歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

ガーディナーの『セメレ』聴き直し

2010年01月23日 | 音楽について
カーニン指揮の『セメレ』の感想文を書こうと思って、その前にガーディナーの録音を聴き直してみたのですが、このガーディナーのがなかなかよろしかったのですよ。ガーディナーの感想は以前書き上げてアップしてあるのですが、ちょっと書き直そうかと思いましたわ。ガーディナー盤の弱点は、途中何曲かオミットしていることとタイトルロールを歌うノーマ・バローズNorma Burrowesが弱いこと、でした。しかしCD2枚に収まる分量にしたおかげでドラマは引きしまったし、高慢女ともいえるセメレをあえて可憐な声質のバローズに任せることで、ガーディナーはこのオラトリオを「わがままばかり言ってると罰が当たりますよ」などという安っぽい教訓から救いあげようとしたのではないでしょうか。なにしろバローズはセメレをけなげに、精一杯歌ってるんだもの。可哀そうになっちゃうんだよ。ややかたくななところはあっても、そりゃ恋する女だもの当然ですよ。ガーディナーの描き出すセメレは「嫉妬に狂うジュノーに嵌められた悲劇の女」なのだよね。ガーディナー、間違ってないよ。わたしはこれでいいと思いました。

「朝令暮改」と「朝三暮四」

2010年01月23日 | 気になることば
きのう鳩山首相は衆院の予算委員会で自民党の茂木さんから「朝三暮四」の意味を訊かれて「朝令暮改」と取り違えて答えていた。茂木さんがどういう話の枕として「朝三暮四」なんて持ち出したのかよく聞いていませんが、茂木さんに感謝。わたしも「朝三暮四」って言葉は見たことがあるけど意味は知りませんでした。訊かれたら鳩山さん同様「朝令暮改」のつもりで答えていたと思う。鳩山さんとしてはこのところ「野党のときはあんなこと言ってたのに首相になったら豹変するのか」って責められ続けていたから、また「言うことがころころ変わる」って問い詰められるのかと思い込んぢゃったのだ。カッコ悪かったけど、誤解の経路はよく分かる。マスコミは「首相は4文字熟語に弱い?」とか皮肉っていた。鳩山さんはいろいろと頼りなくて情けないとはわたしも思いますが、しかし「4文字熟語」などと平気で表記する新聞の書くことを真に受けてはならない。