歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

ムジカ・フィクタ『モラレス_レクイエム』

2011年08月15日 | CD 中世・ルネサンス
Cristóbal de Morales
Requiem
Lamentabatur Jacob
Inclina Domine aurem tuam
Miserere nostri Deus
Musica Ficta
Raúl Mallavibarrena
EN 2002

1998年録音。64分07秒。enchiriadis。モラレス(c.a.1500-1555)はビクトリアよりも先輩にあたるスペインの作曲家。モラレスの音楽をはじめてちゃんと聴きました。1544年にローマで出版された《5声のレクイエム》を中心にしたプログラムで、余白に、〈Lamentabatur Jacob〉〈Inclina Domine aurem tuam〉〈Miserere nostri Deus〉のモテット3曲を収めています。わたしにとってこれが初めてのモラレスでした。この《レクイエム》は名作の名演ですよ。5声のレクイエムを各パート1人、たった5人で歌って(ただしオルガンが下から支えます)、しかし圧倒的な迫力で聴く者に迫ってくる。山あり谷あり、ではなくてずーっと山が続く。ビクトリアほどのねっとり感はないけれど、やはりスペインものらしく、目の詰んだ、聴きごたえのある音楽です。

Musica Fictaという名の団体はデンマークにもありますが、ここで歌っているのはもちろん本場スペインのグループのほうです。録音場所はマドリードではなくバルセロナとのことなのでやはりその辺をホームグラウンドにしているんでしょう。ここではソプラノに今やソリストとして有名なヌリア・リアルNúria Rialが参加。ほかの4人ははじめて名前を聞く人ばかりですが、みな実力派でアンサンブル巧者。やはりリアルの美声が耳に立つけれど、下の声部がしっかりしているのでソプラノが浮き上がらない。