歌わない時間

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エストマン『モーツァルト_魔笛』

2011年03月01日 | CD 古典派以後
Mozart
Zauberflöte
Streit, Bonney, Jo, Cachemaille, Sigmundsson
The Drottningholm Court Theatre Orchestra and Chorus
Arnold Östman
470 860-2

1989年録音。78分46秒/76分49秒。DECCA/L'Oiseau-Lyre。エストマンの指揮による、オワゾリールへのモーツァルト・シリーズの最終作だったもの。これまでの3作同様、丁寧かつすっきりとした造形で、『魔笛』というオペラのふところの深さが巧まずに表現されていると思う。くりかえし聴くに足るすぐれた演奏です。

『フィガロ』も『ドン・ジョバンニ』も男声キャストにやや弱いところがありましたが、この『魔笛』では、カート・ストライトのタミーノ、ジユ・カシュマイユのパパゲーノ、ともにたいへんしっかりしています。ストライトの明るさと強さをかね備えた美声がすばらしい。タミーノは王子様なのだからそれなりに若々しさが必要だと思いますが、ストライトはその条件を満たすばかりでなく理想的にこの役をつくりあげている。パパゲーノのカシュマイユはエストマンの指揮に乗りつつ、楽しそうに歌ってる。ただ、クリスティン・ジグムンドソンのザラストロは低音がいま一つで、存在感が薄い。なお、ホーカン・ハーゲゴールが弁者、ペッテリ・サロマーが第二の武士。

女声は、このモーツァルト・シリーズのうち『コジ・ファン・トゥッテ』をのぞく三作に出たボニーは、ここでもかがやかしい美声でもちろんいいし、スミ・ジョーの夜の女王も申し分ないです。ルート・ツィーザクが第一の侍女。三人の侍女たちのアンサンブルが美しい。また、三人の童子のうちには日本人らしき名前あり。

タミーノ、パパゲーノと三人の侍女の五重唱がちゃんとアンサンブルしていて出来のいいのがうれしい。総じて三人の侍女が出てくるシーンはわたし好きです。パミーナとパパゲーノの二重唱、タミーノとパパゲーノの二重唱がよいのは言うまでもない。

エストマンには『コジ』にもストライトとカシュマイユを使ってほしかった。

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