読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

爪を出した能ある鷹たちの、「バブル」(田中森一/聞き手 夏原武/2007年)

2009-12-11 07:09:09 | 本;ノンフィクション一般
~許永中の虚実、宅見若頭の思い出、闇紳士の生命力、あぶく銭の行方…「闇社会の守護神」の肉声10時間を収録。あの時代、能力のある奴ほど堕ちていった。許永中の虚実、宅見若頭の思い出、闇紳士の生命力、あぶく銭の行方・・・。「闇社会の守護神」の肉声10時間を収録。ベストセラー「反転」外伝。~

<目次>
第1章 あぶく銭
第2章 闇紳士愛
第3章 アウトロー魂
第4章 敗戦処理
第5章 怨念捜査

田中森一さん。本書を読むまでこのような破天荒な弁護士がいたことを知りませんでした。それに加えて聞き手となる夏原武さん。大学一年から的屋系の組織でヤクザをやっていた方だったことも知りませんでした。本書は2007年に収録されたもので、この二人がバブル時代前後でどのような活躍、暗躍をしていたかがつまびらかになる一冊です。


<地下に潜ったカネの行方>
~昔は、これがある意味で、日本の経済を支えとったんだもん。日本橋の兜町とかね。だってそうじゃない?今みたいに四角四面でやってなかったから、そういうアングラマネーがけっこう動いてたと思うよ。競馬のノミ屋だってそうなんだろうだけど、いろんな世界でそういう金が動いて、経済を支えていた。~

<地上げが果たした役割>
~・・・裏社会の動きがあった後で、蓋を開けてみたら、きれいなマンションが建ってるわけだから。もちろん、それを建てたゼネコンは、何もなってないよ。陰では地上げ屋にカネを出しているけども、事件になったら知らんふりだから。実際に地上げをやるのは、やっぱり裏の世界であって、またそういう連中じゃないとできない。バブル当時に、あれだけ街をきれいにできたのは、裏の力があったからでしょ。~

<手柄より大事なもの>
~刑事事件では、ヤメ検とプロパーの弁護士では、まず力量が違うよ。というのも、プロパーの弁護士は、案外と刑事事件って嫌がる。経験も少ないし、検事を五年でも十年でもやってたら、事件の勘どころというのがわかるじゃないの。だから、実際に弁護させてもね、能力と力量において、歴然とした差はある。~

<能力のある奴ほど堕ちていった>
~バブルが崩壊した後、いろんな連中がマスコミに叩かれたり、パクられたりしたけど、ワシはまったく反対のことを思ってるの。能力のある奴ほど堕ちていったし、何もしなかった奴が生き残ったんじゃないとかね。~


ここに登場するのは、バブル時代にその名を馳せた、国際航業の小谷光浩、誠備の加藤(あきら)木津信用組合の鍵弥実、料亭「恵川」のお上・尾上縫、イ・アイ・インターナショナルの高橋治則、末野興産の末野謙一、富士住建の安原治、朝日住建の松本喜造、武富士の武井保雄、イトマンの伊藤寿永光、住友銀行の磯田一郎、河村良彦、そして許永中などなど。

自伝的著書「反転」は是非とも読んでみたいと思います。



田中 森一 (タナカ モリカズ):1943年長崎県生まれ。定時制高校を経て岡山大学法文学部在学中の68年に司法試験に合格、71年検察官任官。大阪地検、東京地検特捜部などで活躍したのち87年退官、88年に弁護士に転身。2000年に石橋産業手形詐欺事件の被疑者として、許永中とともに東京地検特捜部に逮捕・起訴され、現在上告したものの、石橋産業事件での有罪判決を受けて2008年4月1日付で受刑者となる。

<田中森一オフィシャル『田中森一塾』公式サイト>
http://www.tanaka-jyuku.net/

<田中森一 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E4%B8%AD%E6%A3%AE%E4%B8%80



夏原 武 (ナツハラ タケシ) 
1959年生まれ。大学を中退した後、アウトローな日々を過ごす。93年より、別冊宝島などでヤクザ、詐欺などをテーマに本格的なルポの執筆を開始。現在、漫画『クロサギ』(『週刊ヤングサンデー』)、小説『ダブルアップ』(『月刊実話ナックルズ』)他を連載中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


<夏原武 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%8F%E5%8E%9F%E6%AD%A6



<宅見勝 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%85%E8%A6%8B%E5%8B%9

<石川達紘 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E5%B7%9D%E9%81%94%E7%B4%98

映画「悲しきヒットマン」の原作者である山之内幸夫弁護士
<暴力団に今、何が? 山口組元顧問弁護士が語る>
http://www.pressnet.co.jp/osaka/kiji/hit020.shtml


最新の画像もっと見る

コメントを投稿