歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

ガーディナー『クリスマス物語』

2008年11月23日 | CD 古典派以後
Once as I remember...
Monteverdi Choir
John Eliot Gardiner
PHCP-11126 (462 050-2)

1998年録音。73分11秒。PHILIPS。わたしが買った国内盤は『クリスマス物語』というタイトルなんですが、そこらのクリスマス・アルバムとはひと味もふた味も違う。誰でも知っているような曲は少ないですが、グレゴリオ聖歌から現代の作曲家の作品まで、クリスマスにちなんだ聴きごたえのある合唱曲が選ばれています。ア・カペラを中心にして、曲によっては楽器を控えめにかつ効果的にあしらっています。

ガーディナーが子どものころ、イングランド南西部のドーセットシャーにあったガーディナー家の館で行われた降誕劇の雰囲気を再現しようとしたものだそうです。すごいですねえ。村の挙げてのイベントだったようで、のちにはロンドンから訪れていたプロの音楽家も参加するようになったそうです。

有名な曲としては、バッサーノとスウェーリンクの《Hodie Christus natus est》、ミヒャエル・プレトリウスの《Es ist ein Ros' entsprungen》、バードの《O magnum mysterium》と《Lullaby》、それから近代にとんでハウエルズの《A spotless Rose》あたりでしょうか。しかし古いキャロルの編曲版など、その他の曲もみんないいですよ。

このCDを聴くまで、近代の合唱曲って関心なかったんですが、このCDで目覚めました。じつは《A spotless Rose》って曲もここではじめて聴いたんですが、これはハウエルズ(1892-1983)の合唱曲の代表作のようで録音も多いです。ハウエルズのほか、バールドシュ、タブナー、ガードナー、アームストロングという作曲家たちの作品が歌われています。タブナー以外は名前すら知らない人たちだったんですよ。でもね、合唱うたいの心をおもいきり揺さぶられました。ああやっぱり古いのばかりぢゃなく新しい曲も聴いていこうと改心しました。

ガーディナーのアカペラもの、とくにこういう小品集はほんとにいいです。このCDはこの人がもともと合唱指揮者だったことを思い出させてくれる演奏。響きは冴え冴えとしていて、いかにもクリスマスにふさわしい。

ガーディナーは、70年代にはモンテベルディやジェズアルドのアカペラものを録音したりしていました。このCDにも入っているバッサーノの《Hodie Christus natus est》も以前に録音していたはず。FMでオンエアされたのを聴いたことがありますもん。ただしそのころはまだモンテベルディ合唱団の技量が未完成で、あまり感心しませんでした。