、お腹を出してつぶらな瞳で見つめていました。何とか力になってあげたかったのですが、残念ながら願い叶わず逝ってしまいました。

この仕事をしていると、こういう辛い体験というか、自分の限界や今の医療の限界を感じます。本人も一生懸命にその人生を生ききったと私は思いますし、お母さんも十分に尽くしてくれていました。入院中、何度も涙を流してくれて、強い愛情や絆の強さを感じていました。昨今の子供を餓死させ放置した母親などのニュースを見ると、そうではない愛情深い方もいることと対比してしまいます。助けられない命もあるのではありますが、短い人生ではあったとしても、手を尽くし心を尽くしてあげたいのは、飼い主さんも獣医師も同じ気持ちなのであります。