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研修医に人権はない・・・今は昔

2008-09-12 18:11:15 | ひとりごと 医療系
当ブログの重要点『抗糖化』等に関してはこちらにまとめてあります。
なお、図表および内容の引用は固くお断りいたします。

創立2周年記念、AGE Readerによる皮膚AGEs測定の実際は こちらから



「内科の先生、だれか知らんやろか?」

今週の火曜、当直先の副院長から訊ねられた。

常勤の内科医が足らないのだという。

非常勤でもよいので、だれか来てくれる内科医を知らないかと。



「高血圧や糖尿病も、今は脳神経外科の外来でも診てるんや。」と

脳神経外科医の副院長。



「大学からの派遣なんか、まったく期待できへんしなぁ。」とも仰る。



これは、かつて勤務医人事権を一手に握っていた大学医局が、

もはや機能しないことを意味する。


筆者が大学の外科医局に入局した当時は、

どこかの大学医局に所属せずに勤務できる市中病院など、

ほとんど存在しなかった。


ほとんどすべての病院が、

どこかの大学医局の関連病院と位置づけられていたのである。


しかも、大学医局からの人事発令には絶対服従であった。


教授は、意のままに医局員をあちらこちらの病院へと異動させたのであった。



新しい臨床研修制度が始まる2004年以前は、新卒学生のほとんどが、

何科を目指すのであれ、出身大学の医局に入局するのが常であった。


毎年末には、翌年の春に入局する者を勧誘すべく

忘年会へのお誘いが各科で繰り広げられたものである。


新入局者を何名獲得できるかは、その科の前途を左右する重大事項であった。


なぜなら、医局員というのは教授の「手持ちの駒」だから。



「医師の派遣をお願いします」と頼まれて、

動かせる駒がなければ、自分の医局の勢力拡大もできないから。



新しい臨床研修制度で厚生労働省が目論んだのは、次の2点であったのだろう。


第1に、専門とする科に偏らず、

プライマリ・ケアの基本的な診療能力を備えた医師の養成。


第2に、大学医局制度の解体。



新しい制度においては、大学医局へ入局せずとも、

直接、市中病院での研修が可能となった。



研修を終了すれば、そのままその病院への就職も可能である。


しかも、

「君、今度、どこそこの病院に行ってくれないかね。」と

教授に言われる心配とも無縁で。



都会の有名病院での研修希望者が多くなるのは、そういう事情だ。


逆に、地方大学の医局への入局希望者は激減している。



研修医には人権はないからな!」と言われて、我々は育てられた。


手術の当日は、術後管理に大学病院に泊り込むのが当たり前。


重症の患者がいれば、何日も病院泊まりが続くこともあった。


自分の指導医の先生が大学病院内に居る間は、決して帰宅など許されなかった。


勤務時間などというものは、その概念さえ存在していなかった。


唯一存在したのは「完全なヒエラルキー」に支えられた「封建制度」であった。


その対価として大学から支払われるのは、

手取りで10万円あるかなしかの非常勤給与であった。



時代は変わったのですね。


今では、「時間なのでお先に帰りま~す。」という研修医君が存在すると聞く。

うらやましいことに「研修医の人権」は、確保されているのだろう。

手取りの給与も、我々の時代とは雲泥の差と聞く。


当然のことだが、今の研修医には「バイト当直」は禁止されている。



とにかく、大学医局に入局して大学病院で研修することに

魅力を感じない新卒生が増加した。


新たな人材の確保ができずに大学病院の業務に支障を来たし始めた大学医局は、

これまで市中病院に派遣していた医師を大学へと呼び戻し始めた。

これが、「派遣医師の引き揚げ」といわれるもの。


中小規模の病院は、大学医局だけが医師確保の生命線であった。

しかし、大学にだって人がいないのだから・・・。

もはや「無い袖は振れない」状態なのである。



かくして、厚労省の第2の目論見は、

「医療崩壊」という立派なオマケ付きで、見事に結実した。


第1の目論見はといえば、机上の空論となるのではないかな?

なぜなら、最後は専門の科の医者になるのだから、

いつまでも他所の科のことには付き合っていられないから。




「私らの世代が、一番ひどい扱いを経験したんやないかなぁ。」と副院長。


そして「難しいのは分かってるけど、だれか心当たりあったらよろしく!」と、

念押しを忘れなかった。


「いやぁ、うちは内科医は扱ってないんですよ。サプリなら扱ってますけど。

 なにせ、サプリ売りの外科医なもので。」

などと冗談は、深刻な顔の副院長にはとても言えなかった。






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