10月26日、京都の匠の技をたずねる1日ツァー「京都きもの散歩」が行われました。
朝から小雨模様の天気にもかかわらず、きもの姿でばっちり決めた方が半数以上やる気満々の意気込みですナビゲーターの佐藤文絵さんは、北海道出身にもかかわらず、京都ときものの奥深い世界に魅せられ、きものを集めるだけでは事足りず、京都のきもの情報を発信するウェブサイトまで開いてしまったきもの好きです。
最初に訪ねたのは、小紋の柄染め専門の大野国染工場さん。ここで見せられたのは、微細な柄を作り出す型紙の数々です。伊勢で作られているこの型紙は模様があまりにも細かく、模様を切りだしていく職人さんも名人芸なら、それを使って柄が乱れないよう反物に糊を置いていくのも名人芸。なかでも「極鮫」と呼ばれる極小鮫小紋の型をこなせるのは、ほんの数人しかいらっしゃらないということです。
(左から2人目が佐藤先生)
そこを出て、堀川付近をぶらぶら歩いていくと、糊置きした反物を地染めする工房です。手馴れた職人さんたちが、長~い板の上の反物にあっという間に染料を置いていきます。染料を置いたら大きなスチームで蒸し作業。そして水元さんのところで水洗いします。この水は京都の地下水。水道水では塩素で色素が流れてしまうので、洗いは地下水でなくてはいけません。京都の地下には豊かな水脈があって尽きることはないそうです。堀川周辺に染め屋さんが集中しているのも、このきれいな地下水があってのことなのです。
さらにぶらぶら行くと、きものの洗い張りに使う伸子(しんし)屋さんに出ます。伸子だけでなく、店先には染めに使ういろんな種類の刷毛も置いてます。この刷毛も昔ながらのしっかりした作りのものは数少なくなったそうで、商品は奪い合いの状態とか。
お昼は新町の町家を利用したフレンチ・レストランでテーブルを囲みます。お食事を楽しんでいると雨は大降りになってきましたが、庭の前栽の緑がいっそう鮮やかに、京の風情たっぷり。話題は消え行く職人技のことから、きものの流通のことにも及びました。
午後の訪問先は、手描友禅の工房・高橋徳さん。複雑な友禅染めの行程を、パネルを用いて説明してもらいます。染料がにじんでいかないよう、柄の輪郭に糊を線状に置いていく「糊置き」の作業では、使う糊や染料の種類によって、柄や色合いがシャープになったりはんなりしたりします。
説明の最中にも、「あ、いまちょうど○○(ビックリ、海外の超大物ミュージシャン)の衣装があがったとこですわ」。ここ高橋徳さんは、名前は出せないけれど、海外からの注文や有名デザイナーブランドとのコラボが多いんだそうです。でも、できあがった製品に工房の名前はつきません。職人の技はあくまで黒子の存在なのです。
説明が一段落したら、実際に作業工程のひとつひとつを見学します。「下絵描き」「糊置き」「地染め」など作業は完全な分業制。ひとつの工程だけでも一人前になるのには長い時間がかかるので、そうせざるを得ないそうです。一枚のきものを、皆でイメージを共有して作るためには「あ、うん」の呼吸が必要。ですから職人さんは食住を共にして「ことばで説明しなくてもわかりあえる」間柄なのだとか。
たとえ名前はつかなくとも、「いいものを作りたい」情熱と、「ヘタなものは出さない」プライド。歴史の長い京都で培われた職人さんたちの心意気に触れた1日でした。
朝から小雨模様の天気にもかかわらず、きもの姿でばっちり決めた方が半数以上やる気満々の意気込みですナビゲーターの佐藤文絵さんは、北海道出身にもかかわらず、京都ときものの奥深い世界に魅せられ、きものを集めるだけでは事足りず、京都のきもの情報を発信するウェブサイトまで開いてしまったきもの好きです。
最初に訪ねたのは、小紋の柄染め専門の大野国染工場さん。ここで見せられたのは、微細な柄を作り出す型紙の数々です。伊勢で作られているこの型紙は模様があまりにも細かく、模様を切りだしていく職人さんも名人芸なら、それを使って柄が乱れないよう反物に糊を置いていくのも名人芸。なかでも「極鮫」と呼ばれる極小鮫小紋の型をこなせるのは、ほんの数人しかいらっしゃらないということです。
(左から2人目が佐藤先生)
そこを出て、堀川付近をぶらぶら歩いていくと、糊置きした反物を地染めする工房です。手馴れた職人さんたちが、長~い板の上の反物にあっという間に染料を置いていきます。染料を置いたら大きなスチームで蒸し作業。そして水元さんのところで水洗いします。この水は京都の地下水。水道水では塩素で色素が流れてしまうので、洗いは地下水でなくてはいけません。京都の地下には豊かな水脈があって尽きることはないそうです。堀川周辺に染め屋さんが集中しているのも、このきれいな地下水があってのことなのです。
さらにぶらぶら行くと、きものの洗い張りに使う伸子(しんし)屋さんに出ます。伸子だけでなく、店先には染めに使ういろんな種類の刷毛も置いてます。この刷毛も昔ながらのしっかりした作りのものは数少なくなったそうで、商品は奪い合いの状態とか。
お昼は新町の町家を利用したフレンチ・レストランでテーブルを囲みます。お食事を楽しんでいると雨は大降りになってきましたが、庭の前栽の緑がいっそう鮮やかに、京の風情たっぷり。話題は消え行く職人技のことから、きものの流通のことにも及びました。
午後の訪問先は、手描友禅の工房・高橋徳さん。複雑な友禅染めの行程を、パネルを用いて説明してもらいます。染料がにじんでいかないよう、柄の輪郭に糊を線状に置いていく「糊置き」の作業では、使う糊や染料の種類によって、柄や色合いがシャープになったりはんなりしたりします。
説明の最中にも、「あ、いまちょうど○○(ビックリ、海外の超大物ミュージシャン)の衣装があがったとこですわ」。ここ高橋徳さんは、名前は出せないけれど、海外からの注文や有名デザイナーブランドとのコラボが多いんだそうです。でも、できあがった製品に工房の名前はつきません。職人の技はあくまで黒子の存在なのです。
説明が一段落したら、実際に作業工程のひとつひとつを見学します。「下絵描き」「糊置き」「地染め」など作業は完全な分業制。ひとつの工程だけでも一人前になるのには長い時間がかかるので、そうせざるを得ないそうです。一枚のきものを、皆でイメージを共有して作るためには「あ、うん」の呼吸が必要。ですから職人さんは食住を共にして「ことばで説明しなくてもわかりあえる」間柄なのだとか。
たとえ名前はつかなくとも、「いいものを作りたい」情熱と、「ヘタなものは出さない」プライド。歴史の長い京都で培われた職人さんたちの心意気に触れた1日でした。