読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

思わず「ブラボー!」と叫んでしまいました、「敬愛なるベートーヴェン」

2007-11-27 02:49:06 | 映画;洋画
(イギリス、ハンガリー/2006年)
原題:Copying Beethoven
監督:アニエスカ・ホランド
製作:クリストファー・ウィルキンソン、シドニー・キンメル、マイケル・テイラー、スティーヴン・リヴェル
脚本:クリストファー・ウィルキンソン、スティーヴン・リヴェル
撮影:アシュレイ・ロウ
出演:エド・ハリス(ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン)、ダイアン・クルーガー(アンナ・ホルツ)、マシュー・グッド(マルティン・バウアー)、ラルフ・ライアック(ヴェンツェル・シュレンマー)、ジョー・アンダーソン(カール・ヴァン・ベートーヴェン)、ビル・スチュワート(ルディー)

「写譜師アンナ・ホルツは架空の女性だが、ベートーヴェン晩年の作品を写譜した人物の中にはカール・ホルツという似た名前の男性が実在した。ベートーヴェンのお気に入りだった写譜師のヴェンツェル・シュレンマー(1823年没)には妻がいて、やはり写譜を手伝っていた。もうひとり、『第九』の写譜を行ったヴェンツェル・ランプルもアンナのモデルになった」。(ウィキペディア)

1827年の臨終を迎える病床から、“第九”の初演を4日後に控えた1824年のウィーンへとフラッシュバックするように物語は始まります。のっけから、エド・ハリスは完全にベートーヴェンに入り込んでいて、何の違和感もなくこちらも映画の世界に入り込んでしまいます。

この映画のハイライトはなんと言っても、中盤に配置された迫力と緊張感ある「第九」の初演シーンです。アンナが“影の指揮者”となって難聴のベートーヴェンをサポートするこのシーンでは、「両者の視線と身振りが「第九」の旋律の高ぶりに呼応するかのように絡み合い、その得も言われぬ陶酔感がひしひしと観る者に伝わってくる」。まさにこの表現がぴったりです。私は思わず、涙してしまいました。

8/4付けの記事「崇高なるラブロマンスにして珠玉のミステリー、『不滅の恋 ベートーヴェン』(英、米/1994)」で取り上げた「不滅の恋」では、ゲーリー・オールドマンがベートーヴェンを講演していますが、エド・ハリスのベートーヴェンと甲乙付けがたい名作です。

本作で何にもまして感動的なセリフが、エド・ハリスを通して次のように語られます。

「音楽は空気の振動だが、神の息吹だ。魂に語りかける神の言葉だ。音楽家はもっとも神に近い存在だ。神の声を聞く。意思を読み取る、神を讃える子供たちを生み出す、それが音楽家だ。でなければ音楽家は必要ない」。


アニエスカ・ホランド(Agnieszka Holland, 1948年11月28日-)は、「ポーランド・ワルシャワ出身の映画監督、脚本家である。プラハで映画製作を学び、助監督としてそのキャリアをスタートさせた。1970年代から1980年代初頭にかけては、アンジェイ・ワイダの運営する映画ユニット『X』に所属し、ワイダ作品の脚本も手がけている」。

「監督デビューは70年代後半。以後、当時ポーランド映画界を席巻した『道徳的不安の映画』運動の新進若手監督として活躍。この時期に撮られた代表作は、『田舎俳優』(1978)、『発熱』(1980)、『孤独な女』(1981)など。1981年の戒厳令を期に西側諸国に移住する。以後はフランス、ドイツ、アメリカ(ハリウッド)で映画監督として活躍」。

「1986年には、第二次世界大戦中、あるユダヤ人女性をナチスの迫害から匿うドイツ人農夫を描いた "Bittere Ernte" でアカデミー外国語映画賞にノミネートされた。現在でもアメリカ・ドイツ・ポーランドなど、世界中を舞台に活躍している。近年ではテレビシリーズの『コールドケース 迷宮事件簿』や『The Wire』の数エピソードでも演出を手掛けている」。

本編中指揮をするシーンの監修をしているのは、クリストファー・ホグウッドという人です。

クリストファー・ホグウッド(Christopher Jarvis Haley Hogwood, 1941年9月10日-)は「イギリスの指揮者・鍵盤楽器奏者(チェンバロ・オルガン)・音楽学者。ノッティンガム出身。ケンブリッジ大学ペンブローク校にて最初に古典学を学んだ後、専攻を音楽に変えた。当時同大学で教鞭を取っていた、レイモンド・レッパードとサーストン・ダートらに師事。ブリティッシュ・カウンシルの奨学金を得てプラハに留学、チャールズ大学で研究を行い、マリー・ポッツ、ラファエル・プヤーナ、ズザナ・ルージチコヴァー,グスタフ・レオンハルトらにチェンバロ演奏を学ぶ」。

「ホグウッドはオペラ指揮の経験も豊かである。1983年にミズーリ州セントルイスで『ドン・ジョヴァンニ』を指揮してオペラ・デビューを果たす。ベルリン国立歌劇場、ストックホルム王立歌劇場、コヴェント・ガーデン王立歌劇場などでも活動を続け、オーストラリア歌劇場においては、1994年に『イドメネオ』を、1997年に『皇帝ティートの慈悲』を、1997年には『トーリードのイフィジェニー』を指揮した」。

「1992年から王立音楽アカデミー客員教授。現在ケンブリッジ大学名誉教授。2006年よりエンシェント室内管弦楽団の音楽監督にチェンバロ奏者のリチャード・エガーが就任。 ホグウッドは名誉音楽監督の地位にある」。

「ライトスタッフ」(1983)、「アポロ13」(1995)、「ザ・ロック」(1996)、「めぐりあう時間たち」(2002)、「白いカラス」(2003)の演技が印象的だったエド・ハリス。また、まだ観ていませんが、彼が監督・出演した、破滅型の天才画家、ジャクソン・ポロックを描いた「ポロック 2人だけのアトリエ」(2000)に注目しています。

エド・ハリス(Ed Harris, 本名 Edward Allen Harris, 1950年11月28日-)は、「アメリカ合衆国ニュージャージー州出身の俳優。コロンビア大学、オクラホマ大学、カルフォルニア芸術大学で演技を学んだ。『プレイス・イン・ザ・ハート』で共演したエイミー・マディガンと結婚した。1998年『トゥルーマン・ショー』でゴールデングローブ賞 助演男優賞を受賞」。

<エド・ハリス - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%AA%E3%82%B9

彼女を観たとき、「ルームメイト」(1992)、「黙秘」(1995)などの出演したジェニファー・ジェイソン・リーに似ているなと思いましたが、ドイツの女優さんだったんですね。

ダイアン・クルーガー(Diane Kruger、1976年7月15日-)は、「ドイツ・ヒルデスハイム出身の女優・ファッションモデル。本名はディアーネ・ハイドクリューガー(Diane Heidkrüger)。英語・フランス語・ドイツ語を流暢に話す。ごく若い頃にロンドンでダンサーとしてのキャリアを積むが、怪我により断念。その後パリに移り、15歳でエリート・モデル・マネジメントのコンペテションに入賞してモデルとして活躍するようになる。2002年に映画デビューし、ハリウッドとヨーロッパの両方で活躍している。2001年に俳優のギヨーム・カネと結婚したが、2006年に離婚」。(以上、ウィキペディア)


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