歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

レイトン『20世紀イギリスのキャロル』

2008年11月27日 | CD 古典派以後
O magnum misterium
Twentieth-Century Carols
Polyphony
Stephen Layton
CDA66925

1996年録音。77分32秒。Hyperion。20世紀のイギリスの作曲家によるキャロルを集めたもの。ぜんぶアカペラで、現代イギリスの合唱音楽の充実ぶりをたっぷり味わえる一枚。現代音楽といって毛嫌いするなかれ。とくに合唱人は必聴ですよ。現在はHeliosシリーズに移行して廉価盤で出ています。

スティーブン・レイトン指揮ポリフォニーはよく鍛えられたプロ集団。声質はタリス・スコラーズやザ・シクスティーンを思い浮かべてください。澄明で精緻。なおかつこの2グループよりもさらに柔軟な表現力をもっています。ときたま現れるソプラノのソロも魅力的。

何人かの作曲家の作品が選ばれていますが、なかでも《A Spotless Rose》のハウエルズと、《Bethlehem Down》《Lullaby my Jesus》などのウォーロックの作品に心ひかれました。とくにウォーロックは作品そのものの数が少ないそうですが、シンプルな作風でクリスマスの喜びが素直に伝わってくる。

ガーディナーの『クリスマス物語』で近代の合唱作品に興味を持ち始めて、さらにこのCDでわたしははっきりと、20世紀の音楽も面白いと認識を改めました。まあ今後とも古楽を聴く時間が多いのはこれまでと変わらないでしょうけど。