読書と映画をめぐるプロムナード

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CIAの誕生物語を描くサスペンス、「グッド・シェパード」(アメリカ/2006年)

2008-06-21 08:07:29 | 映画;洋画
監督:ロバート・デ・ニーロ
製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ
脚本:エリック・ロス
音楽:ブルース・フォーラー、マーセロ・ザーヴォス
撮影:ロバート・リチャードソン
出演:マット・デイモン、アンジェリーナ・ジョリー、ロバート・デ・ニーロ、ウィリアム・ハート、アレック・ボールドウィン、ジョン・タトゥーロ、マイケル・ガンボン、マルティナ・ゲデック

~1961年4月17日、キューバ革命によりカストロ共産主義政権へと変わったキューバのピッグス湾に、亡命キューバ人の部隊が政権の転覆をもくろんで上陸。しかし、これを支援するアメリカ・CIA内部の情報漏れによって作戦は失敗してしまう。世に言うピッグス湾事件である。

この一件によりCIAは窮地に追い込まれ、作戦の指揮を執った諜報員・エドワード・ウィルソンにも疑いの目が及ぶ。そんな中、彼の元に一本のテープと写真が送られてくる。そこにCIAの内通者と敵国のスパイの臭いを感じ取ったエドワードは、部下にテープと写真の分析を依頼する。

「原題(The Good Shepherd)が意味するのは、国家の“忠犬”となった男を暗示する“良い(犬の)シェパード”ではなく、新約聖書ヨハネ福音書にある『“良い羊飼い”は羊のために自分の命を犠牲にします』という一節の引用だ。羊とは国家の理性とも読める」(ウィキペディア)~。

まず、CIAの前身について見ておきましょう。

「第二次世界大戦中のOSS(Office of Strategic Service―戦略事務局)がCIG(Central Intelligence Group―中央情報グループ)とOPC(Office of Political Cordination―政策調整局)を経て1947年国家安全保障法により改組。アメリカ合衆国の外交政策・国防政策の決定に必要な諜報・謀略活動(ヒューミント)を行い膨大な予算と権限を与えられているが、その活動の詳細は明らかにされておらず、アメリカ国民にとって一般に知られる訳にはいかない機密の保持、または証拠物件等を抹消する任務を帯びた組織であると説明される事が多い。また、第二次世界大戦終了後、アレン・ダレスはドイツから数千人ものナチス出身者を招聘(連行)して、CIAの作戦能力を強化させたと言われている」。

次に、マット・デイモン扮するエドワード・ウィルソンが、イェール大学在籍中に参加した、実在のエリートの秘密結社「スカル・アンド・ボーンズ」についても見ておきましょう。

スカル・アンド・ボーンズ(Skull and Bones、S&B、頭蓋骨と骨)は、「アメリカのイェール大学にある秘密結社。「The Brotherhood of Death」の異名がある。構成員同士が協力し合いアメリカで経済的・社会的に成功することを目的としている。入会と同時に、過去の恥ずかしい秘密を暴露させられ、その秘密を共有することによって結束を深めるという。トゥーレ協会に関係があるという説もある」。

「2004年秋のアメリカ大統領選挙の2人の候補者である、ジョン・ケリーとジョージ・ウォーカー・ブッシュが2人ともS&B出身だったのは有名。また、第43代アメリカ合衆国大統領のジョージ・ウォーカー・ブッシュの父である第41代アメリカ合衆国大統領のジョージ・H・W・ブッシュや、祖父のプレスコット・ブッシュもS&Bのメンバーだった」。

「第一次世界大戦中、S&Bのメンバー6人が、アメリカ先住民族・アパッチ族の指導者であるジェロニモの墓を暴いて遺骨を持ち去り、S&B本部に納めたと言われている。遺骨は、今も所在不明。なお、持ち去りメンバーとされる6人のうちの1人は、プレスコット・ブッシュであるとされている」。


スカル・アンド・ボーンズのメンバーで、CIAでのエドワードの上司、リー・ペイス扮するリチャード・ヘイズが、アレン引退後にCIA長官なる内示を受けて、エドワーズに語る一言が薄ら寒いのです。

「CIAに“THE”がつかいないことを尋ねられて、こう言った『君はGODに”THE”をつけるのか?』とね」


エドワード・ウィルソンのモデルは実在のCIA諜報員であるジェームズ・アングルトンやリチャード・ビッセルなどの複合的イメージに、オリジナル要素が組み合わせられているそうですが、その実在した二人を取り上げて起きます。

まずは、ジェームズ・アングルトン。「1954年からの20年間、KGBに対する防諜活動を行ったCIA対情報部門のトップ。彼はKGBの底知れぬ力を警戒していた。彼は『CIAに二重スパイが潜んでいる』という病的な猜疑心から、何十人もの無実の職員を左遷。さらに、世界各地でエージェントとの接触を禁止したため、CIA諜報員は身動きがとれなくなり、組織は次第に弱体化していく」。(CIA~裏切りのスパイゲーム)

James Jesus Angleton (December 9, 1917 – May 12, 1987), known to colleagues as Jim and nicknamed "the Kingfisher", was a long-serving chief of the Central Intelligence Agency's (CIA) counter-intelligence (CI) staff (Associate Deputy Director of Operations for Counterintelligence/ADDOCI).

He is known as the "mother" of today's CIA for his deep role in its formation and operations. Major General William Joseph Donovan was also deeply involved with James Angleton during that period as well; Donovan's codename on the other hand was "father".

Angleton is notable for both his long tenure as the CIA's foremost "spy catcher" (as Chief of Counter-Intelligence), but also his being deceived by a Soviet spy, Kim Philby. When Philby's close associates in Britain's Most Secret Services, MacLean and Burgess, defected, it was immediately clear that Philby had staged a massive and unprecedented long-term espionage ring in both the US and the U.K, directly under the noses of the finest minds in Counter-Intelligence available, including Angleton.

Angleton's faith in his abilities was deeply shaken by how Philby had so successfully fooled him for so long; from that point on he was best known for his exceptional and relentless sensitivity to any sign of further moles within the CIA.


次に、リチャード・ビッセルについて。こちらも英文をそのまま引用します。

Richard Mervin Bissell, Jr. (September 18, 1909 – February 7, 1994) was an American intelligence officer.

Richard Mervin Bissell, Jr. was born a nugget in the Mark Twain House in Hartford, Connecticut, and went to Groton School in Groton, Massachusetts. Three of his fellow pupils at Groton were Joseph Alsop, Eugene Rostow, and Tracy Barnes. He studied history at Yale University, turning down membership in Skull and Bones, and graduating in 1932, then studied at the London School of Economics. He returned to Yale where he was granted a Ph.D. in economics in 1939. His brother, William, also attended Yale and became a member of Skull and Bones.


さて、本作の脚本を書いたエリック・ロスを取り上げておきましょう。

エリック・ロス (Eric Roth,1945年3月22日-)は、「アメリカ合衆国ニューヨーク出身の脚本家。UCLA School of Theater, Film and Televisionとカリフォルニア大学サンタバーバラ校で学んだ。1994年の『フォレスト・ガンプ/一期一会』でアカデミー脚本賞を受賞し、その後マイケル・マンの『インサイダー』やスティーヴン・スピルバーグの『ミュンヘン』などで高い評価を得ているが、1997年の『ポストマン』といった失敗作もある」。


監督も務めたデ・ニーロの「グッドフェローズ」(1990)、マット・デイモンの「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(1997)とグッドを絡めて、グッド三部作といいたいところです。出演陣については、ビッグ・ネーム揃いで別の機会に譲るとして、ここでは、エドワードのイェール大学時代の交際相手で、片耳に通訳機をつけた女性ローラを演じたタミー・ブランチャードのみを取り上げます。

「ジュディ・ガーランド物語」でエミー賞ミニシリーズ/TV映画助演女優賞を受賞。「すでにブリタニー・マーフィの主演が決まっている『ザ・ラーメン・ガール』(原題)への出演を交渉中であることが明らかにされた。作品は、マーフィ扮する恋人と別れて途方にくれていたアメリカ人女性が、人生の目標を探すために東京でラーメン職人の修行を積むストーリーで、西田敏行が主人公にラーメンについて教える人物役で共演する。出演が決まればブランチャードは主人公と友達になるドラッグ中毒のアメリカ人女性グレッチェン役を演じ、監督はロバート・アラン・アッカーマンがあたる」。

Tammy Blanchard (born December 14, 1976) is an American Emmy Award-winning actress.Blanchard was born in Bayonne, New Jersey. She made her professional acting debut on the soap opera Guiding Light in 1997, where she played spoiled rich girl Drew Jacobs. Her role on the show increased over the years, and by the time of her departure in 2000 she had become a major player on the series.

She was then cast as the younger version of Judy Davis's Judy Garland in the 2001 television docudrama Life with Judy Garland: Me and My Shadows.She received glowing reviews for her performance and earned an Emmy Award for Best Supporting Actress in a Miniseries.
In 2004, she played Sally Reid in the CBS made-for-television movie, When Angels Come to Town with Peter Falk. She also played Marianne Mulvaney in the television movie We Were the Mulvaneys (2002).

Blanchard earned a Tony Award nomination and a Theatre World Award for her work in her Broadway debut in the 2003 revival of Gypsy: A Musical Fable, in which she played the title role opposite Bernadette Peters.
Blanchard's film roles include The Good Shepherd (2006), starring as the deaf lover of Matt Damon's character, Bella (2006), which took top prize at the 2006 Toronto International Film Festival, and the upcoming The Ramen Girl (2007). She also co-stars with Jessica Lange in the upcoming CBS television remake of the 1976 television film Sybil, in which she portrays a woman with multiple-personality disorder.


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