読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

一瞬にして崩壊する家族の「その土曜日、7時58分」(アメリカ/2007年)

2009-07-20 05:28:25 | 映画;洋画
~一見誰もがうらやむ優雅な暮らしをしていたニューヨークの会計士アンディ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、離婚した元妻のもとにいる娘の養育費もまともに払えない弟ハンク(イーサン・ホーク)を誘い、実の両親が営む宝石店へ強盗に入ることに。しかし計画決行の土曜日、7時58分。事態は最悪な方向へと突き進んでしまう。(シネマトゥデイ)~

原題:BEFORE THE DEVIL KNOWS YOU'RE DEAD
監督:シドニー・ルメット
脚本:ケリー・マスターソン
音楽:カーター・バーウェル
撮影:ロン・フォーチュナト
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン(Andy Hanson)、イーサン・ホーク(Hank Hanson)、マリサ・トメイ(Gina Hanson)、アルバート・フィニー(Charles Hanson)、ローズマリー・ハリス(Nanette Hanson)、エイミー・ライアン(Martha Hanson)、アレクサ・パラディノ(Chris Lasorda)、マイケル・シャノン(Dex)

まず、原題について。
~原題はアイルランドの諺、May you be in heaven half an hour before the devil knows you're dead.(悪魔があなたの死に気付く30分前に天国にあらんことを)だそうだ。全文は、
May your glass be ever full.
May the roof over your head be always strong.
And may you be in heaven half an hour before the devil knows you're dead.
杯はいつも満たされ、頭の上の天井は常に強く、そして、・・・・あらんことを。
要は乾杯の際の音頭のようなものらしい。人生の憂さを忘れて飲み潰れようぜ、ということだろうか。~

<satolog>
http://d.hatena.ne.jp/satohhide/20081015/1224078371

本作をひとこと言うと、ハンソン家の崩壊。長く燻っていながらも、そのことに家族の誰一人として触れなかったことで平穏を保っていた家族のかたちが、兄が挽回を賭けた計画が「考えうる最悪の結果」となったことから一気に露呈し、それからは歯止めが利かず、ついには家族崩壊にまで。まさに砂上の楼閣だったかのように。カネに翻弄されてはいけないんだ、という教訓か。


監督のシドニー・ルメット。現在85歳。私が生まれる一年前の1957年の「十二人の怒れる男」から監督して作品を撮り続けている巨匠です。彼のついては下記の作品で取り上げました。

<「視聴率」に翻弄されるテレビ人間たちの闊歩する魑魅魍魎の世界、「ネットワーク」(米/1976)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/33b620cd1577a9904e02eccf6f2bff3b


アンディを演じたオスカー俳優フィリップ・シーモア・ホフマン。彼については、下記の作品で。

<同志なく妨害もない孤独の闘い、「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」(米/2007年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/50833dbb1fa044925285e01fbe7052c9


アンディの妻ジーナに扮したマリサ・トメイ。43歳とは思えぬ姿態を披露。ミッキー・ローク主演の「レスラー」(2008)では子持ちのストリッパーに挑戦しているとか。28歳でアカデミー助演女優賞に輝いた女優が勝負を賭けているんだなと感じました。彼女については下記の作品で取り上げました。

<人生には時に最悪な事態への最悪な結末がある、「IN THE BEDROOM」(アメリカ/2001年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/d237b87c6c0e04add4629df71e933c46


ハンソン家の父チャールズを演じたアルバート・フィニー。彼については下記の作品で。
<遠い日に失われたはずの時間と場所が蘇る、それが「プロヴァンスの贈りもの」(アメリカ/2006年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/140e2fe9c7a1497362b7f407d897fe46


ハンクの妻マーサに扮したエイミー・ライアン。彼女については、下記の作品で。

<身内で作ったような映画だけど、秀作です。「ゴーン・ベイビー・ゴーン」(アメリカ/2007年)>
http://blog.goo.ne.jp/asongotoh/e/758a49ba73521923c22b2135280d9e7c


ハンクを演じたイーサン・ホーク。アンジェリーナ・ジョリーと共演した「テイキング・ライブス」(2004)での役が印象的でした。

イーサン・ホーク(Ethan Hawke、1970年11月6日 - )は、「アメリカ合衆国出身の俳優。テキサス州オースティン出身。イーサン出生時、両親はテキサス大学の学生だった、3歳の時に両親は離婚。その後母親と共にニューヨークに移る。母親のレスリー・キャロルはルーマニアで慈善活動をしている。1985年に映画『エクスプロラーズ』でデビューしたが、学業に専念するために一時中断、カーネギーメロン大学やニューヨーク大学で学んだ。1989年に『いまを生きる』で復帰した。後に共演したロバート・ショーン・レナードと共に劇団を結成した」。

「1996年には小説『痛いほどきみが好きなのに』を出版し、2006年には自身が監督を務め映画化した。
2001年公開の『チェルシーホテル』で映画監督デビューを果たす。同年公開の『トレーニング デイ』でアカデミー助演男優賞にノミネートされる。2004年公開の『恋人までの距離』(1995年公開)の続編『ビフォア・サンセット』では共演のジュリー・デルピーと共に脚本も手がけ、アカデミー脚色賞にノミネートされた」。

<イーサン・ホーク - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AF


ハンソン家の母ナネッタを演じたローズマリー・ハリス。「ギフト」(2000)、そして「スパイダーマン」シリーズでのピーターの伯母メイ・パーカーがはまり役ですね。

ローズマリー・ハリス(Rosemary Harris、本名:Rosemary Ann Harris、1927年9月19日 - )は、「イギリスの女優。女優のジェニファー・イーリーは娘。王立演劇学校を卒業し、ウェスト・エンドやブロードウェイで活躍。1966年に舞台『冬のライオン』でトニー賞を受賞。シェイクスピア劇に多く出演している」。

<ローズマリー・ハリス - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%AA%E3%82%B9


夫を殺されるクリスに扮したのがアレクサ・パラディノ。日本ではまだ無名に近い女優さんですが、歌手でもあるようです。

<Aleksa Palladino - Wikipedia>
http://en.wikipedia.org/wiki/Aleksa_Palladino


クリスの兄デクスに扮したのはマイケル・シャノン。もともとは舞台俳優だったようです。

マイケル・シャノン(Michael Shannon)は、「アメリカ合衆国出身の俳優。ケンタッキー州で育ち、シカゴで舞台に立つようになる。シカゴをベースにステッペンウルフ・シアター・カンパニーなどに参加。また、ロンドンでも舞台に立っている。1993年より映画にも出演している」。

<マイケル・シャノン - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%8E%E3%83%B3


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