歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

ペトルー『ヘンデル_ジューリオ・チェーザレ』

2013年02月25日 | CD ヘンデル
Händel
Giulio Cesare in Egitto
Hammarström, Galli, Nesi, Karaianni, Basso, Christoyannis, Magoulas, Spanatis
Orchestra of Patras
George Petrou
MDG 609 1604-2

2006年録音。75分37秒/78分39秒/77分06秒。MDG。『ジューリオ・チェーザレ』を買ったのはミンコウスキ以来です。ペトルー指揮の前作『タメルラーノ』がとてもよかったので、『ジューリオ・チェーザレ』も聴いてみることにしました。『タメルラーノ』のときほどの圧倒的な説得力とまではいかぬにしても、じゅうぶん満足できる、質の高い演奏だと思います。1724年版の完全録音とのこと。

ペトルーの指揮はこれ見よがしなところのない好感のもてるもので、しかしイキがよく、CD3枚を通して聴いてもダレない。ヘンデル指揮者として大成してもらいたい。

チェーザレ、セスト、トロメオはいづれも女声。ニレーノをバスが歌っている、とケースにはあるけれど誤り。ちゃんとカウンターテナーが歌ってます。しかしカウンターテナーがニレーノのみで、他の役は(アキラとクリオは別として)ぜんぶ女声が歌っているということで、その点どうなのかなと思ったんですが、それぞれ聴き分けやすい声質で、問題なかったですね。

セストのMary-Ellen Nesiと、コルネリアのIrini Karaianni、アキラのTassis Christoyannisは『タメルラーノ』に続いての出演。チェーザレのKristina Hammarström、クレオパトラのEmanuela Galli、トロメオのRomina Bassoは客演て感じかな。ギリシャ組も客演組もそれぞれ好演しています。

タイトルロールを歌っているKristina Hammarströmというメゾはスウェーデン人で、スウェーデンには女子サッカーの選手でKristin Hammarströmという人もいるとやら。またクレオパトラのGalliはラ・ベネシアーナのモンテベルディに参加していて来日もしているそうですね。Galliはコジェナのクレオパトラと比べるとどうしても地味に聞こえてしまいますが、合格点。

トロメオのBassoは、YouTubeでディドーを歌っているのを見たことがあります。ここでもよく歌っているし、トロメオ以外の役でもじゅうぶんイケる実力派だと思います。

セストとコルネリアに関しては、ミンコウスキ盤よりもこちらのほうがむしろいいのでは。セストは、役柄は少年なのにアリアは技巧的で、難役ですが、Nesiは若々しい声で、歌のテクニックもあり、あらためていい歌い手だと思いました。アキラのTassis Christoyannisは、前作『タメルラーノ』ではバヤゼットを歌っていた人。素晴らしい声で、アキラを歌うにはかっこよすぎるほど。

なお、ニレーノを歌っているカウンターテナーはNikos Spanatisという人。いっぽう前作『タメルラーノ』で題名役を歌っていたカウンターテナーはNikolas Spanosという人。別人なんでしょうが、よく似た名前。共演したら紛らわしいでしょうな。