歌わない時間

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ジェステル『シャルパンティエ_クリスマス牧歌劇』

2010年05月05日 | CD バロック
Charpentier
Pastorale sur la Naissance de Notre Seigneur Jésus-Christ H.483
Litanies de la Vierge H.85
Magnificat á 3 sur la Même basse H.73
In Nativitatem Domini canticum H.314
La Parlement de Musique
Martin Gester
476 2534

1996年録音。63分08秒。ACCORD。《われらの主イエズス・クリストの降誕の牧歌劇》H.483、《聖母マリアへの連祷》H.85、《三声のマニフィカト》H.73、《キリスト降誕の頌歌》H.314。H.483とH.73はクリスティの音源を、H.314はコレオーの音源をすでに持っていますが、買っちゃいました。とくにクリスティとの聴きくらべが目的です。結論をさきに言うと、全体にスタイリッシュな垢ぬけたシャルパンティエ演奏になっています。悪くない。ただH.483については、演奏の密度において残念ながらクリスティの名演にはやや及ばない。

マルタン・ジェステルはけっしてダメな指揮者ではなく、シャルパンティエのクリスマスのための音楽を、できるだけ余計な味付けなしで聴かせようとしてくれています。ただこのジェステルを聴いてあらためて思ったのは、わたしが聴いてきたクリスティの古い録音が思いのほか入魂の名演だったんだということ。あれとくらべると、これはちょっと歌手たちの気持ちの入り方がいまひとつ。声楽のソリストは、すばぬけた人はいませんが、粒がそろっていてシャルパンティエの音楽によくなじんでいる。これでもうちょっと、身を乗り出すようなひた向きな感じが出るとよかった。

30分以上かかるH.483がメイン。これはこれで悪い演奏ではないけれど、聴いてるうちにクリスティのをもういっぺん引っ張り出して聴いてみたくなっちゃうんだよね。H.73のあのマニフィカトを取り上げているのは「さすがにお目が高い」って言いたくなるね。これはいい演奏です。

17世紀バロックの宗教曲って、シャルパンティエにしろカリッシミにしろパーセルにしろ、独唱や重唱の部分と合唱の部分とが複雑に入れ込みになって曲が進むことが多いですね。ヘンデルやバッハに慣れていると最初はちょっとまごつくけど、こういうスタイルの曲っていかにも実力派の室内合唱アンサンブルにふさわしく思える。

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