歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

ヤーコプス『モンテベルディ_聖母マリアの夕べの祈り』

2013年02月10日 | CD モンテベルディ
Monteverdi
Vespro della beata Vergine
Kiehr, Borden, Scholl, Bowen, Murgatroyd, Torres, Abete, Draijer
Nederlands Kammerkoor
Concerto Vocale
René Jacobs
HMC 901566.67

1995年録音。61分57秒/42分02秒。HMF。晴れやかな表現で、最初に聴く『晩課』として、いいと思います。最近はこの曲でもOVPPがトレンドになりつつありますが、『晩課』のOVPPはちょっとさびしすぎるかもよ。このヤーコプスのはかなり大がかりな感じがしますが、オランダ室内合唱団は7・6・6・6で、そんなに人数多いわけでもない。やはりヤーコプスの振り方ゆえに大がかりに聞こえるんでしょう。わたしはもともとヤーコプスとは相性があまりよくなくて、このCDもしばらくほっておいたんですが、ひさしぶりに聴いたら、よかった。奥行き感のある新鮮な響きで歌いあげてます。聴き手に満足感を与えてくれる演奏。

ヤーコプスは根っからの劇場人で、どういうふうに作っていけばその作品を面白く聴かせられるかをいつも考えてる。そのせいで演出過剰を感じさせることがあるのですが、この『晩課』に関してはそういう鬱陶しさを感じさせません。そもそも曲自体がじつに劇的に作ってありますから、ヤーコプスの音楽づくりを受け容れる素地がじゅうぶんにあるんですね。

オランダ室内合唱団はヤーコプスの来日公演でも『晩課』を演奏していました。この録音の前後だったんですかね来たのは。この合唱団はそれより昔コープマンの指揮でも来日して『メサイア』を歌ったことがありまして、わたしはそれ以来、注目していました。

ちょっと不満なのは各曲ごとのソリストが明記してないことです。二重唱や三重唱の曲でソリストの誰がどこを歌ってるのか分からない。ソプラノのキールとかカウンターテナーのショル、バリトンのビクター・トーレスはヤーコプスのほかの録音で声を知っているので聴き分けられたけど。"Nigra sum"を歌っているのはジョン・ボウエンて人ですか?

アンドレアス・ショルはたしかこの録音のころから出てきたんだと思います。ヤーコプスの日本公演でもこの曲歌ってましたわ。